日本皮膚科学会雑誌
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123 巻, 4 号
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原著
  • 松倉 節子, 池澤 優子, 向所 純子, 平和 伸仁, 澤城 晴名, 村石 満ちる, 前田 修子, 山田 裕道, 高橋 一夫, 池澤 善郎, ...
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 4 号 p. 415-423
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    49歳女性.既往歴にアトピー性皮膚炎.平成21年3月に口腔内びらんが出現し,他院にて尋常性天疱瘡と診断された.ステロイドとIVIGにて加療されたが,同年12月に体幹に水疱とびらんが出現した.平成22年2月,前医にてDFPPとIVIGで加療するも,びらんは全身に拡大したため,2月下旬に当院に転院した.転院時の抗Dsg1,3抗体価は2,660,2,700であり,口腔口唇と体表面積70%以上のびらんを呈していた.複数回のステロイドパルス療法,血漿交換,IVIGを施行したのちも,水疱新生と抗体価の再上昇が見られたが,リツキシマブを投与したところ,1カ月後には完全寛解を得ることができた.その後18カ月以上完全寛解を維持し,早期のステロイドの漸減が可能であった.重症感染症などの副作用は認められていない.リツキシマブはヒトマウスキメラ型抗CD20抗体で,B cellを傷害する分子標的治療薬である.アメリカのFDAではCD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫と,関節リウマチに適応となっているが,近年海外ではSLEや天疱瘡などの自己免疫疾患においての効果が報告されている.本邦での天疱瘡に対する保険適応はないが,各種治療の併用を行っても急速な自己抗体価上昇の見られる重篤な尋常性天疱瘡や,長期の大量ステロイド投与および免疫抑制剤が必要な再発性の患者に対し,免疫抑制による感染症などの副作用に十分注意しながら試みるべき治療と考えた.
  • 神保 晴紀, 村田 洋三, 酒井 大輔, 高井 利浩, 熊野 公子
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 4 号 p. 425-430
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    67歳女性.両第1指先端から尺側,両第2・3指橈側の角化性皮疹で受診した.同部の組織像では,真皮乳頭頂上に限局する表皮真皮境界部の液状変性を認め,液状変性がある部位には錯角化,液状変性のない皮溝部表皮突起では正角化が見られた.これら錯角化と正角化とが垂直の柱状に交代性に整然と隣接した.ダーモスコピー像では皮溝を挟んで並行する二本の白色線が網状・レース状に見られた.これは組織像での正角化と錯角化の境界部に対応しており,mechanic’s handsの組織像がダーモスコピー像に反映されていると考えた.Mechanic’s handsを物理的刺激による皮疹から臨床的に鑑別するのは困難とされているが,自験例の検討から,ダーモスコープがmechanic’s handsの診断に有用である可能性が示唆された.
  • 船津 栄, 白井 京美, 田辺 健一, 新井 達, 勝岡 憲生
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 4 号 p. 433-438
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    1970年から2007年の38年間に当科を受診した混合性結合組織病(Mixed connective tissue disease;MCTD)の患者23名(男2名,女21名)を対象に,その皮膚症状の特徴について検討を行った.平均発症年齢は29歳±9.9歳で,約半数(23人中11人)が20歳代にMCTDを発症しており,既報告よりも若年に発症する例が多くみられた.便宜的に皮膚症状を11項目に分類し,臨床的に検討したところ,既報告のようにレイノー現象(22例;95.6%)や手指腫脹(18例;78.2%)が高頻度にみられ,その他,アクロチアノーゼ(12例;52.1%),網状皮斑(8例;34.7%),斑状毛細血管拡張(6例;26%)などの皮膚症状も多く認めた.今回の検討例23例中の6例において発熱が先行した後に一過性に滲出性の紅斑,虫刺様紅斑,蕁麻疹様紅斑を呈する症例がみられた.病理組織学的にはInterstitial granulomatous dermatitisやPalisaded neutrophilic and granulomatous dermatitisに類似するが,皮疹の持続期間は10~18日と短期間であることが特徴的であった.また,皮疹の臨床型と臓器病変との関連を検討したところ,斑状毛細血管拡張と間質性肺炎の関連が示唆され,強皮症の部分症状を反映しているものと考えた.
学会抄録
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