日本皮膚科学会雑誌
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102 巻, 8 号
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  • 山田 雅信
    1992 年 102 巻 8 号 p. 947-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    ヒト高分子メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)に対するモノクローナル抗体(MoAb)である抗HMW-MAA MoAb(Ab1)763.74を免疫原として同系BALB/cマウスを免疫し,多数の抗イディオタイプMoAb(Ab2)を作製した.そのAb2の中からinternal imageを持つと思われる抗イディオタイプMoAb MK2-23を免疫原として同様に同系BALB/cマウスを免疫し,抗抗イディオタイプMOAb(Ab3)を作製した.このAb3は,血清学的にも,生化学的にも,Ab1と同一の抗原を認識することが証明され,MK2-23がinternal imageを持つことが明らかにされた.これまで抗HMW-MAA MoAbはメラノーマだけでなく,BCCや色素性母斑とも反応することが知られているが,今回筆者は,8種の抗抗イディオタイプMoAb(Ab3)を用い,抗HMW-MAA MoAb(Ab1)763.74との染色性の相違について,メラノーマほか種々の皮膚腫瘍を対象にして免疫組織学的に比較検討した.その結果,Ab3は,全体的にAb1より少し弱い反応性を示したが,ヒトメラノーマ原発巣及び転移巣と反応した.NM原発巣では,Ab3はAb1と同様に4例中全例に陽性であった.NM転移巣では,Ab1とGH368は5例中4例に,その他のAb3では5例中3例に陽性であった.ALM原発巣では,Ab1及び3種のAb3では8例中4例に,他のAb3では8例中3例に陽性を示した.Ab1で陰性の4例はすべてAb3でも陰性であった.ALM転移巣では,Ab1もAb3も4例中2例に陽性で,2種のAb3はAb1に非常に類似した染色性を示した.BCC,色素性母斑では,Ab1もAb3もhomogeneousに強陽性を示した.青色母斑,SCCでは全例陰性であった.Ab3はその染色性の違いから3グループに分類できた.Ab3とヒトメラノーマの免疫組織学的な反応性は,indirect binding assayやinhibition assayによるヒトメラノーマ培養細胞Colo38との免疫血清学的な反応性とほぼ一致する結果であった.また,Ab3がoriginal antigenのHMW-MAAと反応するという事実より,抗イディオタイプMoAb MK2-23が,original antigenであるHMW-MAAに対するinternal imageを持つことが免疫組織学的に証明された.さらに,ヒトメラノーマに関するモノクローナル抗体を用いた免疫組織学的検討により,抗原であるHMW-MAAを中心として,Ab1(抗HMW-MAA MoAb 763.74),Ab2(抗イディオタイプMoAb MK2-23),そしてAb3(抗抗イディオタイプMoAb GHseries)によるイディオタイプネットワークを形成していることが明らかになった.
  • 小川 忠丈, 内田 良一, 鈴木 亜実, 勝岡 憲生, 西山 茂夫
    1992 年 102 巻 8 号 p. 957-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    ビタミンA酸がフィブロネクチンに対する細胞接着性に及ぼす影響を3種の培養細胞株について調べた.ケラチノサイトとして,FRSKを,線維芽細胞としてL929とWS-1細胞を用いた.フィブロネクチンはヒトフィブロネクチン精製品または組み換えヒトフィブロネクチンを用いて,細胞接着アッセイをPanayotouらの方法に準じて実施した.結果,ビタミンA酸1μMにて,3種の細胞が最大の接着活性を示すことがわかった.細胞の接着性に対する影響は,天然のフィブロネクチンと組み換えフィブロネクチンとの間で差は無かった.さらに,ヒトフィブロネクチン・レセプターモノクローナル抗体を用いて,WS-1細胞のフィブロネクチン・レセプター発現に及ぼすビタミンA酸の影響を調べた.結果,1μMのビタミンA酸が対照の1.3倍までレセプター数を増加させることが判った.
  • 刀祢 真理, 衛藤 光, 西山 茂夫, 佐藤 光男, 佐藤 征二
    1992 年 102 巻 8 号 p. 963-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    蛋白の生体内分解除去機構に関与する一種のheat shock proteinであるUbiquitin(Ub)に対する抗体をSystemic Lupus Erythematosus(SLE)患者において検討した.血清抗体の測定は36例の健常人を対照群として,Streptavidin-biotinを用いたenzyme linked immunosorbent assay(ELISA)で測定した.71例のSLE患者のうち抗Ub抗体(IgA・IgG・IgM全クラス)は50例(70%)が陽性となった.また,45例(63%)が抗Ub抗体IgG陽性を示し,抗Ub抗体IgMは27例(38%)で陽性であった.皮膚症状およびその他の臨床症状と臨床検査成績との相関をみたところリベドと中枢神経障害で陽性率が高値を示した.年齢,抗ds-DNA抗体,抗カルジオリピン抗体,CPK,蛋白尿との関連は明らかではなかった.抗Ub抗体IgGが高値を示した10例では抗ds-DNA抗体価50unit以上の症例が6例,CPK低値が8例,蛋白尿陽性が6例認められ,活動性が高い傾向を示した.Ubの生体内の機能の詳細については依然として不明の点が多い.SLEの病態との関係では,変性したDNAなどの細胞内異常蛋白の分解除去がUbの抗体の存在により阻害され,病勢を悪化させている可能性が推測された.
  • 安田 秀美, 小林 仁, 大河原 章, 今村 貞夫, 北村 清隆, 稲葉 裕
    1992 年 102 巻 8 号 p. 971-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    本邦における膿疱性乾癬の実態を明らかにする目的で,厚生省特定疾患稀少難治性疾患調査研究班(班長:今村貞夫)によりアンケート調査が行われた.198施設,604例に調査票を送付し,171施設,541例から回答を得た(回収率89.6%).汎発性膿疱性乾癬(GPP)を,先行病変として尋常性乾癬を有するか否かにより2群に分け,尋常性乾癬の経過中一時的に全身の膿疱化を示した症例を加えた3者の間で,患者背景,臨床症状,臨床検査所見,病理所見を比較,検討した.その結果,1)GPPは大きく2つの群に分けられると考えられた.すなわち,①小児で発症しやすく,膿疱化を繰り返し,乾癬様皮疹を伴いにくい群,②乾癬様皮疹と膿疱化の移行を繰り返す群である.2群の間で,膿疱化状態における皮膚症状,随伴所見に差はない.2)尋常性乾癬も全身の膿疱化を示すことがある.しかし,GPPとは異なり,①膿疱化の回数は1回のみのことが多い.②粘膜症状が少ない.③間擦部の膿疱が少ない.④膿疱の誘因として治療の影響が疑われる例が多い.以上の結果から,GPPと尋常性乾癬の全身的膿疱化は区別できること,また,GPPにおいて,乾癬に密接な関係を持つ群と持たない群が存在することが,臨床,疫学的に明らかとなった.
  • 麻生 和雄
    1992 年 102 巻 8 号 p. 977-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    過去15年間の山形大学皮膚科でのcutaneous lupus erythenatosusは99症例で,その中で抗SS-A抗体陽性のSjogren's syndromeとlupus erythematosus overlap(SjS/LE overlap)は15症例であった.15症例はいずれも厚生省SjSの診断基準を満し,13症例はアメリカリウマチ協会のSLE診断基準4以上を満した.15症例中抗核抗体,リウマチ因子(RA)は全例陽性,抗SS-B抗体は8例で陽性,抗DNA抗体は1例で陽性であった.15症例を臨床所見・経過からSCLE型(4症例),凍瘡状LE型(3症例),discoid LE/lichen planus overlap型(1例),老人性LE型(4例)およびProvost型(3例)の5型に区別した.各型の代表例を選び記述すると共に,それらSjS/LE overlapの主徴であるcutaneous LEが,抗SS-A抗体に深く関連した皮疹であるとする考えを述べた.
  • 相川 洋介, 吉池 高志, 川本 知江, 西村 久美子, 川合 博子, 小川 秀興
    1992 年 102 巻 8 号 p. 991-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)に対するPUVA療法の臨床的効果は既に諸家の報告するところであるが,PUVA療法がなぜADに対して奏功するのかの詳細な作用機序については明らかでない.そこで重症難治性AD患者30人に対し,PUVA療法前後における検査所見など諸因子を比較検討することにより,その作用機序の一端を探った.結果として,重症度スコアの著明な低下,即ち優れた臨床的効果を示し,血液所見では皮疹の程度を反映するといわれている血清LDH値の低下を認めた.生理学的検査では,低下していた角層水分保持能の約3倍の増加を認めた.一方組織学的検査では,ケラチン14(ES3a)陽性細胞の減少と表皮肥厚の改善,さらに浸潤リンパ球・mast cell・ランゲルハンス細胞数の減少を認めた.以上のことは,ADに対するPUVA療法の作用が一次的には照射部位である皮膚にあり,その影響は局所免疫系のみならず角化機序やそれを担う角化細胞系の機能にも及ぶこと,さらにその結果破綻した皮表バリヤー機構も改善させるなど多岐に亘っているものと想定された.
  • 1992 年 102 巻 8 号 p. 995-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
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