樹状細胞には,様々な機能が存在することが知られているが,もっとも主要な機能は,抗原提示能である.さまざまな外来抗原を取り込み,これをプロセスし,細胞表面へ提示する.樹状細胞は,ナイーブT細胞に,抗原ペプチドを提示して,それらを活性化し,その増殖と分化を誘導することができる唯一の抗原提示細胞(antigen-presenting cell;APC)である.さらに,樹状細胞は,種々の副刺激分子,自らが産生するサイトカイン,ケモカインによって免疫反応を文字通り質,量ともに調節する.近年,接触皮膚炎に加えて,アトピー性皮膚炎,乾癬の病態形成における役割や腫瘍免疫への関与が明らかになってきた.
ウイルス感染において樹状細胞は感染標的細胞のひとつであり,また感染後のウイルス特異的T細胞の誘導に不可欠な細胞群である.HSV,HIVはともに皮膚・粘膜から宿主へ侵入するウイルスであり,皮膚表皮・粘膜上皮に存在するランゲルハンス細胞,皮膚真皮・粘膜固有層に存在する樹状細胞と密接な関係を有する.
当院にてDPP-4阻害薬(DPP-4i)の内服開始後から水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid, BP)を発症した患者13人を対象として臨床病型を検討した.平均年齢は76.3歳で,13人のうち10人はビルダグリプチン内服者であった.予後により,DPP-4i中止後経過良好群・DPP-4i中止後経過不良群・DPP-4i内服継続群の3群に分類した.経過良好群では皮疹は非炎症型で抗BP180NC16a抗体,抗全長BP180抗体は陰性~弱陽性であった.経過不良群の皮疹,抗体価は症例により様々であった.内服継続群では標準的な治療に抵抗する例は少なかった.
43歳,女性.当院で急性リンパ球性白血病に対し入院加療を行っており,末梢静脈路確保のために右前腕皮静脈に末梢静脈留置針を穿刺した後,同部位の腫脹と疼痛が出現した.症状が増悪傾向であるため発症9日後に当科紹介となった.ドプラ聴診器で連続性雑音を聴取し,体表エコーにて病変付近の橈骨動脈に並走する静脈のパルスドプラ波形が,橈骨動脈と同様に拍動性血流波形を示したことから右橈骨動静脈瘻と診断した.シャント部位の圧迫を行い4週間後に症状は軽快した.圧迫を解除したが再発は見られていない.
8歳,男児.1年前に後頭部を打撲後に結節が出現.表面平滑で下床と可動性良好な25×23 mm大の半球状腫瘤.病理組織学的に真皮から皮下に紡錘形細胞が錯綜配列をとり,α-SMA,D2-40,Ki-67陽性,CD34陰性.Chromogenic in situ Hybridization法でUSP6遺伝子再構成を認め,結節性筋膜炎と診断.再発なし.近年,結節性筋膜炎に特異的なMYH9-USP6融合遺伝子が同定された.結節性筋膜炎を疑って病理組織のみで確定診断が困難な場合には,融合遺伝子検索が有用である.