日本皮膚科学会雑誌
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84 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 北村 弥, 吉岡 順子, 坂本 邦樹, 吉岡 章
    1974 年 84 巻 11 号 p. 505-
    発行日: 1974年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    健康な母親より,難産で仮死状態で生れた女児に,生後3日目から背部に脂肪織硬結が多発し,組織像も定型的な新生児皮下脂肪壊死であった症例を報告した.ただし,液状物質をいれた嚢腫様構造をとることが本症例の特徴であり,これを分析の資料とし,その成績は,これまでの患部脂肪織の脂肪酸構成とは逆に,オレイン酸が著しく増加していることを知った.とくに治療を行うことなく,約3ヵ月にて完治した.本症の本邦報告例を62例まで集めることが出来た.1924年の中川の最初の記載より10年間は4例,次の20年間に1例の報告にすぎなかったが,1954年から1963年までの10年間には24例,それ以後今日までの10年間に33例と報告例は急増している.このうち記載の明らかな48例について文献的考察を試みた.
  • 松原 為明, 江竜 喜史, 福代 良一
    1974 年 84 巻 11 号 p. 517-
    発行日: 1974年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    Behcet病44例,その疑10例,その可能性のある例43例,および対照例30例においていわゆる針反応を施行した.刺激としては,(1)ツベルクリン,(2)生理食塩水,(3)皮内針刺入,および(4)採血針刺入の4種を用いた.結果は次のように要約できる.(1)針反応の判定時間としては48時間が適当である.(2)針反応のための刺激としては皮内針または採血針の刺入がよく,これにツ反応を加えるとさらによい.(3)針反応はBehcet病の診断に役立ちうる.(4)針反応の成績はBecet病の各症状のうち,特に口腔アフラ性潰瘍および陰部潰瘍の消長と関係があった.(5)少数例の観察では,Behcet病の経過と針反応の成績との間に特別な関係はみられなかった.Behcet病の皮膚表現の一つに,非特異的な刺激に対する皮膚の過敏状態があり,それは注射部位の化膿傾向または針反応として知られている.われわれは,昭和46年および同47年の2年間に金沢大学皮膚科で扱ったBehcet病患者,その他若干の皮膚疾患患者およびある種の眼疾患患者において針反応を施行した.以下,その成績を述べる.なお,Behcet病の診断基準としては,厚生省特定疾患ベーチェット病調査研究作成の「ベーチェット病診断の手引き」(別記)を採用した.
  • 水野 勝
    1974 年 84 巻 11 号 p. 523-
    発行日: 1974年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    50例の正常人,107例の糖尿病患者について爪床毛細血管撮影をおこない,つぎの結論をえた.1 糖尿病群では正常群にくらべ,係蹄の吻合,屈曲,捩れ,顆粒状血行,乳頭下血管網(見える),拡張延長など異常を呈する率が高かった.2 糖尿病性毛網症を有するものは,それを有していないものにくらべ爪床毛細血管異常を呈する率が高く,異常も高度であった.3 糖尿病患者で高コレステロール血症を有するものと,それを有していないものとでは爪床毛細血管異常に明らかな差位はみられなかった.4 皮膚合併症と爪床毛細血管との関連では,疾患別にはとくに明らかな関連は見られなかった.しかし,皮膚科学的に正常であった糖尿病患者では高度な爪床毛細血管異常がみられなかった.5 糖尿病性細小血管症の病態把握において,網膜症や腎症の検査と同様に,爪床部毛細血管観察撮影が有用であることを認めた.糖尿病にしばしばみられる血管病変はその糖代謝障害にもとづく結果ではなく,むしろその疾患の重要な一部をなすものと考えられている.その血管病変は大別して動脈硬化性血管障害と,糖尿病性細小血管症とにわけられるが,前者は全身性のもので,非糖尿病群に比して糖尿病群では発生頻度が高く,変化も高度である.しかし,加令現象としての動脈硬化性病変と形態学的に区別することはできない.後者は糖尿病で特有なもので,これまではおもに糖尿病性網膜症,腎症についての研究が多い.著者は糖尿病患者の爪床毛細血管像を観察し,その糖尿病性網膜症,血清脂質(コレステロール),皮膚合併症との関連についての検討をおこなった. 
  • 内山 光明, 中嶋 弘, 亀田 洋, 池沢 善郎, 永井 隆吉
    1974 年 84 巻 11 号 p. 529-
    発行日: 1974年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    慢性リンパ性白血病(CLL)患者の表皮内にみられた微小膿瘍を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し,末血中にみられる白血病細胞と類似形態のmicrovilliを有する細胞を認めた.
  • 西川 武二, 原田 敬之, 籏野 倫, 原田 鍾造
    1974 年 84 巻 11 号 p. 533-
    発行日: 1974年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    皮膚スポロトリコーシスは自然界に広く腐生的に生棲するSporothrix schenckiiが,偶々軽微な外傷を介して皮膚へ感染して生ずる疾患といわれており,南ア連邦の金鉱における集団発生などの疫学的事実は本菌の土壌よりの感染を支持するものである.中原は全国1312ヵ所より土壌を採取し,このうちからS. schenckiiと考えられる98株と患者分離株20株を主として形態学的な観点より検討し,土壌分離株のうちに患者分離株と極めて類似せる性質を示すものが見られる事から,土壌よりの感染を裏付けるデータとした.私共はS. schenckiiの土壌よりのHostへの侵入を菌の抗原性の面から裏付ける目的で土壌分離株及び患者分離株の抗原性状を検討し興味ある事実を見い出したので報告する.
  • 大熊 守也
    1974 年 84 巻 11 号 p. 537-
    発行日: 1974年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    メラノソーム(以下Mと略)が肝臓に達する状態は,通常はあまり起らない現象であるが,悪性黒色腫を持った患者が外傷を受け,腫瘍細胞が大量に破壊された場合や,同じく患者が抗腫瘍剤,放射線治療を受け,大量の腫瘍塊が壊死に陥入った場合等に起る可能性がある.肝類洞は基底板が欠如,あるいは痕跡的であるという特徴から,Mは類洞よりクプファー細胞(以下Kと略)を経て肝細胞→毛細胆管→総胆管→消化管→肛門の経路で,そのままの形で体外に排泄されるのではないかと想像した.
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