日本皮膚科学会雑誌
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92 巻, 7 号
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  • 1982 年 92 巻 7 号 p. 721-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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  • 小幡 正明
    1982 年 92 巻 7 号 p. 725-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    中波長紫外線(310nm, 5MED)照射後のヒト表皮組織障害を光顕,電顕的に観察した.一種の個細胞死である sunburn cell(SC) は照射4時間後から有棘層に出現し以降漸増した.電顕的には tonofilament bundle の凝集 pycnosis がみられ,ついで周囲との desmosome 結合が失なわれ,細胞質の濃縮あるいは断裂が生じ,最終的には核, organella の消失した filamentous body となった.これは形態学的に apoptosis の第一段階に一致する変化であった.また変性初期のSCにおいてしばしば centrioles,spindle 様の microtuble bundle が観察された.これらの分裂装置の存在から一部のSCは基底層の germinative cell 群に由来したものと推測された.また SC の多くは豊富なメラニン顆粒を有していたか,これらは紫外線照射後に色素増強が生じた基底細胞に由来したものと考えられた.照射後48時間より SC を中心に水疱形成が出現し,72時間には表皮上層の連続した変性がみられた.これは karyolvsis, organella の消失を主体とした変化で,細胞質の濃縮,断裂はおこらず,いわゆる coagulative necrosis の変化であった.
  • 石井 正光, 濱田 稔夫, 浅井 芳江
    1982 年 92 巻 7 号 p. 737-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    爪自癬においては, griseofulvin の登場以来,その内服療法か治療の主流をしめているが,内服期間が年余にわたる場合が多く,胃腸障害,頭痛などの発現により患者が内服を休止して目的を達し得ないことがしばしばみられる.またより重篤な副作用もとぎにみられたりして,有効な外用療法の開発が望まれるところである.従来の抗白癬外用療法が不成功に終るのは罹患爪甲の角質が有効成分の吸収を妨げるためであると考えられる.著者らは尿素軟膏か爪甲を浸軟させることに着目し,抗白癬外用剤と併用することにより,その爪内吸収が著しく高まるであろうと想定,これにより爪白癬の非経口,非外科的治療が可能になると考えた. 臨床的に爪自癬と診断し,鏡検で菌要素を確認し得た20症例の罹患爪甲に対して,連日ナフチオメートT(トルナフテート)含有軟膏と 20% 尿素軟膏を二重塗布し,その上から ODT を施行した結果,まず爪甲の浸軟化が20例中17例に認められた.次いで1~2週間で爪甲剥離を合併してくるのがそれら17例中7例で,これは主として,罹患爪甲の肥厚,混濁が顕著な場合に限られていた.剥離した爪甲はできるだけ短く切除して,さらに ODT を継続させ,爪甲浸軟化のみの場合と同様に1~数カ月間続けて,新生爪甲が肉眼的に他の罹患していない爪甲と同様の正常度をもつようになるのをまち,鏡検にて菌要素の陰性化を確認して治癒とした.その結果,有効14例,やや有効1例,無効5例で,ほぼ満足すべき成績が得られた.また,刺激,疼痛,出血,感染などの副作用は全く認められなかった.
  • 吉池 高志, 高森 建二, 小川 秀興
    1982 年 92 巻 7 号 p. 743-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    局面性掌礁角化症に角膜変性を合併した例を報告した.臨床的には7歳時より両足賠および両手指尖に疼痛を伴なう限局性の炎症性角化局面を生じ,難治性角膜炎を併発した.眼症状は経時的に軽快し,現在は軽度の角膜変性像を示すにとどまる.家族的には血族結婚が多く,まだ再従兄にもほぽ同様の所見がある.皮膚の病理組織学的所見では著明な過角化,乳嘴状表皮肥厚および顎粒層の肥厚がみとめられた.血清及び尿のチロシン値は正常で,他の一般検査所見にも異常はみとめられない.各種治療に抵抗したかレチノイド内服により掌跳の過角化は著明に改善された.角層をケラチン線維,可溶性成分並びに膜および膜間物質に分画し,ケラチン線組分画と可溶性分画に対して SDS ゲル電気泳動を行なったところ,それぞれ正常と異なるパターンを示した.これらの分画での変化はレチノイド投与によってもほとんど改善されなかった.一方,膜および膜間物質分画のアミノ酸分析では1/2シスチン,プロリンの著明な減少など幾つかのアミノ酸で異常を示したが,レチノイド投与によって正常化の方向を示した.
  • 吉池 高志, 服部 道廣, 小川 秀興
    1982 年 92 巻 7 号 p. 751-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    我々は Vorner 型先天性掌蹠角化症の父娘例を最近経験した.両側とも,生後まもなくより掌蹠に限局した禰漫性の角化局面を生じた.父例で生検を施行し検索したところ,光顕的には顆粒変性および epidermolytic な変化を,電顕的にはトノフィラメントの巨大凝集塊をみとめた.父親例に対してレチノイドを投与したところ,臨床症状の著明な改善をみとめた.投与前後に足蹠角層を採取し,ケラチン線維分画,水溶性分画並びに膜および膜間物質分画に分けて正常人足蹠角層との対比の下に生化学的に比較分析した.ケラチン線維および水溶性分画では SDS ボリアクリルアミドゲル電気泳動において異常パターンを示したが,この異常はレチノイド投与によっても是正されなかった.しかしながら膜および膜間物質分画ではアミノ酸分析によって,使用前低値を示した1/2シスチンがレチノイド投与後に増加の傾向を示した.
  • 鈴木 正巳
    1982 年 92 巻 7 号 p. 757-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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     3Hで標識した hydrocortisone (HC), dexamethasone(DM), tiiamcinolone acetonide (TA)クリームを作製して,ラットに外用し,各被検薬剤の経皮吸収および吸収後の体内分布をオートラジオグラフィー法と液シン計数法で比較検討して,以下の結果を得た. 1)全身オートラジオグラムによる経皮吸収後の体内分布をみると.投与7日後までは, HC, DM, TA の吸収に起因する放射活性の分布は腸管部にのみ認められた. 2)ミクロオートラジオグラムによる経皮吸収経路を追究すると, HC, DM, TA いずれも経表皮性吸収と経皮膚付属器官性吸収が認められた,また,DM は皮膚貯留性が最も高く, TA, HC と続き,HC は皮膚からの消失が DM, TA に比して早いことが推察された. 3)液シン計数法により測定すると,経皮吸収後の体内臓器への単位湿重量当りの放射活性の分布は,被検薬剤の種類に関係なく,肝臓>腎臓>脾臓≧胸腺>副腎であった. 4)各臓器ならびに排泄物中の放射活性の測定から,被検薬剤の経皮吸収をみると TA>HC>DM の順であり,正常皮膚における吸収量は微少であった. 5)代謝産物の,検討から,HC は代謝変化を受けやすく,それに比して DM, TA は代謝変化が少ないことが示唆された. 以上より,経皮膚付属器官性次いで経表皮性に吸収された被検薬剤(HC, DM, TA)の体内臓器への定量的な分布は,肝臓>腎臓>脾臓≧胸腺>副腎の順であった.検体の分布は投与法により多少の差はあるが,その全身的作用の発現は標的臓器への蓄積が原因ではなく,各種コルチコステロイドの標的臓器への薬理活性の強弱あるいは標的臓器の感受性の大小に基因すると考えた. なお,被検薬剤の経皮吸収性は臓器と排泄物中の放射活性の測定により TA≧HC>DM の順であったが,吸収量は極めて少なく,投与法,前処置,種差などがあるので,比較にあたっては同一実験系内で行なわれる必要があることを強調し,若干の考察を加えた.
  • 水谷 仁, 谷口 芳記, 小西 清隆, 清水 正之, 浜口 次生
    1982 年 92 巻 7 号 p. 777-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    72歳女子の顔面,耳介及び下肢に出血性壊死性皮膚病変を生じた IgG-k 型骨髄腫に伴った結晶性クリオグロブリン血症の1例を報告した. 本症例の血清は4 °C,24時開静置により針状結晶を生ずる.結晶は monoclonal IgG-k 型により構成され,その形状は電顕的には6方向に突起を有する外径約20.7nm,内径約10.3nmの管状構造物の東状の集合体よりなる.真皮血管内には電顕にて血清内と同一の結晶とフィブリンによる閉塞像が認められるほか,好中球及び単球による結晶の貪食を示す所見か得られた,蛍光抗体法では血管壁に IgG , IgA の存在が認められたが, IgM , C3 は見出されず,血管腔内には多量のフィブリノーゲンのみがみられた.皮疹の発生機序としては,免疫学的機序ではなく,血管内腔の,クリオグロブリン結晶とフィブリンによる閉塞という物理学的機序が推察された.
  • 溝口 昌子, 竹島 真徳, 荒木 友子, 中山 博子, 佐藤 ひろ子
    1982 年 92 巻 7 号 p. 787-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    血清 lgE 高値のアトピー性皮膚炎(ADと略)患者を対象に autologous mixed lymphocyte reaction (auto-MLRと略)を行ったところ,対照とした健康人に比べ有意の差で反応の低下がみられた。同時に行った allogeneic mixed lymphocyte reaction(allo-MLR) は健康人と差がなかった. Auto-MLR で反応する T-cell は抑制活性を持ち in vitro での免疫グロブリン産生を抑制するとの報告もあるが,AD 患者の血清lgE値と auto-MLR の反応の強さとの間に逆相関はみられなかった
  • 1982 年 92 巻 7 号 p. 791-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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