日本皮膚科学会雑誌
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80 巻 , 1 号
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  • 徳丸 伸之
    1970 年 80 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    表皮のケラチン形成Keratinizationは表皮の最も重要な働きの1つである.基底細胞という未熟な胚芽細胞が分裂増殖し,有棘細胞,顆粒細胞,角質細胞へと上方外界に進むに従つて形態学的にも異なつた型をとり,同時にケラチンと呼ばれる表皮特有の硬蛋白が形成される.この皮膚の最外層に位するいわゆるケラチンは種々の機械的,物理的,化学的などの刺激に抵抗し生体の保護作用を営んでいるものとみなされる.この基底細胞から角質細胞への移行には,Rothbergらの14C-glycineを用いた正常人表皮での実験によれば,26日から28日を要することが明らかにされているが,人の炎症性角化症の代表的な疾患であるpsoriasis vulgarisではこの基底細胞から角質細胞への移行日数が著明に短縮しており,Rothbergらは3日から4日であると述べている.この移行時間(life span)の短縮と同時にpsoriasis vulgarisは著明に角質増殖と肉眼的落屑を伴い,その角質を形成しているケラチンにも異常があるのではないかと考えられ,ケラチンの生化学的な検索が種々試みられてきた.しかし先にも述べたごとくこのケラチンは種々の化学的な物質に対し強い抵抗力をもつており,そのため容易にその解明を許さなかつたが,1952年のRudallの研究が端緒となり,爾来次々と新しい研究成果が発表されるに至つた.その歴史の主なものをひもといてみると,まずRudallは牛の鼻の表皮を上層,中層,下層に分け,それぞれを6 M ureaで抽出を行ない,IN-HCIにて処理し,pH5.5と同4.5の2画分をえた.Carruthersらは同じく牛の表皮を6 M ureaにて抽出し,IN-HCI処理にてpH6.3,同5.5,同4.5の3画分をえ,さらにpH6.3画分よりpH5.5,同5.1,同4.5の3画分を分離した.これらの研究はいずれも表皮蛋白を数種の蛋白画分に分けるにとどまつたが,Rothbergは人正常表皮,乾癬,魚鱗癬患者の落屑をpH7.3,0.1 M phosphate bufferにて透析し,透析不能の蛋白を0.05 M NaOHで抽出し,pH5.5,同5.0,同4.5の3画分をえ,それぞれの画分をトリプシン,キモトリプシンで処理し,ペプチッドに細分化している.すなわち表皮蛋白をさらに低分子化して構成要素の解明を試みたものである.不溶性蛋白の研究が行なわれている間に一方で可溶性成分の研究も始められた.可溶性成分中の遊離アミノ酸は,最初の頃には汗由来のものとの考えがRothmanらによつて主張されたが,やがてこれらのアミノ酸は表皮起源のもので,表皮細胞の角化過程中に表皮細胞より生成されたものであるとの考えがGrunbergら,Spierらによつて次第に明らかにされ,またDowlingらも人の両側と片側の腰部交換神経節切除術を施行し,臨床的に発汗を起こさない下肢の角層より遊離アミノ酸をとりだし比較検討した結果,結局これらのアミノ酸は汗由来でもなく,またケラチンの加水分解によるものでもなく表皮細胞蛋白由来のものであろうと述べている.さらに進んで表皮蛋白をアミノ酸の単位にまで分解し,その構成アミノ酸の面よりケラチン形成の解明を行なおうとした研究がなされたが,これらの研究もアミノ酸個々の定量法の技術がなお充分でなく,多くは高電圧濾紙電気泳動法,ペーパークロマトグラフィーなどによるもので,いずれも定性的なものがほとんどであつた.本邦においても,佐藤,原田ららのこれらの手段を用いた報
  • 石川 芳久
    1970 年 80 巻 1 号 p. 14-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    1889年Buchnerが新鮮な血清中に殺菌作用のある物質の存在を認めalexinと名付けた.Bordetは血清中に56℃で不活性化されるものと,されないものがあることを知り,前者すなわち易熱性のものを補体(C')と名付けた.その後これはBuchnerのalexinと同一のものであることが判明した.さらにその後の研究により補体はC'1,C'2,C'3,C'4の4成分に分かたれた.近年に至り補体研究の発展には目ざましいものがみられ,補体成分は9成分が機能的純粋にとりだされるようになり,さらに多くの免疫現象に補体が関与することが判明してきた.すなわち免疫溶血現象,免疫溶菌現象,免疫喰菌現象,Conglutination,Immune adherence(I.A.),Treponema pallidum Immobilization(T.P.I.)等における補体の役割が解明され,ある種のVirusの中和反応Graft rejection,種々なるアレルギー性反応に対しても補体の関与が考察されている.これらの免疫現象の中で一番良く作用機序が解明されているのが免疫溶血現象である.新鮮な血清中にbacteriocidalな機能が発見されて以来,Erythrocyte,Protozoa,Tumor cellを破壊する働きが知られ,このlytic activityは細胞の表面に結合した抗原とそれに対応する抗体,補体,Ca++,Mg++の相互作用の結果であり,これにより細胞表面が不連続的に障害され,低分子物質が通過して滲透圧が不均衡になり細胞破壊が惹きおこされると推測されている.溶血反応には感作血球に対して補体の9成分C'1,C'4,C'2,C'3,C'5,C'6,C'7,C'8,C'9の関与が必要であり,この順序に感作血球に作用して溶血をおこすことが知られている.補体の測定法も改良され,緒方法,Wadsworthらの方法,Mayerの方法,Steinの方法等が行なわれているが,現在最もよく使用されかつ理論的に信頼がおけるのはMayer法である.このMayerによつて開発された免疫反応は非常に感度の高い特異性を有する反応であり,形態学的にも,生化学的方法によつても探知できない領域の究明に大いなる貢献をしてきている.特にアレルギー性疾患において重要なる意義が考察されている抗原抗体反応を解明するのに大いに役立つてきている.1915年Gunnが腎炎発症に血清補体が関与することを発表して以来,腎炎の補体価について諸家の報告が多くなつた.腎疾患以外にもRheumatic fever,Rheumatoid arthritis,Erythematosus,dermatomyositis,scleroderma等のいわゆる膠原病を始めとして,種々の疾患における血清補体価の動態が,興味をもつて観察されるようになつた.著者は抗原抗体反応が関与するであろうと考えられる皮膚疾患,特に血清補体価(C'H50)の著明な減少をみるsystemic lupus erythematosus(S.L.E.)を中心として補体活性の特異性とその変動パターンを追求し,皮膚疾患におけるアレルギー現象と補体の関与の意義につ
  • 1970 年 80 巻 1 号 p. 48-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
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