症例は84歳の男性.2001年左睾丸腫瘍で手術を施行された.初診の4年以上前から,睾丸の結節に気づいていた.徐々に増大して,腫瘍が崩れて出血したため当科を受診した.初診時には亀頭部を残して,るいるいとした大小の硬い結節・腫瘤で埋め尽くされていた.陰茎は下側で直線状に裂けていた.手術治療として膀胱瘻を造設し,陰茎海綿体と尿道は切断した.病理組織学的には,真皮中層から皮下組織にかけて,線維性結合織が入り組んだ腫瘍塊が多結節性に増殖していた.その形態は,線維性の間質に沿って小腺腔を囲む像や,乳頭状・小嚢胞状・索状配列を示す部分もある.個々の細胞は立方状の上皮様細胞で,核小体が明瞭で疎なクロマチンを有していた.免疫組織学的に,cytokeratin, D2-40, calretininに陽性であり,陰嚢に生じた悪性中皮腫と診断した.皮膚科領域では報告はなく,疾患の特徴を含めて検討した.
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