病巣割面からのスタンプ螢光法と病巣中5-S-CD測定が,診断に苦慮することが多い悪性黒色腫早期病変の確定診断に有用であるか否かを検討し,以下の興味ある結果を得た.1)黒色丘疹・結節でnodular melanoma(NM)が臨床的に疑われた11例中3例がスタンプ螢光法と病巣中5-S-CD値とから黒色腫を思わせ,病理組織学的にはNM2例,superficial spreading melanoma(SSM)1例であった.上記方法で黒色腫が否定的であった8例は病理組織学的にpigmented spindle cell nevusとacquired melanocytic nevusがそれぞれ3例,melanoepithelioma Bloch Ⅱとpigmented basal cell epitheliomaがそれぞれ1例であった.2)色素斑の性状からmalignant melanoma(MM)in situが疑われたのは10例で,スタンプ螢光法上,螢光性腫瘍細胞がみられた例はなく,病巣中5-S-CD値からSSMの早期病変が疑われたのは5例で,病理組織学的にはSSM in situ 2例,SSM pT1 1例,atypical melanocytic hyperplasia(AMH)2例であった.残りの5例は病巣中5-S-CD値からMM in situは否定的であったが,病理組織学的にはlentigo maligna(LM)2例,dysplastic nevus 3例であった.3)以上の結果から,NMの早期病変はスタンプ螢光法と病巣中5-S-CD値から,手術中~手術当日に確定診断が可能と思われた.また,SSMの早期病変の確定診断にスタンプ螢光法は役にたたないが,病巣中5-S-CDの測定が極めて有用であった.上述の診断法でLMを診断することは不可能であった.
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