日本皮膚科学会雑誌
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121 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第74回 性感染症
  • 立花 隆夫
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第74回 性感染症
    2011 年 121 巻 7 号 p. 1389-1393
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    梅毒はこれまで治療しないと治らない疾患とされていたが,最近では治療をしなくともその多くは自然治癒すると考えられるようになった.その臨床経過は一定ではなく,必ずしも第1期潜伏,第1期顕症,第2期潜伏,第2期顕症というような経過はとらない.また,STSのガラス板法や梅毒トリポネーマ抗原法のTPHAの代わりに,最近は検査技師の判定を必要としない自動分析システムによる梅毒検査を採用する病院や施設が多くなっている.
  • 斎藤 万寿吉
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第74回 性感染症
    2011 年 121 巻 7 号 p. 1395-1400
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    HIV感染者は多彩な皮膚症状を呈することが知られている.多剤併用抗HIV療法により以前のような重篤な症状を呈することは少なくなった.HIV感染に伴う皮膚症状をよく理解することで,皮膚症状からHIV感染症を診断することが可能である.HIV感染症の現状とHIV感染症の診断,HIV感染者に伴う皮膚疾患について概説した.
  • 江川 清文
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第74回 性感染症
    2011 年 121 巻 7 号 p. 1401-1407
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    ヒトパピローマウイルス(HPV)により伝播する性感染症としては古くから尖圭コンジローマが知られて来たが,子宮頸癌からHPV16/18が発見されたのを契機に,ボーエン様丘疹症や外陰部や手指のボーエン病にも同様のHPVが検出されることが分かり,これらは性行為あるいはその類似行為により伝播されるHPV感染症と考えられるようになった.一方で,HPVに不顕性感染が多いこともわかり,無症候性キャリアーの問題が浮かび上がって来た.本稿では,原因のHPVと肛門・性器に発症することの多いHPV関連疾患について概説した.
原著
  • 山田 大資, 吉野 公二
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 7 号 p. 1409-1413
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    皮膚がん患者で,皮膚がん以外の悪性腫瘍をすでに合併している症例を経験することが時々ある.特に悪性黒色腫は肺・肝臓・骨・脳に転移を生じることが多く,そのため悪性黒色腫患者の実質臓器に腫瘍性病変を認めた時,悪性黒色腫の転移巣なのか,他疾患の原発巣もしくは転移巣か鑑別を要する.今回経験した2例とも臨床経過および画像所見から悪性黒色腫肺転移の可能性は低いと考えられ肺病変の診断目的に胸腔鏡下肺生検(VATS:video-assisted thoracic surgery)を施行した.1例目は悪性黒色腫肺転移,2例目は原発性肺癌の診断であった.この結果,正確な病期を決定することが可能となり,患者に適切な治療を行うことができた.自験例のようにTumor Thicknessが比較的薄い症例,センチネルリンパ節転移を生じていない症例,CT所見が境界明瞭な腫瘤影を示さない症例は悪性黒色腫肺転移の可能性は低いと考えられるが,全ての症例がVATS生検の適応になるわけではない.画像所見や臨床所見からは判断が難しく,他疾患の肺転移などが否定できない時,VATS生検は適切に肺病変の診断が行える検査法の一つと考えた.
  • 鷲尾 健, 山本 剛, 中村 敦子, 堀川 達弥
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 7 号 p. 1415-1419
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    インフルエンザ菌は市中肺炎の3大原因菌の一つである.近年ではBLNARと言われるβラクタマーゼを産生しないがβラクタム薬に耐性を示す菌種の増加が問題となっている.小児科領域においては本菌のうち莢膜産生型のtype bによる感染症は乳幼児の重篤な髄膜炎を来すことが知られており,本邦でも任意接種でのワクチン接種が認可を受け2008年12月より販売開始となっている.一方で皮膚科領域においてはグラム陽性球菌感染症が多くを占め,グラム陰性桿菌による感染症の頻度は稀である.今回我々は市中感染型のBLNARによる敗血症及び蜂窩織炎を呈した1例を経験したのでここに報告する.自験例ではセフォタキシム(CTX)を用いた治療を行ったが,炎症反応が持続したためレボフロキサシン(LVFX)を併用したところ改善がみられた.重症の蜂窩織炎を治療する際には,少なからず自験例のような耐性菌感染の可能性があることを考慮し,治療開始前に血液培養等を適切に行い,原因菌を同定することが治療に有用であると考えられた.
  • 野澤 茜, 大谷 道輝, 松元 美香, 大谷 真理子, 山村 喜一, 成谷 さやか, 杉浦 宗敏, 内野 克喜, 江藤 隆史
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 7 号 p. 1421-1426
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎の治療における保湿剤の塗布時期は,入浴直後の角層中水分量が多い時期が効果的と考えられているが,連用した詳細な報告はない.そこで,保湿剤を連用した際の入浴後塗布時期と保湿効果の関係について検討した.健常成人8名を対象に40°C,20分間入浴の1分後と1時間後にヘパリン類似物質含有製剤,白色ワセリンおよび尿素軟膏を2週間塗布し,角層中水分量を試験前および開始後に測定した.角層中水分量はいずれの保湿剤でも,入浴の1分後と1時間後の間に有意差は認められなかった.これらのことから,保湿剤の塗布時期は入浴直後と1時間後で差がなく,患者が毎日好きな時間に塗布するように指導することでコンプライアンスの向上が期待できることが示唆された.
学会抄録
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