HIV感染者に合併し,急速に進行した2期環状丘疹性梅毒の2例を報告した.症例1は29歳,男,HIV抗体陽性.顔,四肢,躯幹に潰瘍を伴う肉芽腫樣の暗紅色環状局面が多発.左鼻翼部の欠損,陰囊に落屑性紅斑,陰茎に潰瘍の多発を認めた.RPR法:4.8倍,TPLA:4,453倍.症例2は34歳,男,HIV抗体陽性.四肢,躯幹に痂皮,膿疱,潰瘍を伴う暗紅色環状局面が多発.軟口蓋の壊死と口蓋垂の偏位を認めた.RPR法:1,024倍,TPHA:40,960倍.組織は症例1,2ともに真皮のリンパ球と形質細胞主体の稠密な細胞浸潤であった.ペニシリン系抗生物質にて症例1は鼻翼の欠損,症例2は軟口蓋の欠損は残ったが,症例1,2ともに環状局面は瘢痕を残さず治癒した.HIV感染者に合併した特異な2期晩発疹と診断した.さらに,過去10年間に当科を受診した顕症梅毒のHIV陽性群と陰性群を比較した.HIV陽性群は陰性群に比べ多彩な皮疹をとり,再感染及び再燃が多かった.
抄録全体を表示