日本皮膚科学会雑誌
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120 巻, 8 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第62回 水疱症
原著
  • 新田 悠紀子, 大野 稔之, 嘉陽 織江, 松下 佳代
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 8 号 p. 1647-1652
    発行日: 2010/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    症例1:29歳の女性.顔面に環状紅斑が出現し,抗核抗体320倍以上,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体高値にてシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome;SjS)と診断した.症例2:26歳,女性(症例1の妹).レイノー症状,関節炎,抗SS-A抗体,抗Topo-1抗体,抗RNP抗体陽性,RF高値を認め,強皮症,関節リウマチとSjSの合併と診断した.症例3:56歳,女性(症例1と2の母).唾液腺,涙腺の分泌低下,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体高値にてSjSと診断した.症例4:0歳,男児(症例1の長男).顔面・駆幹に紅斑が出現.抗核抗体80倍,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体高値にて新生児エリテマトーデス(neonatal lupus erythematosus;NLE)と診断した.親子三代にわたり6名の遺伝子学的検索で全員のHLAハプロタイプA11,B39,DR8が共通であったが,その内,4名にSjSおよびNLEが発症した.
  • 古賀 佳織, 木村 鉄宣, 伊東 慶吾, 宮下 文
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 8 号 p. 1653-1658
    発行日: 2010/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    札幌皮膚病理研究所で過去7年半の間に顆粒細胞腫(以下GCT)と病理診断した73症例(74病変)について臨床事項を検討し,さらにそのうち標本の再検討が可能であった29病変のGCTについて病理組織学的事項の検討を行った.病理診断依頼書をもとに検討した臨床事項では,切除時の平均年齢は45.4歳で男性23例,女性50例と女性に多かった.切除部位は,躯幹が最多であった.臨床診断にて,顆粒細胞腫と診断された症例はなかった.臨床事項の検討結果は既存の報告とほぼ同様の傾向であった.切除標本のHE染色標本を用いて検討した病理組織学的事項では,病変は真皮から皮下脂肪組織にかけて(66%),もしくは皮下脂肪組織(34%)に存在していた.これらには周囲との境界が比較的明瞭な結節状の病変,辺縁で腫瘍細胞が散在し境界が不明瞭な病変,両所見をもち境界が明瞭な部位と不明瞭な部位がある病変があり,その割合はほぼ同様であった.表皮を観察できた23病変のうち,17病変(74%)で表皮肥厚を伴っていた.そのうち3病変(18%)で偽癌性表皮肥厚が観察でき,成書やいままでに報告されているようにGCTの随伴所見として表皮肥厚があることが確認できた.8病変(28%)では,病変内に結節状のリンパ球浸潤が観察された.14病変(48%)で既存の正常末梢神経周囲に腫瘍細胞が分布する神経好性の所見が確認でき,Schwann細胞に観察できる核内偽封入体の所見が24病変(83%)で確認できた.これらの所見は,GCTが神経細胞分化を示す腫瘍であることを支持する所見であると考えた.
  • 吉崎 歩, 穐山 雄一郎, 簗場 広一, 小川 麻子, 室井 栄治, 小川 文秀, 佐藤 伸一
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 8 号 p. 1659-1664
    発行日: 2010/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    近年,全身性強皮症(systemic sclerosis;SSc)に合併した活動性のある間質性肺炎に対して,少量ステロイド内服に併用したシクロホスファミドパルス療法が有効かつ有害事象発現の少ない治療として注目を集めている.しかしながら,シクロホスファミドパルス療法後に維持療法を行わない場合では,その効果は治療開始後24カ月間で失われてしまうため,維持療法が必要とされる.今回,我々はSSc合併間質性肺炎の2症例において,ミゾリビン150 mgの1日単回内服投与をシクロホスファミドパルス療法後の維持療法として用いた.この2症例において経過中,間質性肺炎のさらなる改善を認め,ミゾリビンによる有害事象の発現は認められなかった.ミゾリビン150 mgの1日単回内服投与は,SSc合併間質性肺炎に対するシクロホスファミドパルス療法後の維持療法として有用であることが示唆された.
  • 松尾 佳美, 行徳 英一, 蓼原 太, 原 武, 木原 康樹, 秀 道広
    原稿種別: 原著
    2010 年 120 巻 8 号 p. 1665-1669
    発行日: 2010/07/20
    公開日: 2014/11/28
    ジャーナル 認証あり
    81歳,男性,農業.野焼き中に顔面から両上肢にかけて,II度22%,III度2%の熱傷を受傷し緊急入院となった.高度救命救急センターで中心静脈および動脈ラインを確保し全身管理下での治療後,歩行可能まで回復したが,第11病日に著明な血小板数減少と造影CTにて肺動脈と右大腿静脈に大量の血栓を認めた.播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome:DIC)と診断し,ヘパリン投与とデブリードマンおよび植皮術を行った.しかし血小板減少は持続し,血栓症は悪化した.臨床経過より点滴ライン維持のために入院時より使用していた少量のヘパリンによりヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)を生じた可能性を考えヘパリンを中止したところ,徐々に血小板数は上昇した.また血液検査で抗ヘパリン血小板第4因子複合体抗体(HIT抗体)は陽性であった.少量のヘパリンでもHITの原因となり得ることを認識する必要がある.
Letter to the Editor
特別寄稿
学会抄録
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