日本皮膚科学会雑誌
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119 巻 , 12 号
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皮膚科セミナリウム 第55回 人,動物,虫,原虫
原著
  • 伊藤 寿啓, 福地 修, 片山 宏賢, 梅澤 慶紀, 小澤 明, 中川 秀己
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 12 号 p. 2345-2354
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    我々は,乾癬患者の外用療法アドヒアランスの向上を目的として作成した「乾癬外用治療セルフチェック」および「乾癬外用治療のポイント」の有用性について,尋常性乾癬患者50例を対象として検討した.「乾癬外用治療セルフチェック」に掲載しているQOL(Quality of life)やコンプライアンス等に関する5つの質問で構成したセルフチェックテストを用いて,調査開始時と1カ月後に同一のテストを実施し,その点数の変化について検討した.調査開始時のセルフチェックテストの結果に基づき,患者と医師で話し合いを行ったうえ,患者が主体となって1カ月間の治療法を決定した.また,医師が患者に対して外用指導を行う際には「乾癬外用治療のポイント」を活用した.その結果,セルフチェックテスト合計点数の平均が調査開始時10.0点から1カ月後11.0点に上昇した.特に調査開始時の合計点数が9点以下だった症例(22例)では,調査開始時平均点数7.2点から1カ月後10.5点と有意に上昇した(Wilcoxon符号付順位検定:p<0.001).また,患者が特に早く良くしたいと考えている部位(1部位)を選択し,その部位における有効性についてPSI(Psoriasis Severity Index)スコアを指標として評価したところ,PSIスコアの平均値が調査開始時5.9から1カ月後4.4へと有意に低下した(Wilcoxon符号付順位検定:p<0.001).今回の結果では,「乾癬外用治療セルフチェック」の結果をもとに,患者が主体となって治療方法を決定し,その治療を継続実施した結果,乾癬患者のQOLやコンプライアンスが向上したと考えられた.また,そのQOLおよびコンプライアンスの向上が有効性に好影響を与えたことが示唆された.以上より,「乾癬外用治療セルフチェック」および「乾癬外用治療のポイント」は乾癬患者の外用療法アドヒアランスを向上するための有用なツールに成り得ると考えられた.
  • 浅野 雅之, 橋本 彰, 奥山 隆平, 相場 節也
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 12 号 p. 2355-2358
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    1992年にBaran & Kintによって報告された,爪母由来のonychomatricomaの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.症例は41歳の男性であった.10年前より右第IV趾の爪が黒く,厚くなっているのを自覚した.趾背部皮膚が赤くなり,軽度の自発痛を伴うようになったため皮膚科を受診した.爪甲は全体に黄色調に肥厚し,黒色調の縦走する線条と先端には散在性の点状出血を伴っていた.後爪郭には軽度の紅斑と腫脹がみられた.爪白癬を疑い検鏡したが,真菌要素は確認できなかった.爪部の腫瘍性病変を疑い,局所麻酔下に抜爪を行った.爪母に多数の指状の突起を有する弾性硬で淡紫赤調の腫瘍があり,抜爪した爪甲にはその突起と噛み合う様に多数の空洞が形成されていた.病理組織検査の結果,腫瘍は,乳頭状に肥厚する爪上皮を有し,間質は多数の紡錘形細胞と繊細な膠原線維から形成されていた.一方,爪甲には遠位端に漿液性の液体を有する多数の空洞と,顆粒層を経ずに上皮細胞が爪甲を形成する像があった.
  • 新井 達, 小中 理会, 脇田 加恵, 勝岡 憲生, 金森 晃
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 12 号 p. 2359-2364
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病入院患者267名の皮膚症状を調査・検討した.平均年齢は58歳(男性15~86歳,女性19~80歳),糖尿病歴は平均13.2年,入院時HbA1cの平均値は9.13%であった.皮膚症状のなかでは真菌感染症,特に足白癬が高頻度(198例,74.1%)に認められた.カンジダ症は低頻度(14例,5.2%)であったが,13例に白癬を合併し,約半数が糖尿病Triopathyを伴っていた.直接デルマドロームとしては糖尿病性顔面潮紅(rubeosis)(53例),柑皮症(36例),手掌紅斑(23例)などが多くみられた.また,デュプイトラン拘縮は17例,前脛骨部色素斑は6例,糖尿病性浮腫性硬化症が5例にみられた.これらの皮膚疾患ではいずれも高率にTriopathyを伴っていた.また,因果関係は不明だが,掌蹠に色素斑を伴う症例が43例にみられ,男性に好発した.今回の我々の検討結果から,糖尿病に伴う皮膚症状と,その頻度,そして糖尿病の病態との関連性がより具体的に示されたものと考える.
  • 林 和人, 村松 重典, 山崎 正視, 早川 和人, 池田 志斈, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2009 年 119 巻 12 号 p. 2365-2370
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    連珠毛は常染色体優性遺伝によって生じる先天性毛幹異常疾患で,毛幹が一定の間隔をおいて細くなり,紡錘状となって連珠に似る.症例1:27歳女.6歳頃より前頭部の疎毛を認めた.症例2:5歳男児.症例1の息子であり,数カ月前より前頭部,後頭部に疎毛を認めた.両症例とも被髪頭部の毛髪密度が疎で,長さ数cmの短い硬毛が多く,毛幹は容易に折れた.走査型電子顕微鏡所見では,毛幹に狭窄部分が規則正しく数珠状に配列しており連珠毛と診断した.ヘアケラチンの遺伝子検索を施行し,母子共にhHb6にE413Kの遺伝子変異が確認された.ヘアケアの指導とミノキシジル外用で毛髪量の改善が認められた.
速報的小論文
  • 下方 征, 斎藤 万寿吉, 入澤 亮吉, 坪井 良治
    原稿種別: 速報的小論文
    2009 年 119 巻 12 号 p. 2371-2374
    発行日: 2009/11/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    2003年11月から2007年10月までの4年間に東京医科大学病院皮膚科を受診した肛門部尖圭コンジローマ患者55症例を検討した.男性53例,女性2例.発症平均年齢は31歳であった.発症部位では肛門周囲病変と肛門管病変の合併が27例(49%)と最も多く,肛門周囲のみ23例(42%),肛門管病変のみ5例(9%)であった.また,55例中HIV感染患者は29例(53%)であり,非感染患者は18例(32%),未検者は8例(15%)であった.治療方法としては電気焼灼術を中心に冷凍凝固術,5-FU外用などを併用したが,完治に至った36名の平均治療期間は8.4カ月であり,19名(34%)は治療を自己中断していた.肛門部尖圭コンジローマはHIV感染を疑う疾患の一つであり,また治療期間が長くなるので十分な経過観察が必要である.
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