日本皮膚科学会雑誌
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102 巻 , 12 号
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  • 松崎 敏子, 長谷 哲男, 中嶋 弘
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1505-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    成人T細胞性白血病(ATL)患者の末梢血リンパ球から樹立した末梢血helper T細胞型T細胞株(MTY6-10細胞)に種々のサイトカイン(interleukin(IL)-1β,IL-2,IL-4,IL-6,tumor necrosis factor(TNF)α,interferon (IFN)-α,IFN-γ)を添加して培養し,細胞表面の接着分子の発現をモノクローン抗体を用いて検討した.Very late antigen-4α(VLA-4a)はIFN-γ104IU/ml以上添加時及びIL-1添加時に発現が増加し,Lymphocyte function associated antigen-1(LFA-1)はIL-2添加時及びIFN-γ103,104IU/ml添加時に発現が増加した.また,IL-6添加時にはLFA-1,VLA-4αとも発現が減少した.CD45に関しては,IL-20.4ng/ml 添加時にCD45RAの発現が減少し,IL-1β200pg/ml添加時にCD45ROの発現が増加した,以上の所見から末梢T細胞株MTY6~10細胞表面の接着分子やCD45の発現の調節に種々のサイトカインが関与していることが示唆された.
  • 松崎 敏子, 宮沢 めぐみ, 家本 亥二郎, 金 秀澤, 馬場 直子, 宮本 秀明, 長谷 哲男, 中嶋 弘
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1513-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    横浜市立大学皮膚科において経験した23例のCutaneous T cell lymphoma(CTCL)の末梢血リンパ球のCD3,CD4,CD8,CD4/8,及びLDHの値と治療効果,予後との相関についてKaplan Meier法による生存曲線を用いて検討した.また,2名の患者について異なる時期にこれらを数回測定し,値の変化と病期の進行について検討した.対象はCTCLのTNM分類によるⅠA期4例,ⅠB期8例,ⅡA期3例,ⅡB期5例,Ⅲ期1例,ⅣA期2例であった.このうち,ⅠA,Ⅲ期の各1例に病期の進行が認められた.治療はⅠA,ⅠB,ⅡA期にはおもに紫外線療法(PUVA療法),ⅡA期以降のものには化学療法,電子線療法,及びこれらの併用療法を行った.死亡例は4例であり,治療前の病期はⅠA,ⅡB,Ⅲ,ⅣA期各1例であった.末梢血中リンパ球サブセットについては,CD3陽性細胞50%以下,CD4陽性細胞30%以下,CD4/8比1以下,HLADR陽性細胞40%以上,及びLDH値400mU/ml以上の症例では有意に予後が悪いという結果が得られた.
  • 市川 栄子, 渡辺 晋一, 大塚 藤男
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1519-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    基底細胞上皮腫の免疫組織学的特徴を明らかにする目的で,23例の症例について腫瘍細胞におけるサイトケラチン,フィラグリン,インボルクリンの発現をそれぞれに対するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を用いて検討した.腫瘍細胞は正常表皮および外毛根鞘と反応するMA-903,AE1,基底細胞および外毛根鞘と反応するPKK1,外毛根鞘の一部と反応するNo.8,No.19で陽性となり,No.13,CAM5.2,MA-902,抗フィラグリン抗体では陰性であった.また表皮上層および上部外毛根鞘と反応するKL1,MA-904,表皮上層および外毛根鞘内層,内毛根鞘,毛皮質の一部と反応する抗インボルクリン抗体では腫瘍内角質嚢腫周囲の細胞や胞巣の一部に陽性反応を認めた.以上の染色結果から,基底細胞上皮腫は正常表皮基底細胞とは異なる蛋白発現様式を示し,外毛根鞘の一部と同じ染色パターンであることが示された.
  • 梅林 芳弘, 坪内 由里, 大塚 藤男, 上野 賢一, 辻井 博彦
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1529-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    76歳の悪性黒色腫(ALM)に対し,筑波大学陽子線医学利用研究センターにおいて,陽子線療法を行った.右環指末節皮膚の原発巣に対し,1990年4月13日から4月26日までの14日間に1回線量10Gyで10回照射し,総線量100Gyで放射線治療を終了した.照射終了後約50日で照射野は完全にびらん化し,肉眼的に腫瘤は消失した.照射終了後から約70日で上皮化が完成し,生検では真皮上層にメラノファージは散見されるが腫瘍細胞を思わせる細胞は認めなかった.一方,転移巣に対しては,DAV療法,β-インターフェロン局注による集学的治療を行ったが、肺転移を来して照射から8ヵ月後に死亡した.陽子線はその優れた線量分布特性ゆえに従来の放射線では困難であった短期大線量照射法を可能たらしめるが,これは悪性黒色腫の放射線治療の可能性を拓くものと思われる.
  • 玉木 毅, 盛岡 奈緒子, 竹原 和彦, 石橋 康正, 紫芝 敬子
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1535-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    一定の時間的間隔を経過しつつSLE,PSS,PMを順次発症したオーバーラップ症候群の1例を経験した.症例は20歳時,全身に散在する紅斑・関節痛・発熱などの症状にて発症し,SLEと診断され,ステロイド内服による治療を受けた.同時に眼科的にSjogren症候群の合併も認められた.25歳時,手指及び顔面において皮膚硬化が進行,食道蠕動低下等の内臓病変も出現し,PSSとの重複と診断された.さらに27歳時,全身の筋痛および筋力低下が出現し,血中筋系酵素値の著明な上昇によりPMの重複と診断された.その後,ステロイドの増量により症状は改善し,現在に至っている.本例は,①3つの古典的膠原病を順次発症している点,②SLEと診断された時点よりプレドニゾロンの投与を受けていたにもかかわらずPSS,PMの発症をみた点,③多彩な免疫血清学的異常を示している点などが特徴であると考えられた.
  • 佐々木 哲雄, 高橋 一夫, 家本 亥二郎, 金 秀澤, 中嶋 弘
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1543-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    壊死性血管炎を伴い急激に広汎な四肢壊死をきたした全身性強皮症(PSS)の1例を報告した.症例は52歳時Raynaud現象で発症し,54歳の初診時すでに体幹にも特徴的な皮膚硬化を認め,肺・食道病変も伴っていた.55歳時から足底難治性潰瘍が持続し,その後示指末節壊死,第2趾末節吸収をきたしていた.検査では,抗トポイソメラーゼⅠ抗体と抗SS-A抗体が陽性であった.血清IgAの低下,血清補体価の低下,抗DNA抗体軽度陽性などの異常がそれぞれ異なる時期に一過性にみられたが,全身性エリテマトーデス,慢性関節リウマチ,Sjogren症候群などの重複を示唆するその他の所見はなかった.組織学的には54歳時と61歳時の前腕皮膚生検でも真皮の膠原線維の増生膨化と血管周囲性細胞浸潤に加えて,細動脈の内膜肥厚と内腔の狭窄化がみられていた.治療としては55歳時から対症的にプレドニゾロン内服が開始され,57歳時から約4年間5mg/日の維持投与が行われていた.61歳時急激に広汎な四肢壊死をきたし,検査で血清補体低下,血中免疫複合体陽性,足趾皮膚生検組織でフィブリノイド変性を伴う壊死性血管炎(結節性動脈周囲炎(PN)型)の像を認め,免疫組織学的に血管壁に免疫グロブリンと補体の沈着がみられた.発症1ヵ月後,膝上で両下肢切断術を余儀なくされ,切断肢の組織でも皮膚・筋肉内に多数のPN型血管炎が認められた.術後2ヵ月で心肺不全で死亡した.本例のようにPN型の血管炎を呈するPSSはこれまでもまれながら報告されているが,予後は不良で死亡例が多い.今後,このような症例の臨床的特徴を明らかにし,早期に線溶療法や抗凝固療法など適切な治療を行うことが肝要と思われる.
  • 六郷 正和, 青山 浩明, 赤尾 信明, 近藤 力王至
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1553-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    48歳,男性に生じた旋尾線虫幼虫による線状爬行疹の1例を報告する.皮疹は右下腹部より側腹部にかけて蛇行,迷走する線状の紅斑および水疱で,先進部周辺では浮腫,紅斑性変化が強く接触性皮膚炎様外観を呈した.これらは典型的な線状爬行疹の臨床像ではあるが,顎口虫によるものに比べ表在性の病変であることを特徴とし,水疱形成など炎症症状が強い.患者にはドジョウを含む生魚などの特別な食物摂取の既往はなく感染経路は不明であった.先進部の楔状切除による虫体の除去により症状は速やかに消失した. ELISA法などによる血清診断では,顎口虫に対する抗体は陰性であり,虫体の形態から旋尾線虫上科に属する幼虫による線状爬行疹と診断した.皮膚標本内の表皮直下に証明された幼虫の形態は,虫体の直径が顎口虫第3後期幼虫の1/2程度と小さく,角度に皮棘がみられず,食道部の横断切片像では頸嚢がみられないなどの特徴を示した.同様の症例が日本各地に散発的にみられており,線状爬行疹の新しい病型として注意を喚起したい."
  • 川本 知江, 吉池 高志, 相川 洋介, 小川 秀興
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1559-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    アトピー性皮膚炎は,しばしば日光によって皮疹が増悪することが知られているが,その特性を検討する目的で,日光による皮疹の新生・増悪を訴えたアトピー性皮膚炎患者に限って,その40名に対して光線テストを施行した.その結果,紫外線に対する最少紅斑量は正常であったが,赤外線に対しては4例(10%)に陽性反応が認められた.従って,本症において光線過敏が疑われる患者では,日光照射によってもたらされる光線以外の他因子の関与も無視できないと考えた.
  • 名村 章子, 西嶋 攝子, 朝田 康夫
    1992 年 102 巻 12 号 p. 1563-
    発行日: 1992年
    公開日: 2014/08/12
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    近年(1989年)米国Pennsylvania大学で考案されたFull-hand touch plate法と画像解析装置(Computerized Image Analysis)を用いて,手洗い時間による手表面の除菌効果を比較検討した.流水による手洗い時間を10秒,30秒,1分,3分間とし,手洗い前後に手掌をFull-hand touch plate用の培地に押しあて,37℃,48時間培養後コロニー占有面積を比較検討した.手洗い前を100として手洗い後の除菌率をpercent(%)reductionで表わした.結果は3分,1分,30秒,10秒の順で除菌効果は優れており,それぞれ76.4%,76.0%,65.5%,55.7%であった.手洗い時間10秒では55.7%と除菌効果は低く,1分では76%とかなり有効な結果であった.しかし3分間でも76.4%であり,手洗い時間は1分間もしくはそれ以上が必要と考えられた.また76%以上の除菌効果を得るためには殺菌消毒剤の併用が必要と考えた.
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