日本皮膚科学会雑誌
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123 巻 , 7 号
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原著
  • 立川 量子, 今福 信一, 柴山 慶継, 中浦 淳, 古賀 文二, 中山 樹一郎
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 7 号 p. 1223-1227
    発行日: 2013/06/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    66歳,男性.約15年前に理容院のコテによる熱傷を右耳介後部に負った.保存的治療を行ったが創部は上皮化と潰瘍化を繰り返したため,当科を受診.皮膚生検で基底細胞癌(BCC)の診断となり,腫瘍全切除,植皮術を施行した.術後6カ月の現在まで再発を認めない.熱傷瘢痕上に発生する腫瘍の大部分は有棘細胞癌で,長期間の経過の後に発症することが多い.自験例のように比較的短期間で発症したBCCは稀であるが,受傷時年齢が高く浅い軽症熱傷からの発生が多いなどの特徴的な例が多く,文献的考察を加えて報告する.本邦における熱傷瘢痕からのBCC発生報告は自験例を含めて25例あり,それらは若年で受傷しBCCの発症までに長期間を要する群と,高齢で受傷し短期間でBCCを発症する群に大別された.いずれの群も露出部に多く,比較的軽症の熱傷から発生する傾向がみられた.海外の症例集積研究においてもBCCは軽症の露出部の熱傷から比較的短期間で発症することが報告されている.BCCの発症には変異PTCH遺伝子のヘテロ接合性の喪失(loss of heterozygosity,LOH)が要因となることが確認されているが,今回の報告例の集積調査から,浅い熱傷潰瘍・瘢痕にも紫外線と同様にPTCH変異やLOHを誘導しやすい作用がある可能性が考えられた.本症例の経験から,特に高齢者では,露光部の浅い熱傷潰瘍や瘢痕は比較的短期間でBCCを発症する可能性を考えて診療する必要があると考えられた.
  • 田中 文, 早石 祥子, 近藤 由佳理, 倉知 貴志郎, 川口 彩子, 福永 恵
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 7 号 p. 1229-1235
    発行日: 2013/06/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    61歳男性,2006年にイムノタクトイド腎症と診断され透析導入された.その後,複数の臓器で塞栓症を発症し抗凝固療法中であったが,当科初診の3カ月前より出現した左踵,右外顆の紫斑が拡大し潰瘍化,さらに左足趾壊疽を来した.当科初診時の生検組織で,蛍光抗体直接法にて皮膚血管内にIgAに対して陽性反応を示す無構造物質を認めた.同時期に脳梗塞の再発もみられたが,皮膚生検所見よりこれらの塞栓形成にも腎病変と同様の異常免疫グロブリン由来の沈着物が関与したと判断し,さらなる血栓溶解療法ではなく免疫抑制療法を追加した.以後脳梗塞による麻痺症状は改善し,足趾壊疽の進展が止まった.通常一次性イムノタクトイド腎症は腎臓以外の病変がなく,自験例は複数の臓器で塞栓症や足趾壊疽を呈したまれな症例であった.
  • 村田 洋三, 熊野 公子, 高井 利浩, 菊澤 亜夕子, 田島 翔子
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 7 号 p. 1237-1244
    発行日: 2013/06/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    左骨盤部に限局して,皮膚,皮下,筋肉,骨に多発転移巣を有する,79歳,男性の膀胱原発と思われる類上皮血管肉腫症例を報告した.亀頭部にも転移を認めたが,肺,肝など他臓器には転移は見られなかった.この症例で見られた転移巣の極端な偏りは,従来の血行性転移,リンパ行性転移では説明できず,vertebral vein systemの概念の導入によって初めて説明可能と思われる.
  • 藤井 のり子, 斎藤 万寿吉, 坪井 良治
    原稿種別: 原著
    2013 年 123 巻 7 号 p. 1245-1250
    発行日: 2013/06/20
    公開日: 2014/10/30
    ジャーナル 認証あり
    2012年12月20日から2013年2月4日の47日間に,当科で経験した風疹患者22名について,臨床症状,検査所見を検討し報告した.男性20名,女性2名.男性は20~44歳,女性は24歳,35歳であった.全例に発熱を認め,38°C以上は8名(36%)いた.播種性紅斑丘疹型の皮疹を全例で認め,20名(91%)に融合傾向がみられた.耳後部または顎下リンパ節腫脹は19名(86%)にあり,結膜充血は全例にみられた.成人風疹は小児例と異なり,臨床症状が重症であると思われた.全例で風疹IgM抗体を測定し陽性であった.初診時のIgM抗体が陰性であってもその後の再検査で陽性となった者が7名おり,症状出現初期ではIgM抗体は陽性となりにくく,およそ3日目から陽性率が上がると考えられた.詳細な問診から,市内にあるパチンコ店A店を風疹発症の2~3週間以内に利用した人が14名おり,閉鎖空間である店内での感染拡大が推測された.わが国では風疹ワクチン接種率の低い世代がおり,特に26~34歳男子の感受性者が多く,今回の罹患者もこの世代に集中していた.風疹は,2012年の中ごろから首都圏や関西で大流行しており,2013年2月現在,収束の兆しは認めておらず,今後の増加が懸念される.
学会抄録
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