日本皮膚科学会雑誌
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68 巻, 6 号
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  • 鳴海 淳郎
    1958 年 68 巻 6 号 p. 313-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    1922年Hewerは白鼠に副腎皮質製剤を投与後身体各種器官の変化を組織学的に検討したが,皮膚に関しては次の如く記載している.即ち副腎皮質製剤を投与すると殆ど大部分の白鼠に於て肉眼的に毛髪は密に且繊細となり,光沢を増して見えるが,これに触れると容易に脱落する.そして組織学的には毛嚢の変性が認められると.この変化はHewerに拠れば副腎皮質ホルモンとカルシウム代謝との関衈性に帰因し,即ちカルシウム代謝の変動が皮膚栄養障碍を惹起したものとその著者は考えた.その後1935年Nilesは多毛症と副腎との関係を論ずるあり,次いで1939年Shepardson & Shapiroは18例の女性多毛症患者(beared women)を検索してその何れも副腎腫瘍を有することを知り,多毛症を副腎皮質病変に基くものとした.同年Butcher & Richardsはラッテに於て両側副腎摘出術を行うと毛髪発育の促進されるのを,1951年BakerはACTHがラッテの毛髪発育を殆ど完全に抑制,これと同時に表皮の萎縮並びに皮下脂肪の減少を来すことを報告,Bakerは更にDOCAを局所に使用しても毛髪の発育を抑制し表皮の萎縮を来すのを認めたが,人間に於ては副腎皮質ホルモンを局所に使用しても毛髪の発育は抑制されず,一方女子の副腎皮質機能亢進症では顔面その他に多毛症が起つて所謂男性化の状態となるが,頭髪は脱落の傾向を示すことを知つた.以上,動物と人間とでは副腎皮質ホルモンの毛髪に及ぼす影響は逆で,動物では抑制的に,人間では促進的に作用するというのは解し難いが,1952年Dillaha & Rothmanは副腎皮質ホルモンのコーチゾンを臨床的にはじめて円形脱毛症の治療に供し,見るべき効果のあることを報告,全世界的に多数者の追試するところとなつた.即ちまずWainger & CapplemanはDillaha等の所見を全面的に認め,Wilsonは本疾患の治療にACTHを使用してコーチゾンと同様の治療効果を発表した.1953年Huriez u. Desmonは円形脱毛症のコーチゾン局所療法について報告し,その73%に有効だつたが,所謂Ophiasisに対しては無効とした.更に1954年JφrgensenのACTH,コーチゾンで治療した完全脱毛症3例の報告あり,我が国に於ても1955年平出等,伊藤等,広瀬,速水等,1957年小堀・宇野は円形脱毛症のコーチゾン治験例を報告,茲に於て特に悪性脱毛症の治療に或る程度の光明が見出された観がある.但しコーチゾンが何故円形脱毛症に有効であるか,その理論はなお明らかでない.こゝに於て著者は悪性円形脱毛症にコーチゾン療法を実施してその効果を検討すると共に,その作用機序を明らかにせんとした次第である.
  • 橋爪 健二
    1958 年 68 巻 6 号 p. 329-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    1937年Krebsが鳩の胸筋に於ける炭水化物の研究に於て,糖酸化の中間代謝経路としてクエン酸回路説を提唱した.その後多数の学者のたゆまざる研究の結果,漸次本回路の詳細な経路が明らかにされ,この回路は糖質のみならず,脂質,蛋白質の共通代謝経路として,又エネルギー供給源として,生体内代謝に極めて重要な地位を占めていることが明らかにされた.今日ではKrebsのクエン酸回路を3カルボン酸輪廻(Tricarboxylic Acid Cycle,略してTCA Cycle)と呼んでいる.現今各種臓器に於けるTCAサイクルに関する研究は多数なされているが,その多くは肝,腎,心,脳,内分泌腺の如く非常に代謝の旺盛な,且つミトコンドリアを比較的容易に,純粋に分離し得る臓器が研究対象となつているようである.一方皮膚科領域に於ては,TCAサイクルに関する研究は非常に少なく,僅かにBarron et al.,Griesemer等の最近の報告があるに過ぎない.彼等は皮膚に於てTCAサイクルは存在しないか,或は存在しても僅少であると述べている.今回著者も皮膚に於けるTCAサイクルの意義につき何等かの知見を得んものと思い,健常家兎,各種皮膚炎およびアルツス現象惹起家兎について,皮膚のホモジェネイト中に於けるTCAサイクル中間代謝物の測定,更にワールブルグ検圧系を用いて,各TCAサイクル中間代謝物の添加が,皮膚並びに肝臓の酸素消費量に及ぼす影響を考究し,又健常ラッテを用いてアコニターゼを障害することによつてクエン酸の蓄積を来すと云われているモノフルオロアセタート投与による皮膚,肝臓,腎臓への影響に就き研究を行い,2,3の知見を得たので此処に報告する.
  • 野波 英一郎
    1958 年 68 巻 6 号 p. 357-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    著者は皮膚電気生理学的現象一般に就て概説し,此の方面の主な文献を整理したのち,勝木式皮膚直流電気抵抗器を用い,亜鉛―水銀アマルガム電極によつて健常者及び各種皮膚疾患々者に就て皮膚直流電気抵抗を測定した.健常皮膚に於て皮膚電気抵抗発生部位は恐らく表皮透明層乃至顆粒層と考えられ,此の部の連続性が断たれると抵抗は著しく低下する.健常人に於て,室温18~22℃では身体部位的に顔面,腋窩,手掌,足蹠は爾余の諸部位に比し,抵抗値が極めて低く,左右対称部位では抵抗値が殆ど等しい.1日中時刻的には抵抗は昼間に低く,夜間睡眠時に最高,季節的には夏季高温時には温熱性発汗部位の躯幹,四肢の抵抗は低下するが,腋窩,手掌,足蹠の如き所謂精神性発汗部位では殆ど変動せず,身体部位差は消失する.局所加温は抵抗を低下させるが,鬱血は抵抗に影響しない.ピロカルピンは抵抗を低下,アトロピンは上昇させるが,アドレナリンは抵抗に著しい影響を与えない.ヒスタミン及び生理的食塩水膨疹局所の抵抗は高い.各種皮膚疾患の病変部電気抵抗を当該個体の対称健常部及び健常成人の同一部位の夫れと比較するに,湿疹,膿皮症,痒疹,紅皮症,乾癬,エリテマトーデス,水疱症,火傷,多汗症の病変皮膚では抵抗低く,蕁麻疹,鞏皮症,皮膚萎縮,レントゲン皮膚炎,癩,睡眠剤中毒疹,瘢痕の夫れは抵抗高い.発疹の種類との関係では紅斑,丘疹,水疱,糜爛の如く表皮変化を伴うものは抵抗低く,膨疹,皮膚萎縮,瘢痕の如く表皮破壊のないものでは抵抗が高い.一般に病変部は発汗が減退しており,病変部及び対称健常部局所にピロカルピン発汗試験を行うと,対称健常部は著明に発汗し,抵抗が著しく低下するのに対し,病変部は発汗せず,抵抗も変動しない.紅斑,丘疹,水疱,膿疱,糜爛面で抵抗の低いのは,表皮の肉眼的乃至超肉眼的の破壊の存在する為で,膨疹,皮膚萎縮,瘢痕等に抵抗が高いのは表皮の破壊がなく,所謂electrical barrierの連続性が保たれると共に,発汗が減少又は欠如している為と考えられる.癩,睡眠剤中毒疹の抵抗の高値も同様の原因に帰することができる.即ち皮膚電気抵抗は表皮の状態と発汗に大きく支配され,疾患別の特殊性よりも皮疹別に意味を有すると考えられる.而して表皮に破壊のない場合,皮膚電気抵抗の面から病変局所の発汗機能を窺うことが出来ると共に,之等皮膚病変の病勢の状態を知ることが出来る.本論文の要旨は昭和30年4月2日第54回日本皮膚科学会総会,昭和31年5月5日第55回日本皮膚科学会総会並びに昭和31年10月13日第19回日本皮膚科学会東日本連合地方会に於て発表した.
  • 1958 年 68 巻 6 号 p. 380-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
  • 1958 年 68 巻 6 号 p. 57e-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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