日本皮膚科学会雑誌
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118 巻, 14 号
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皮膚科セミナリウム 第44回 リンパ腫
原著
  • 伊東 慶悟, 安齋 眞一, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 14 号 p. 3069-3074
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    札幌皮膚病理研究所で2001年4月から2006年4月までの約5年間に,Pinkus型(eccrine poroma,以下P),Smith-Coburn型(hidroacanthoma simplex,以下S),Winkelmann-McLeod型(dermal duct tumor,以下W),Mayer型(hidradenoma,以下M)のそれぞれPoroid cell neoplasmと診断した1,225検体中,病理標本が再検討できた421例について,臨床的事項(発生頻度,男女比,切除時年齢,罹患部位,腫瘍の大きさ,臨床形態,臨床診断,臨床形態と臨床診断の対比)を検討した.男女比は1:1.1で性差はない.切除時年齢は平均63.9±15.0歳(12~98歳)で40歳以上が378例(92.9%)を占めた.罹患部位は下肢が172例(43.4%)と最多で,特に足が93例(23.1%)で最好発部位である.腫瘍の大きさは平均8.2±5.0 mm(2~43 mm).臨床形態では有茎性が199例(47.3%)でもっとも多かった.切除前にporoid cell neoplasmsと正しく臨床診断されたのは30例(7.1%)と少なかった.誤って臨床診断された例は3種類に大別され,それぞれ臨床的に黒色結節や紅色結節および角化性結節として見える可能性があることが分かった.
  • 礒田 英華, 戸倉 新樹
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 14 号 p. 3075-3081
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    産業医科大学皮膚科において,1990年1月から2004年12月までの15年間に経験したBowen病(Bowen癌を含む)の患者数は196例であり,総新患者数に対する割合は0.61%,平均年齢は73.0歳,男女比は0.77:1であった.このうち40例(20.4%)が多発例で,他施設からの報告と比べて明らかに高率であった.発生部位は,単発例では下肢での発生が最も多く体幹,上肢と続き,多発例では手指,手掌,足背,下腿に多くの病変を認めた.多発例の割合を北九州市内の各地域別にみると,地域格差が認められた.多発例の原因として,少なくとも一部はタールであると考えられた.
  • 宇原 久, 山本 明史, 清原 祥夫, 斎田 俊明
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 14 号 p. 3083-3088
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    [背景]米国のNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)やNational Cancer Center(NCI)のガイドラインは,TisあるいはT1a以外のメラノーマ症例にセンチネルリンパ節(SLN)生検(SLNB)を行うよう推奨している.しかし,日本人ではTumor Thickness(TT)とSLNの転移率との関係について,多数症例で十分検討されていない.[目的]TT,潰瘍の有無とSNの転移率との関係を明らかにする.[症例]厚生労働省がん研究助成金15-10(主任研究者:斎田俊明)構成施設中の13施設より集積された359症例.[結果]①TTと転移率(転移陽性症例数/各T分類症例数)の関係は,pTis:0%(0/36),pT1(1 mm以下):11.3%(6/56),pT2(1.01~2 mm):21.0%(13/63),pT3(2.01~4.0 mm):34.0%(35/103),pT4(4.01 mm以上):62.4%(63/101).②T1でSLNに転移を認めた6例中2例はT1b(潰瘍あり)で,残り4例のT1a症例のTTは1.0,0.8,0.55,0.50 mmであった.③TTが4 mm超の症例におけるTTとSLN転移率は,4.01~5 mm:40.0%,5.01~6 mm:57.9%,6.01~7 mm:53.8%,7.01~8 mm:62.5%,8.01~9 mm:87.5%,9.01~10 mm:87.5%,10 mm超:72.0%であった.④T1~T4群,T1~T3群では潰瘍をともなうとSLNの転移率が高くなり,統計学的に有意差を認めた(p<0.001).[結論]TTの厚い症例では,予測されるSLN転移率と血行性転移率,SLNの存在部位(生検の困難さ)を考慮した上でSLNBの適応を決める必要があると思われる.また,T1a症例に対するSLNBの適応条件についてはさらに検討が必要である.
  • 奥田 長三郎, 伊藤 雅章
    原稿種別: 原著
    2008 年 118 巻 14 号 p. 3089-3097
    発行日: 2008/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル 認証あり
    〔方法〕趾爪白癬を,部位で1趾と2~5趾に,病型で特殊病変(側縁型,縦線型,くさび型,空洞型)と通常病変(それ以外の病型)に,それぞれ大別した.そして患者を対象爪の部位・病型に基づいて分類し,登録順に,250 mg群と125 mg群に交互に振り分けた.前者にはテルビナフィン250 mg/日を12週間,後者には同125 mg/日を24週間,いずれも連続投与した.52週後に最終判定を行い,治癒率を部位別,病型別に算出し,背景因子に基づく層別解析と投与群間比較を行った.〔結果〕250 mg群の治癒率は,1趾・通常病変で79.1%,1趾・特殊病変で77.8%,2~5趾・通常病変で100%,2~5趾・特殊病変で94.4%であった.125 mg群の治癒率は,それぞれ72.1%,82.9%,90.5%,100%であった.250 mg群と125 mg群とを,各投与群「全体」の治癒率で比較した場合は84.7%対82.6%となり有意差はない.一方,背景因子に基づく層別解析の結果は,両群ともに,1趾の治癒率は1趾以外より有意に低いこと,特殊病変と通常病変との治癒率の差は有意ではないことを示している.そこで改めて「部位別」の治癒率で,250 mg群と125 mg群とを比較した.それによれば,1趾では78.6%対76.5%,2~5趾では98%対93%であり,いずれも250 mg群の方がやや高いが有意差はない.副作用のうち肝機能障害は250 mg群で有意に多かったが,副作用「全体」の頻度については投与群間に有意差はなかった.〔結語〕趾爪白癬に対するテルビナフィン125 mg/日の連続投与の有効性は,1趾の治癒率は2~5趾より有意に低くなるが病型は治癒率に影響しないという共通点を含め,250 mg/日の連続投与と同等である.
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