日本皮膚科学会雑誌
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95 巻, 14 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 吉田 正己, 手塚 正
    1985 年 95 巻 14 号 p. 1519-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    11歳,男児.6~7歳頃,左膝蓋やや上部に小色素斑を生じ,漸次,左大腿外側および上部屈側と左下腿上部内側に数を増してきた.皮疹の分布は前記の部位に帯状に配列している.個疹は1~3×5~7mm大,境界明瞭な不整形の褐色斑で,わずかに陥凹している.網状の融合傾向を認める.自覚症状はない.自験例は長尾らの報告した列序性網状色素沈着症(仮称)と同じ疾患と考えた.
  • 安井 由美子, 馬場 俊一, 鈴木 啓之
    1985 年 95 巻 14 号 p. 1523-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    3歳女子の外陰部,34歳男子の顔面に発生したcutaneous focal mucinosisの2例を報告した.自験例2例とも,グリコサミノグリカン産生細胞と思われる線維芽細胞様細胞の増殖とヒアルロン酸の過剰産生をみた.電顕的な観察では,ルテニウム赤染色法において間質領域にルテニウム赤陽性の網目状構造を認め,これはヒアルロン酸の過剰産生によるものであると考えた.タンニン酸染色法においても間接的にグリコサミノグリカン(またはプロテオグリカン)を観察し得た.また自験例を検討し,cutaneous focal mucinosisとmyxoma,cutaneous myxoid cystは本質的に同一の疾患であると考え,組織学的差異は皮疹の成育時期の差や皮疹発生部位の差であると推察した.
  • 杉浦 功人, 上田 宏, 平野 和行, 足立 哲夫
    1985 年 95 巻 14 号 p. 1535-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    superoxide dismutase(SOD)の定量は,従来より酵素活性測定法で行われてきたが,検体として皮膚ホモジネートを用いる場合には,正確な定量は困難であった.また,Cu,Zn-SODと,Mn-SODの分別定量法もシアンイオンによるものでは完全ではないので,Cu,Zn-SODとMn-SODが免疫化学的に完全に区別できる性質を利用し,SODのenzyme immunoassay(EIA)を確立し,その測定系について検討を加えた.Cu,Zn-SODは,0.1~30ngの範囲で,Mn-SODは,0.1~10ngの範囲で定量可能であり,Cu,Zn-SODとMn-SODは完全に区別でき,回収率,再現性も良く,有用な方法であることを明確にすることができた.さらに酵素活性を指標にして求めた皮膚中のSOD量は,皮膚中の共存物質の影響を受け,正の誤差を与えることが明らかになった.
  • 杉浦 功人, 上田 宏, 平野 和行, 足立 哲夫
    1985 年 95 巻 14 号 p. 1541-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    皮膚中のsuperoxide dismutase(SOD)の定量は,従来まで酵素活性測定法で行われていたが,検体として皮膚(ホモジネート)を用いる場合,活性酸素分子種のscavengerである他の酵素の影響,チトクロームCに対する酸化還元物質の影響等が考えられ,またSODにはCu,Zn-SODと,Mn-SODの2種類があり,その分別定量が酵素活性測定法では不十分なためenzyme immunoassay(EIA)を用いて,感度がよく,特異性も高く,2種類のSODをその酵素蛋白量として定量する方法を確立した.今回は,ヒト正常皮膚中のSOD及び過酸化脂質量を測定し,年齢,日光の影響,表皮,真皮中の分布について検討した.その結果,年齢との関係では,malondialdehyde(MDA)含量は20歳代を最低値として,以後加齢にともない漸増し,Mn-SOD含量は20歳代を最低値として他の年代とは有意差を示したが,Cu,Zn-SOD含量は年齢との間に何ら関係を認めなかった.日光の影響では,露光部全層皮膚中Cu,Zn-SOD,Mn-SOD,MDA含量はすべて非露光部全層皮膚中の含量に比べ,やや高値を示した.さらに表皮中のCu,Zn-SOD,Mn-SOD,MDA含量は,真皮中含量に比べ有意に高値を示した.
  • 乃木田 俊辰, 野上 玲子, 前川 嘉洋
    1985 年 95 巻 14 号 p. 1547-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    基底細胞癌(BCC)8例,有棘細胞癌(SCC)5例についてfibronectin(FN)とlaminin(LM)の分布を螢光抗体法で観察,さらに血漿中のFN濃度を測定した.FNは,BCC,SCCともに腫瘍実質をとり囲む部位に,巾広く分布した.間質の炎症反応の強弱との相関は,とくに明瞭には認められなかった.LMは,BCC,SCCともに,腫瘍実質との境界部に一致して線状に認められ,間質のその他の部分には,認められなかったが,BCCの1例にのみ腫瘍実質内の腫瘍細胞間にLMの陽性所見を得た.血漿中のFN濃度は正常人血漿に比し,SCC,BCC共に明らかに高値を呈した.
  • 増子 倫樹, 伊藤 雅章, 佐藤 良夫
    1985 年 95 巻 14 号 p. 1553-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    白血病の治療として骨髄移植を施行された後,皮疹の出現を認めた急性graft versus host diseaseの5例を経験し,皮疹部表皮の微細構造を電顕的に検索した.また,その所見の程度と各症例の皮疹出現時から生検時までの期間を比較した.表皮細胞には主として2通りの変性像がみられた.1つは細胞質に空胞形成を伴う暗調細胞で,もう1つは細胞質全体の電子密度が低下する明調細胞であった.前者の空胞はミトコンドリア由来であり,互いに融合拡大し,生検時期の遅いものでは細胞質の輪郭が不明瞭になっていた.一方,後者の電子密度の低下は生検時期の遅いものほど増強し,最終的には細胞質の崩壊に到ると考えられた.細胞質内にはすでに早期の症例からintracytoplasmic desmosomeの形成がみられ,その数はしだいに増加した.この明調細胞の大部分は最終的には崩壊すると考えられた.ときにintracytoplasmic desmosomeを伴い,張原線維が充満し,濃縮した変性表皮細胞が主に生検時期の遅い例に観察された.以上の変性表皮細胞の一部にはリンパ球がしばしば相接して認められた.基底板は常に保たれていた.以上の表皮変性所見は本症に特有であると考えられる.
  • 武村 聡, 藤岡 彰, 安井 由美子, 鈴木 啓之
    1985 年 95 巻 14 号 p. 1561-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    皮膚サルコイドーシスの3例につき,皮膚病巣の肉芽腫におけるアンギオテンシン変換酵素(ACE)の局在を蛍光抗体法を用いて検討した.その結果,血清ACE活性が高値を示した1例,正常値を示した2例のいずれにおいても,皮膚病巣肉芽腫の類上皮細胞にACEに対する特異蛍光所見を認めた.これにより,サルコイドーシス患者における血清ACE活性の上昇には皮膚病巣肉芽腫の類上皮細胞も関与していることが示唆された.同時に本法が,血清ACE活性が正常値を示す皮膚サルコイドーシス疑診例に対し高い診断的価値をもつものと考えられた.
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