日本皮膚科学会雑誌
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68 巻, 3 号
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  • 原 千陽, 小林 健正
    1958 年 68 巻 3 号 p. 115-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    Hebraは1860年Erythema papulatum,tuberculatum,annulare,iris,gyratumという名稱は1箇の同じ疾患に屬すという信念に達し,多形滲出性紅斑(Erythema exsudativum multiforme,以下E.e.m.と略す)の名稱を與えて各種紅斑中の特異型として其の概念を確立したが,Hebraの記載したE.e.m.は系統的発症が殆ど又は全くない比較的軽い臨床経過と四肢伸側,頸及び顔面に好発する紅斑又は丘疹状の多形性皮疹を特徴とする.然し斯る良性なものとは対照的に,急性でb\々重篤な状態に陥り,熱性経過を辿り,全身症状と水疱形成及び眼,外陰,咽頭,気道,結腸及び直腸に炎症性変化を呈する稀有型があり,Fletcher & Harrisによれば斯る症例の記載はHebra以前既にAlibert & Bazin(1822)及びJones(1855)によりなされているが,其の特異な様相は見る人をして新たに認められた疾患として記載せしめ,斯くて述語の混亂が起つた.抑々混亂の動機はHebraが良性疾患について述べて居り,且つ粘膜侵襲には触れていない点に発するが,Hebraも当時既に小水疱への移行及び肺炎による死亡を記載して居り,彼の弟子Kaposi(1879)は其の敎科書にE.e.m.を記載するに際して典型的経過型の他に小結節の小水疱への変形,口腔粘膜,咽頭,喉頭,陰門及び膣粘膜,尿道の小水疱及び水疱発生,皮疹の出血性変化,潰瘍化,高熱,致死,合併症たる心内・外膜炎,髄膜炎,肋膜炎,肺炎或は抑鬱性精神症状を附加し,加之良性型と惡性型との区分の可能性を暗示して,眼の參加という唯一の例外を除けば本論文の対象たる疾患像の記述を網羅して餘す所がない.之より先にProppeが以下に討議する症候群の最も古い,然も確実な論文と評した眼科医Fuchs(1876)の発表があつた.即ち彼は57歳男子例に於て口唇,口腔粘膜の大部分及び舌に黄白色の僞膜形成があり,主として手掌,足蹠に限局せる初め斑状後に帽章状を呈せる発疹を生じ,瞼結膜全面に薄い灰白色の稍々硬く固着した僞膜を生じ,同時に粘液性膿様の分泌あるに注目しHerpes iris conjunctivaeの名の下に報告した.後れてGerke & Kain(1892)が発熱を伴う兩眼の結膜炎,口内炎及び四肢の発疹を来せる例と,結膜,口腔及び膣に同時に発熱を伴つて現われた僞膜性炎症例とを報告した.Hebraの概念確立後36年を経てDuringはE.e.m.が其の症状を周期的典型的経過に特徴づけられた独立疾患を形成することを証明し,コンスタンチノープルでは流行性に発生せることを述べ,本症は一種の発疹性傳染病であると稱したが,彼は多くの症例に於て口腔粘膜の侵襲を認め,然もそれが充血性のものから潰瘍化に至るもの迄あることに触れ,更に3/4以上の症例に結膜炎の起ることを記載した.其の後もHanke(1901)がDer Herpes iris des Augesとして3例を,Blair(1904)がA case of recurring membranous stomatitis,associated with E.e.m.(Hebra)として1例を報告し,Rissom(1908)はErythema bullosum der Mundschleimhautの名の下に1例を紹介してE.e.m.(Hebra)に屬するものと考え,Trautmann(1911)はE.e.m.の60%に於て皮膚と粘膜の同時侵襲を認めている等稀有型に関する記載は散見されている.然るに1916年Renduが,其の後間もなくFiessinger & Renduが重篤な水疱性糜爛性口内炎が結膜,鼻,肛門,会陰に同様の症状を示し,主として四肢に水疱性皮疹を合併せる一連の症例を見て從来記載されたことの
  • 肥田野 信, 池田 重雄
    1958 年 68 巻 3 号 p. 130-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    胸腹前壁を縱走する皮下索状硬結を見ることが特にあり,著者の1人肥田野はこれに以前から注目していたが,その後それが所謂Mondor病に一致することを知るに至つた.茲にその経驗例を記載し,且つ本症の一般的知見を紹介する.
  • 中山 忠雄
    1958 年 68 巻 3 号 p. 136-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
    1869年Miescherが核酸に関する研究の糸口を開いて,科学の分野に化学的生物学という新生面を導入し,その後この分野は生化学者の手に依つて多くの業績を貽しつゝ発展して来たが,1930年代に至つてスウエーデンのCasperson等に依つて核酸の生物学的意義としてデソキシリボ核酸(以下DNAと略す)が遺傳子の蛋白合成に,又細胞質での蛋白合成にはリボ核酸(以下RNAと略す)が重要な役割を果すことが明らかとなり,更にアメリカのStanley等に依つて1935年に初めてタバコのモザイクヴィールスが化学的に結晶として分離され,種々追究を行つた結果これが核蛋白質に他ならないことが判明した.その後各國の研究者に依つて続々と純粹な形として採り出された植物性,動物性,細菌性ヴィールスはすべて核酸を含んでいることが明らかとなつた.現在ではヴィールスを始めとして遺傳子や,更に大きくは細胞そのものは自己増殖型として知られているが,現在に至るまでの諸業績はすべて自己増殖系には核酸が存在するという一連の関係を明らかならしめた.こゝに於て余はヴィールスは核酸を含んでいる自己増殖系であるが故に,皮膚科領域に於ける若干のヴィールス株を用いてマウス大腦内にヴィールス接種を行い,ヴィールス接種に依る臓器組織の核酸代謝の動態を観察して,皮膚科領域に於けるヴィールス接種が核酸代謝,特にDNAとRNAに如何なる変化を及ぼすかを核酸の比色定量面より追究しようと試みた.
  • 1958 年 68 巻 3 号 p. 151-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
  • 1958 年 68 巻 3 号 p. 19e-
    発行日: 1958年
    公開日: 2014/08/29
    ジャーナル 認証あり
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