札幌皮膚病理研究所で2001年4月から2006年4月までの約5年間に,Pinkus型(eccrine poroma,以下P),Smith-Coburn型(hidroacanthoma simplex,以下S),Winkelmann-McLeod型(dermal duct tumor,以下W),Mayer型(hidradenoma,以下M)のそれぞれPoroid cell neoplasmと診断した1,225検体中,病理標本が再検討できた421例について,臨床的事項(発生頻度,男女比,切除時年齢,罹患部位,腫瘍の大きさ,臨床形態,臨床診断,臨床形態と臨床診断の対比)を検討した.男女比は1:1.1で性差はない.切除時年齢は平均63.9±15.0歳(12~98歳)で40歳以上が378例(92.9%)を占めた.罹患部位は下肢が172例(43.4%)と最多で,特に足が93例(23.1%)で最好発部位である.腫瘍の大きさは平均8.2±5.0 mm(2~43 mm).臨床形態では有茎性が199例(47.3%)でもっとも多かった.切除前にporoid cell neoplasmsと正しく臨床診断されたのは30例(7.1%)と少なかった.誤って臨床診断された例は3種類に大別され,それぞれ臨床的に黒色結節や紅色結節および角化性結節として見える可能性があることが分かった.
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