1923年にMunchenにおいて行なわれた講演に引続き,翌1924年にHermann Siemensは“Zwillingspathol-ogie”を著した.彼は52組の1卵性双生児(以下EZと記す)と36組の2卵性双生児(以下ZZと記す)を対象とし,これらの双生児について皮膚科,眼科,神経科,内科及び整形外科の各領域にわたつて観察した結果を示し,遺伝病理学のうちに既存の民族病理学,家族病理学に加えて双生児病理学を提唱した.彼は双生児病理学を家族病理学の延長と考え,新たに3つの方法論を確立した.即ち(1)出来るだけ多くの形質を利用することにより,従来の個々の特徴による不確実な卵性診断に換えて類似診断による卵性診断法を確立した.(2)ある形質の遺伝性の検討のために多くの双生児を集め,この統計的基礎による結果を期待することが出来ることを示した.(3)ZZとEZを同時に調べ,同年令,同環境のZZ間に差を生じた場合に,この形質の遺伝素因の差と結論した.ここに彼が示した課題は(1)EZ間の差異は一般に非遺伝的作用に帰せられる.この場合,数を増すことによつてWahrscheinlichkeitがSicherheitに近づく.(2)ZZにおけるある形質の不一致DiskordanzをEZの対照とすることにより,その形質の発現に際して,遺伝素
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