日本皮膚科学会雑誌
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117 巻 , 14 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第32回 分かりやすい皮膚良性腫瘍
  • 泉 美貴
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第32回 分かりやすい皮膚良性腫瘍
    2007 年 117 巻 14 号 p. 2445-2451
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル フリー
    表皮角化細胞の良性疾患は存外少なく,ここではinverted follicular keratosis,外毛根鞘腫およびclear cell acanthomaだけを挙げた.ただし前二者は,表皮というより毛嚢上皮が増殖する病態である.脂漏性角化症も,毛嚢の特に漏斗部の基底細胞の増殖を特徴とし,同部への分化を示す病態と捉えることができる.石灰化上皮腫は正常の毛母細胞を模倣する腫瘍で,強拡大でみられる悪性所見に惑わされないことが肝要である.毛包上皮腫と毛芽腫で増殖する細胞は毛嚢の発生の過程でみられる「毛芽」と呼ばれる胚細胞に類似している.増殖性毛包性嚢胞腫瘍は,毛嚢峡部の拡張性病変である外毛根鞘嚢胞の壁が腫瘍性に増殖した病態である.脂腺系の良性病変は,脂腺腫と脂腺腺腫に分けることができ,脂腺上皮腫という疾患概念は現在ではほとんど使用されることはない.広い範囲をカバーするため,本稿では各病態の本質と組織診断のコツに絞って解説した.
  • 安齋 眞一
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第32回 分かりやすい皮膚良性腫瘍
    2007 年 117 巻 14 号 p. 2453-2459
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル フリー
    はじめに,汗腺腫瘍を構成する腫瘍細胞の形態学的特徴を理解するために,正常エクリン腺およびアポクリン腺の組織学的構築について説明し,さらにアポクリン腺分化を示唆する所見について述べた.さらに,13種類の良性汗腺腫瘍の病理診断のポイントとおよび臨床病理学的特徴について典型的な病理組織像を示しながら概説した.
  • 梅林 芳弘
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第32回 分かりやすい皮膚良性腫瘍
    2007 年 117 巻 14 号 p. 2461-2469
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル フリー
    皮膚の間葉系腫瘍とは,皮膚の結合組織,脂肪組織,筋組織,軟骨・骨,血液・リンパに分化した腫瘍を指す.後2者を除き末梢神経系腫瘍を加えると,皮膚の軟部腫瘍の範疇と合致する.軟部腫瘍の大部分は良性腫瘍であり,悪性軟部腫瘍(肉腫)の100倍以上の頻度で発生する.これら良性軟部腫瘍の99%は表在性で5 cm以下とされる.このことから,軟部腫瘍のほとんどは皮膚科の対象疾患であるといえる.その内訳は,少なくとも3分の1は脂肪腫,3分の1は線維系あるいは線維組織球系腫瘍,10%が脈管系,5%が神経鞘の腫瘍とされる.本稿では,皮膚の軟部腫瘍について,最近上梓された新WHO分類に準拠しつつ記載した.軟部腫瘍の新WHO分類の特徴は,組織起源よりも分化に基づく分類が基本となっていること,良悪性の中間型として「intermediate(locally aggressive)」と「intermediate(rarely metastasizing)」の2つのカテゴリが設定されていること,などである.
原著
  • 荒井 美奈子, 白崎 文朗, 長谷川 稔, 竹原 和彦
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 14 号 p. 2471-2478
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル フリー
    金沢大学皮膚科で10年間に経験した成人発症Still病15症例(男性1例,女性14例,平均年齢35.8歳)について,臨床症状,治療,および予後に関して検討した.本症の特徴的な皮疹は発熱に伴い出没する痒みのない紅斑とされている.しかし,自験例の検討では,発熱に伴って出没する紅斑が4/15例(27%)にしかみられなかったのに対し,発熱と関連なく出没する紅斑が9/15例(60%)にみられた.また紅斑がみられた症例のうち6/15例(40%)は痒みを伴っていた.これらの検討からは,発熱との関連やそう痒の有無にはとらわれず,出没する散在性の淡紅色の小紅斑がStill病の皮疹の特徴と考えられた.経過の検討では,12カ月以上観察しえた14例中6例(43%)はステロイド剤の中止が可能であった.また14例中7例(50%)は減量時などに症状の再発があった.臨床経過が初発症状や検査値により推測できるかを予測したところ,皮疹が発熱や関節痛に先行して出現した6例は全例再発がなく,皮疹が発熱や関節痛と同時あるいは後で出現した群の再発率(8例中7例:88%)と比べて有意に低かった(P<0.05).今後多数例での解析は必要であるが,初発が皮疹のみで全身症状がすぐに出現してこない症例は軽症で,再発しにくい可能性があると考えられた.
  • 安齋 眞一, 福本 隆也, 木村 鉄宣
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 14 号 p. 2479-2487
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル フリー
    脂腺母斑243例を用いて,2次性腫瘍の合併の有無について検討を行った.2次性腫瘍は,最年少10歳から,33例(13.6%)に合併していた.合併腫瘍は良性腫瘍が33病変,悪性腫瘍が10病変の合計43病変であり,2次性腫瘍をともなった症例では,1症例あたり1.3個の病変を合併していた.年齢的には,思春期以降に急速に合併が増加し,50歳以上では,21例中11例(52.4%)で2次性腫瘍を合併していた.悪性腫瘍は,30歳以降の例でのみ観察された.2次性腫瘍の合併は,顔面が最も頻度が高かった.2次性腫瘍を合併している例では,そうではない例よりも統計学的に有意に独立脂腺を多く合併していた.合併した2次性腫瘍は,良性のものとしては毛芽腫が最多で16病変,続いて脂腺腫10病変,乳頭状汗管囊胞腺腫6病変,汗管腫1病変であった.一方悪性腫瘍は,基底細胞癌が最多で6病変,ついでアポクリン腺癌2病変,有棘細胞癌と脂腺癌がそれぞれ1病変ずつであった.現在まで報告されている脂腺母斑と2次性腫瘍の関連に関する報告と比較して,今回のデータは欧米の報告よりも合併率は低く,本邦の他の報告とほぼ同様であった.以上のことから,脂腺母斑においては,思春期までの患者では,美容的な観点から手術適応を決定し,30歳を超えた場合には,加齢による悪性腫瘍を含めた2次性腫瘍の合併の頻度を考慮に入れて手術適応を決定するべきと考える.
  • 増田 裕子, 福井 利光, 渡辺 大輔, 玉田 康彦, 松本 義也
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 14 号 p. 2489-2494
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル フリー
    livedo vasculitis(以下LV)と診断した5症例(平均年齢:50.6歳.男女比:2対3.平均罹患期間:3.4年)は,病理組織学的に真皮内の小血管に血栓形成と,血管壁の硝子化がみられた.抗血小板療法で効果が見られなかったので抗凝固剤であるワーファリンカリウムを投与したところ,全例で皮膚潰瘍や疼痛などの自覚症状が短期間に改善した.今後,抗血小板薬や血管拡張剤等に治療抵抗性のLVに対して,ワーファリンカリウムは試みるべき治療法の一つと考えた.
  • 大久保 ゆかり, 荒井 佳恵, 藤原 尚子, 天谷 美里, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2007 年 117 巻 14 号 p. 2495-2505
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2014/12/03
    ジャーナル フリー
    【目的】乾癬患者のquality of life(QOL)低下に及ぼす諸因子と治療に対する満足度を把握するためにアンケート調査を実施した.【方法】東京医科大学病院皮膚科に通院する乾癬患者143例に対して,皮膚疾患特異的なQOLの指標であるSkindex-16日本語版と精神健康度を評価するGHQ-28日本語版により調査した.更にVisual analogue scale(VAS)により瘙痒,爪症状,関節症状,外用薬を塗布することに対するストレスを評価し,さらに外用薬塗布に要する時間,治療満足度をアンケートとして実施した.【結果】Skindex-16のスコア(平均値±SD)は,総合:42.4±21.7,症状:26.3±22.3,感情:61.2±26.2,機能:29.0±27.3と感情面のQOLが最も低下していた.GHQ-28のスコアは6.12点±5.96(GHQ採点法)となり,ハイリスク症例は55例(39.3%)であった.Skindex-16とpsoriasis area and severity index(PASI)スコアは有意に正の相関を示したが(r=0.381,p<0.01),GHQ-28とPASIスコアの相関は低かった.PASIスコア10以下の患者であってもSkindex-16,GHQ-28が高値を示し,QOLが低下している患者が多く存在した.外用薬塗布時間が10分以上になると,塗布することに対するストレス(VASスコア)は有意に高値を示した.また,現在の治療に対して約半数の患者は何らかの不満を持っていることが判明した.【結語】PASIスコア10以下の患者でもQOLや精神健康度が低下している乾癬患者が多く存在した.日常診療においては,現在の治療満足度や日常生活への支障の程度,精神的健康度,治療の負担などを具体的に患者に質問し,患者の立場に立って治療に取り組むことが重要である.
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