ビタミン(以下Vと略記)は内分泌機能,自律神経機能と共に生体の健全な生活活動に重要な役割を演じており,身体諸臓器と密接な関係をもつ.皮膚も例外でなく,臨床的にFrauzier-Hu(1931)がVA欠乏による皮膚変化をとりあげて以来,皮膚疾患とVとの関係についての報告は無数に及び,皮膚疾患の治療にVを無視することは出来ない現状にある.Vの代謝異常が疾患準備性を形成することは教室の一連の研究から明らかであり,かつ皮膚疾患の発症を皮膚機能の異常な亢進ないしは低下,換言すれば皮膚機能の失調に求めんとするわたくしたちの見解よりすれば,Vの代謝異常が皮膚機能に影響を及ぼすことは当然であり,既往の教室の一連の皮膚機能の研究からもこのことが確認されている.VCについてはその連用により,光線感受性が次第に低下し(石井),毛細血管抵抗が増強され(横関),蛙の経皮吸収が抑制され(河内),ヒスタミン皮内反応が抑制され(兵頭),皮温復元時間が後期には延長し(斉藤),末梢血量も後期に減少する(金子)ことが明らかにされており(第1図),VCを単にVC欠乏症に利用するのみでなくVCのもつ多面的な薬理作用と前記VCの皮膚機能への影響を利用して治療に応用されるに至つた.わたくしたちは今回,白鼠を用いVC欠乏時の皮膚機能の変動と,各年令層の人にVC大量を長期間投与し,2~3皮膚機能の変化を検索した.実験は継続中であるから,その成績の概要を報告するに止める.
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