思春期後発症の難治性痤瘡女性患者において副腎内の酵素障害があるかどうかを検討するために,女性痤瘡患者11例と健常女性8例についての卵胞期にACTH(コートロシン1A)刺激試験を施行し,血中17-hydroxypregnenolone(17-OHP5),17-hydroxyprogesterone(17-OHP4),dehydroepiandrosterone(DHEA),dehydroepiandrosterone sulfate(DHEA-S),androstenedione(■4A),11-deoxycortisol,cortisol(F)の基礎値とACTH静注30分後値を測定した.健常群との比較において痤瘡群では17-OHP5値の有意な上昇を認めたが,17-OHP5/17-OHP4比の上昇はなかった.17-OHP4値も有意な上昇を認めたが,正常群の平均値+2.57SD以上の異常高値を示す例はなかった.また,DHEA,■4A,F値や11-deoxycortisol値の変動は2群間で有意差を認めなかった.よって本邦では遅発型の難治性痤瘡患者に21-hydroxylase,11β-hydroxylaseや3β-hydroxysteroid dehydrogenaseなどの酵素異常を認めるlate onsetタイプの先天性副腎過形成の病態が合併している可能性は少ないと考えられた.またDHEA-S基礎値とACTH刺激後の17-OHP4,17-OHP5,■4AとDHEAの反応は正の相関関係を示した.よってACTH刺激後のアンドロゲンの反応はDHEA-S基礎値にてある程度予想し得ると考えられた.
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