症例1:29歳,女性.帝王切開分娩1年後より手術瘢痕部に皮下結節が出現.下腹部正中の手術瘢痕上端に45×35 mmの淡紅褐色の硬い腫瘤あり.全身麻酔下に腹直筋鞘前葉を含めて摘出した.症例2:31歳,女性,帝王切開分娩7年後に左下腹部の皮下腫瘤に気づいた.下腹部横切開による手術瘢痕の左側やや頭側に径50 mmの皮下腫瘤あり.生検で確定診断した.最近26年間の本邦報告58例を集計すると,手術内容の記載がある30例中, 癒着や浸潤のため腹直筋鞘を中心とする筋膜を含めて摘出した例が11例,さらに筋肉,腹膜を含めて摘出した例も5例ずつみられた.正中付近に生じた腹壁腫瘍では術前に十分な検討が必要である.
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