日本皮膚科学会雑誌
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114 巻, 7 号
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生涯教育講座
原著
  • 赤城 久美子, 松永 るり, 今村 顕史, 味澤 篤, 菅沼 明彦, 根岸 昌功
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 7 号 p. 1265-1270
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    1997年から2002年12月までに都立駒込病院を受診したAIDS関連Kaposi肉腫(Kaposi’ ssarcoma:KS)29例を対象として,臨床像と治療成績および転帰を解析した.すべて男性で平均年齢45歳,男性同性愛者が72%を占めた.KS診断時のCD4陽性リンパ球数は平均107/μlで,病期分類ではT1I1S1が最も多く41%を占めた.経過を追えた27例の治療は,多剤併用抗HIV療法(highly active antiretroviral therapy:HAART)のみが13例,HAARTと放射線療法の併用7例,HAARTと全身化学療法の併用2例,HAARTと放射線療法および全身化学療法の併用1例,無治療4例であった.治療の結果は腫瘍消失(complete remission:CR)18例,腫瘍縮小(partial remission:PR)2例,死亡7例であった.併用療法を含めたHAART導入23例におけるKS消失症例(CR)は73.9%に認められた.全身化学療法はHAARTと併用して3例に施行し,ABV療法(doxorubicin,bleomycin,vincristine)を行った1例は死亡,liposomal doxorubicinを投与した2例はともにKS縮小効果が得られた.放射線療法もHAARTと併用して8例13部位に施行し,全例KS縮小効果が認められた.転帰についてHAART普及前(1985~1996年)と普及後(1997~2002年)に分けて比較した.HAART前の21例は診断後2年以内に全例が死亡したが,HAART後の27例では20例が生存している.KS診断後18カ月の生存率は,HAART前が19.0%でHAART後は74.1%となった.HAART普及以後,HAART導入とliposomal doxorubicinの長期継続によってAIDS-KSの治療成績は著しく改善した.
  • 矢部 朋子, 三石 剛, 川名 誠司
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 7 号 p. 1271-1275
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    1999年から2003年の間に当科を受診したヒトパルボウイルスB19(human parvovirus B19,以下HPVB 19)感染患者67例について,臨床症状,合併症,妊婦が感染した場合の胎児への影響について検討した.患者は0歳から60歳で,30歳代の女性が最も多かった.患者数は2001年に多く,月別に比較すると,6月に多かった.また,主な臨床症状について小児と成人における出現率を比較したところ,顔面,四肢の紅斑は小児に多く,手足の浮腫,関節痛が成人に多くみられた.皮疹の性状には,成人,小児ともに典型的な顔面の平手打ち様の紅斑や四肢のレース状の紅斑以外に躯幹,四肢の点状紅斑があった.また小児では顔面,躯幹,四肢の点状出血があった.HPVB19に感染した成人女性35例中妊婦は14例で,そのうち2例(14.3%)は妊娠の経過に異常を来たし,1例は子宮内胎児死亡,もう1例は切迫早産であった.妊婦にHPVB19が感染した場合は慎重な対応が必要と考えた.
  • 清水 純子, 伊藤 明子, 山本 洋子, 伊藤 雅章, 本間 香, 橋本 明彦
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 7 号 p. 1277-1282
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    1993~2002年の10年間に新潟大学医学部附属病院皮膚科で組織学的に扁平苔癬と診断し,経過を観察した症例のうち,薬剤性を除く78症例を集計した.合併疾患,C型肝炎ウイルスとの関連,金属試薬貼布試験結果や歯科金属除去の有効性を検討した.抗HCV抗体陽性率は15.4%(78例中12例)で高い傾向がみられた.口腔内病変を有する症例は64例であった.そのうち,貼布試験を施行した症例は40例で,何らかの金属試薬に陽性を示した症例は55.0%(40例中22例),さらに,歯科修復物に陽性金属含有が確認された症例数は15例,歯科金属除去有効率は77.8%(9例中7例)であった.その他,粘膜疹に接している部位の金属修復物を除去した後に粘膜疹が改善した症例が6例あり,歯科金属が非アレルギーの機序で関与する可能性も考えられた.以上より,扁平苔癬の原因ないし増悪因子として,歯科金属による接触アレルギーないし局所刺激性が重要と考えた.
  • 前川 武雄, 大原 國章
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 7 号 p. 1283-1286
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    59歳の母と34歳の娘,それぞれの左拇指後爪郭に有痛性の結節が生じ,緩徐に増大するため当科を揃って受診.臨床的にグロームス腫瘍を考えいずれも全摘した.病理ではグロームス細胞の増殖が主体のglomus tumor properであった.二人とも外傷の既往はなく,単発型グロームス腫瘍の発生原因を考える上で貴重な症例と考える.
  • 金子 聡, 佐藤 勘治, 冨田 昌宏, 新山 史朗, 饗場 伸作, 向井 秀樹, 周藤 高
    原稿種別: 原著
    2004 年 114 巻 7 号 p. 1287-1291
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル 認証あり
    原発不明の鼡径リンパ節の転移性腺癌で発症した59歳女性の乳房外Paget病の1例を報告した.10年来の右外陰部の紅褐色局面の生検により同部を原発と診断した.脳転移に対しガンマナイフを施行,乳房外Paget病におけるその有用性および臓器別の転移頻度を含め報告し文献的考察を加えた.
学会抄録
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