アトピー性皮膚炎は一般に血清lgE値の高いことが多い.この高い lgE の抗体活性を検討すべく,4種の抗原すなわちフケ,ダニ,卵,牛乳を撰択, RAST を応用してアトピー性皮膚炎を中心とする各種皮膚疾患364例を検索すると共に,その血清lgEを定量した. 1)血清 lgE はアトピー性皮膚炎,アトピー性皮膚いずれも他の皮膚疾患に比較して700 IU/ml 以上の高値を示すものが多かった. 2)フケ抗原,牛乳抗原に対する RAST 陽性率は0~11%程度で低水準であった. 3)ダ二抗原に対する RAST 陽性率はアトピー性皮膚炎に高いが,乳児においてはほとんど認められなかった. 4)卵抗原に対する RAST 陽性率はアトピー性皮膚炎とその他の湿疹皮膚炎群で高かった. 5)アトピー性皮膚炎群の卵抗原に対する RAST 陽性者は,乳児に多く,加令にしたがって減少した. 6)アトピー性皮膚炎を定型群と非定型群に分けて,ダニ抗原と卵抗原に対する陽性率をみると,定型群と非定型群とに推計学的に有意差は見られなかった. 7)血清 lgE が高いものでは,ダニ抗原と卵抗原において RAST 陽性率が高かった. 8)アトピー性皮膚炎患者のうち RAST 陽性者はダニ抗原では44%,その他の抗原では 75% 以上が気管支喘息やアレルギー性鼻炎を合併しないものであった.
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