日本皮膚科学会雑誌
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101 巻 , 11 号
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  • 田中 勝
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1243-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    類天疱瘡患者100人の血清のヒト表皮抽出液抗原および表皮基底膜部リコンビナント蛋白抗原との反応性を免疫ブロット法を用いて検討し,臨床データとの関連性を統計的に検討した.表皮抽出抗原を用いた免疫ブロット法で,72%の血清が230kDの蛋白を認識し,43%の血清が170kDの蛋白を認識した.また,2つのリコンビナント蛋白,すなわち,230kDの類天疱瘡抗原の約半分をコードするマウスcDNAクローンBPM1全長を翻訳した120kDの蛋白およびそのC末端側半分を翻訳した60kDの蛋白との反応性をウエスタンブロット法にて観察したところ,230kDの蛋白を認識する血清のうち,84%が120kDのリコンビナント蛋白と,47%が60kDの蛋白とそれぞれ反応した.これらの結果から,230kDと170 kDの蛋白が主要な類天疱瘡抗原であり,230kD類天疱瘡抗原はそのC末端側に少なくとも2つの抗原決定基を有すること,さらにN末端側にもいくつかの抗原決定基を有することが示唆された.また,230kDの蛋白は抗原決定基に関する限り,170kDの蛋白とは異なるものと考えられる.次に,臨床的データを免疫ブロットの結果と合わせ,統計的に解析したところ,白血球数,好酸球比率,IgE値がそれぞれ重症度と相関した(p<0.05).χ2検定により,粘膜疹と顔面病変が170kD類天疱瘡抗原と,粘膜疹と230kD抗体陰性が相関した.
  • 中尾 裕史
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1253-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    マウスmelanomaの低肺転移株であるB16-F1 melanoma細胞(F1)と高肺転移株であるB16-F10 melanoma細胞(F10)を用いて,これら細胞の転移能と各種lysosome酵素活性の相関関係を比較検討した.まず各々のin vitroでの培養細胞を材料として,lysosome酵素であるcathepsin B,hemoglobin(Hb)-hydrolase,β-glucuronidase及びacid phosphatase活性を各々測定し比較検討を試みた.その結果,①培養F1細胞と培養F10細胞間にはいずれの酵素活性とも有意な差は認められなかった.次いで,②これらF1,F10培養細胞をマウスに投与することによって肺に形成された腫瘍塊での比較では,F10 melanoma腫瘍塊において,cathepsin B,Hb-hydrolase及びβ-glucuronidase活性共にF1 melanoma腫瘍塊よりも有意に高い値が検出された.更に,③転移した腫瘍の周辺肺組織における酵素活性を比較したところ,F10腫瘍の周辺肺組織においては,cathepsin B及びHb-hydrolase活性がF1腫瘍のそれよりも有意に高い値が示された.一方,④培養したF1及びF10 melanoma細胞に,cathepsin Bのin vitroでのinhibitorであるE-64,あるいはHb-hydrolaseのinhibitorであるpepstatinを添加培養したところ,各々に対応する酵素の活性はそれぞれ理論通り阻害された.しかしながら,⑤同様に,cathepsin Bのin vitroでのinhibitorであるleupeptin,antipain,chymostatinなどを添加した系では,cathepsin B及びHb-hydrolase活性は阻害されず,逆に上昇した.更に,⑥間質成分であるcollagenまたはfibrinなどの添加培養によってもcathepsin B及びHb-hydrolase活性が上昇し,特に,fibrinによるHb-hydrolase活性の上昇作用は顕著であった.以上のことから,melanoma細胞の局所での増殖,浸潤,転移性,特に,転移能には,cathepsin B,Hb-hydrolase及びβ-glucuronidaseなどのlysosome酵素の活性が重要な役割を演じている可能性が明らかにされた.更に,肺転移したマウスB16 melanoma細胞は,周辺組織特質であるcollagenやfibrin,あるいはプロテアーゼのbiological inhibitorなどの分子成分と対応しつつ腫瘍細胞自身の酵素活性を微妙に変化させるだけでなく,周辺組織の酵素活性をも変化させつつ局所侵襲性を果たしているものと考えられた.
  • 平野 眞也
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1261-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    ヒト正常皮膚におけるデスミン陽性細胞の形態的特徴とデスミン陽性の血管周囲細胞(ペリサイトおよび血管平滑筋細胞),筋線維芽細胞がみられる種々の皮膚腫瘍および創傷治癒過程について免疫組織化学的に観察した.正常皮膚では,立毛筋と乳輪平滑筋および陰嚢平滑筋とではデスミン陽性筋線維の配列に相違がみられた.重層する血管平滑筋細胞をもつ血管ではデスミン陽性を示すものが多かった.一方,微小循環系のうち一層の血管周囲細胞すなわち血管平滑筋細胞あるいはペリサイトにより構成される部分では,血管周囲細胞はデスミン陰性のことが多かったが,陽性の場合にはその形態はきわめて特徴的であった.血管平滑筋腫,hemangiopericytoma,グロムス腫瘍を構成する腫瘍細胞はいずれもデスミン陽性であった.その特徴的な陽性像から血管平滑筋腫は比較的太い径を持つ静脈および動脈の,hemangiopericytomaは微小循環系を構成するペリサイトの腫瘍化であると考えられた.また,いずれの腫瘍細胞もビメンチンに陽性を示したことから,これら3種の腫瘍は同一の起源をもつ「血管周囲細胞腫(periendothelial cell tumor)」として一括しうるものと考えられた.Infantile digital fibromatosisを構成する筋線維芽細胞はデスミン,ビメンチンともに陽性を示したことから筋線維芽細胞は血管周囲細胞と近縁な細胞であることが示唆された.正常の創傷治癒過程ではデスミン陽性の血管周囲細胞および筋線維芽細胞がみられた.肉芽組織において新生血管および線維芽細胞様細胞が増加する時期にはデスミン陽性細胞は増加し,線維化がすすむにつれて減少し,完全に瘢痕化した場合には消失した.肥厚性瘢痕,ケロイドでは,線維化が進行した時期においても新生血管が豊富にみられ,またデスミン陽性の血管周囲細胞は消失することなく特徴的な形態を示しながら多数みられた,難治性腫瘍でも,多数のデスミン陽性血管周囲細胞および筋線維芽細胞がみられ,筋線維芽細胞が血管内皮細胞を直接取り囲む所見もみられた.これらのことから,デスミン陽性の血管周囲細胞および筋線維芽細胞が新生血管の制御に関与することが示唆された.一方,難治性腫瘍,肥厚性瘢痕,ケロイドではデスミン陽性血管周囲細胞は新生血管に対する制御機構に異常があり,また新生血管の保全に関与している可能性が考えられた.デスミンは皮膚平滑筋で恒常的にあるいは一過性にみられるが,恒常的に発現している場合には細胞骨格蛋白として機能し,また血管周囲細胞や筋線維芽細胞の増殖時期に一過性に出現する場合には細胞の分化,成熟に関与している可能性が高いと思われた.
  • 鳥飼 抄順
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1277-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    Ki-67抗体を用いて,正常皮膚及び皮膚上皮性腫瘍の免疫組織化学染色を行い,各腫瘍の臨床的悪性度との関連性の有無を調べ,またmitosis indexと比較し,その有用性を検討した.正常皮膚では基底細胞層及びその直上層に,核が褐色調に濃染するKi-67陽性細胞が散見された.又同時に,細胞質も淡褐色に染色された.各腫瘍のKi-67陽性率(growth fraction;GF)と,分裂細胞の比率(mitosis index;MI)はそれぞれ,脂漏性角化症(GF:4.3±1.2,MI:0),ケラントアカントーマ(GF:6.4±1.6,MI:0.35±0.10),基底細胞癌(GF:11.4±3.0,MI:0),Bowen病(GF:24.5±2.7,MI:0.58±0.21),有棘細胞癌(GF:26.9±4.4,MI:0.72±0.22)であった.各腫瘍の臨床的悪性度とGFはMIと比べても,比較的良く相関していた.さらにケラトアカントーマと有棘細胞癌との間で明らかにGFが異なった事から,両者の鑑別の一助となると思われた.
  • 小倉 良平, 西 寿一, 杦山 正康, 河野 雅弘, 近 由喜子
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1285-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    5,5'-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide(DMPO)をラジカルトラップ剤として,水に紫外線(UV)を照射したところ,照射量に応じて,・OHのスピンアダクト(DMPO-OH)のスペクトルが電子スピン共鳴法(ESR)により検出された.ESRシグナル強度は蒸留水よりも水道水や海水の場合に高く,且つUV-C,BのみならずUV-A領域の照射においても同様の結果が認められた.hydroxyl radical(・OH)の生成はH2Oからの水素引き抜きによる過程とH2O2を経由する過程などが示唆された.これらの結果から,日照下におけるプールや海水浴,また発汗時のwet skinで,・OH生成による皮膚障害が助長される可能性が示された.
  • 大津 晃
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1291-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    チメロサール皮膚炎の13例を検討し,その抗原決定基による分類は,チオサリチル酸(S群)8名,チメロサール(T群)3名,水銀系(H群)1名,チオサリチル酸と水銀(HS群)1名であった.チオサリチル酸感作高度例にピロキシカムの光貼布試験以外に貼布試験も陽性となるものが存在した.254名の外来患者についてチメロサール感作基による分類を試み,同時にピロキシカム光貼布試験を検討したところ,70名のチメロサール貼布試験陽性者を認め,その構成は,S群17名,HS群4名,H群37名,T群12名であった.ピロキシカム光貼布試験陽性者はチオサリチル酸陽性群(S+HS群)21名中13名に認められた.ピロキシカム光線過敏症はチメロサール皮膚炎の42.8%に発生する可能性があることを示した.またチメロサールの陽性率および貼布試験の施行方法の問題点について述べた.
  • 多田 茂, 黒木 康雅, 阪口 英, 楢原 進一郎, 小橋 正洋, 高崎 直哉, 立山 直, 黒川 基樹, 小田 裕次郎, 北村 豪, 田尻 ...
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1303-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
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    高齢者頭部血管肉腫9例を経験し8例に広範囲大量電子線療法を行った,8例全例に照射部位の皮疹の消退をみた.そのうち4例に局所再発がみられたが,2例は追加照射を行い,その後の再発はなく,死亡時あるいは現時点において,頭部に皮疹を認めないものは6例である.しかし頭部病変が消失した症例を含めて9例中5例に肺転移がみられた.過去10年間の本邦報告56例について手術療法と放射線療法の問題点を比較検討し,現状における後者,特に広範囲大量電子線照射療法の有用性を強調した.
  • 佐藤 典子, 村井 博宣, 八木 英一, 高橋 伸也, 浜中 純子
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1323-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    特異な臨床経過を示した菌状息肉症の1例を報告し,若干の文献的考察を加えた.病初期に浸潤性紅斑の出現と共に,四肢遠位部に知覚障害を認め,抹消血中に種々の程度に核にくびれを有するhelper/inducer T細胞のモノクローナルな増多を認めた.浸潤性紅斑部の組織では表皮向性の強い小リンパ球様細胞が浸潤し,Pautrier微小膿瘍の形成を認め,浸潤細胞の表面マーカーはhelper/inducer T細胞であった.その後比較的緩徐な経過を辿り,末梢血にTリンパ球のモノクローナルな増加を認めなくなり,未梢の異常感覚も消失したが,発症から59ヵ月後急激に全身に皮膚腫瘤の多発と系統的リンパ節腫大が出現,その3ヵ月後に死亡した.末期腫瘤部およびリンパ節にはリンパ芽球あるいはimmunoblast様大型異型細胞の稠密な浸潤をみた.この大型異型細胞ではT cell receptor β chain遺伝子の再構成が認められ,表面マーカーはhelper/inducer T細胞であった.末期腫瘤部およびリンパ節でHTLV-1のproviral DNAは検出されず,且つ経過中HTLV-1抗体は陰性であった.本例ではHTLV-1の感染は証明しえなかったが,扁平浸潤期にleukemic lymphomaであった点,末期に急激に腫瘍細胞の芽球化を来し,腫瘤形成性に進行した点より定型的な菌状息肉症というよりも,Simoyamaらが1986年報告したHTLV-1の関与しないATLにより近いものと考えた.
  • 児浦 純義, 太良 光利, 徳永 正義
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1333-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    IFN-γ吸入療法の奏効したKi-I陽性ATLの1例を報告した.症例は56歳,男性で,HTLV-I抗体陽性,皮膚腫瘤はCD2,CD3,CD4,CD25並びにCD30を発現した大型リンパ球の増殖を示した.PCR法で腫瘍細胞にHTLV-I Provial DNAを証明した.治療として,IFN-γ吸入療法を実施し,皮膚腫瘤の消褪をみとめるとともに,併発していた汎発性白癬もほぼ治癒した.文献的見地から,Ki-I抗原の意義について述べるとともに,あわせてKi-Iリンパ腫にも言及した.又,IFN-γ吸入療法の意義を述べた.
  • 河島 智子, 本田 智子, 大久保 千真季, 松島 勇治, 馬場 徹, 上野 賢一
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1339-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    15歳で発症した播種状黄色腫の女性例を経験し,検討を加えた.前額,眼囲,頚部,腋窩,左膝窩に米粒大から小豆大,橙黄色から黄褐色,弾性硬の小結節が多発し,肛囲,外陰部からの鼡径部,大腿内側にかけては融合傾向が著しく黒褐色の巨大な局面を形成していた.また,口腔,咽頭,喉頭,及び胃に粘膜疹を伴っていた.画像上,脳下垂体と下垂体茎の腫大があり,間脳下垂体の全般的は機能異常を認めたため,黄色腫細胞の間脳下垂体への浸潤が推測された.また,肝部下大静脈と左総腸骨静脈の狭小化を認めた.
  • 山崎 正視, 田中 源一, 石橋 明
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1345-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬患者17名,掌蹠膿疱症患者19名,健常人7名から採取した末梢血Tリンパ球に占めるγδT細胞の比率を,セルソーターを用いて測定した.乾癬患者群では掌蹠膿疱症患者群及び健常人と比較して有意に増加していたのに対し,掌蹠膿疱症患者群と健常人との間に有意差はなかった.個々の乾癬患者の臨床像とγδT細胞数の間には相関関係は見いだせなかった.また4名の乾癬患者の病変部皮膚新鮮凍結切片において,γδT細胞は検出されなかった.従ってγδT細胞の乾癬病巣に対する一次的関与の存在は否定的と思われた.
  • 赤崎 秀一, 中川 秀己, 朝比奈 昭彦, 桑田 昇治, 徳永 勝士, 石橋 康正, 十字 猛夫
    1991 年 101 巻 11 号 p. 1349-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    24名の日本人尋常性乾癬患者末梢血白血球よりDNAを抽出し,HLA-C分子の73番目のアミノ酸を規定する部位を含む塩基配列をpolymerase chain reaction法にて増殖させた後,2種のオリゴヌクレオチドプローブを作製し,hybridizationを行った.その結果,HLA-C分子の73番目のalanineを規定する塩基配列を含むプローブ:C208A(5'-AGGCACAGGCT-GACCGA-3')と反応する率が正常人対照群と比べ,患者群で有意に上昇していた〔患者群83%(20/24)対正常人群54%(20/37);χ2=4.31,relative risk=4.25,Pc<0.05〕.この特異的塩基配列はHLA-Cw6,Cw7および現在,血清学的にはタイピングできないCx52に認められた.73番目のalanineはα‐ヘリックス上に位置していることから,このアミノ酸の存在が尋常性乾癬発症に関与している可能性が考えられた.
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