日本皮膚科学会雑誌
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132 巻, 8 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
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新・皮膚科セミナリウム 皮膚における神経と免疫のクロストーク
  • 大塚 篤司
    2022 年 132 巻 8 号 p. 1831-1836
    発行日: 2022/07/20
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル 認証あり

    皮膚に存在する末梢神経の主な働きはかゆみの伝達である.C繊維と呼ばれる無髄性の末梢神経はヒスタミンなどの起痒物質の受容体を発現する.末梢神経は起痒物質が接着した後,イオンチャネルであるTRPを介してかゆみ刺激が中枢に伝わる.アトピー性皮膚炎の新規治療戦略として,抗体医薬等の発展が目覚ましい.抗IL-4Rαモノクローナル抗体(デュピルマブ)は2018年より本邦でも使用可能となり重症アトピー性皮膚炎患者に対し効果を発揮している.また.かゆみに重要なサイトカインであるIL-31に対する抗IL-31Rモノクローナル抗体も現在開発中である.これらは末梢神経に発現したサイトカイン受容体をブロックすることで効果を発揮する.近年,末梢神経と免疫細胞の相互作用が注目されている.末梢神経が放出する神経ペプチドが樹状細胞に作用し,皮膚疾患の病態形成に関与する.以上のことから,皮膚アレルギー疾患の病態はかゆみのみならず末梢神経と免疫細胞との相互作用が大きく影響することが示唆される.

  • 鈴木 一博
    2022 年 132 巻 8 号 p. 1837-1841
    発行日: 2022/07/20
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル 認証あり

    神経系が免疫系を調節していることは古くから指摘されてきたが,神経系からの入力がどのようにして免疫系に影響を及ぼすのか,そのメカニズムは長らく不明であった.しかし近年,自律神経系と免疫系の相互作用のメカニズムが急速に明らかになりつつある.とりわけ交感神経が多様な分子機構を介して免疫応答を制御していることが明らかになった.ここでは,交感神経によるリンパ球の動態制御に焦点を当て,その分子機構を解説するとともに,その生理的意義および臨床応用の可能性について考察する.

原著
  • 小野 美弥, 梅澤 慶紀, 福田 将大, 百瀬 まみ, 朝比奈 昭彦
    2022 年 132 巻 8 号 p. 1843-1848
    発行日: 2022/07/20
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル 認証あり

    COVID-19重症化や感染リスク因子として,年齢,投与薬,合併症などとの関連性が指摘されている.今回,生物学的製剤治療中の乾癬患者で,COVID-19感染した10症例について,その患者背景とこれらのリスク因子(年齢,喫煙歴,BMI,糖尿病)との関連性について検討した.その結果,重症度は,重症0例,中等症6例,軽症例4例であり,患者背景では,喫煙者7例,BMI 25以上6例であった.これらの結果から,喫煙者では,感染のリスクが上がる可能性が示唆された.尚,感染判明後に生物学的製剤を継続した3例では重症化した症例は認めなかった.

  • 村井 治, 千葉 俊美, 八重柏  隆
    2022 年 132 巻 8 号 p. 1849-1861
    発行日: 2022/07/20
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル 認証あり

    掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis:以下PPP)のリスク因子として成人の大多数が罹患している歯周炎の慢性炎症巣が関与している可能性が報告されている.今回,慢性炎症巣としての歯周炎とPPPの関係性を確認するため,PPP患者の皮疹状態と患者の歯周病の臨床症状及び血清・唾液中サイトカインの関連を検討した.歯周炎を有する10名のPPP患者,全身疾患を有しない歯周炎患者4名および23名の健常者の血液と唾液中のサイトカイン・ケモカインの測定を行った.また全ての対象者について歯周組織検査を実施し,口腔内における全ての測定部位に対する4 mm以上の病的な歯周ポケットが占める割合(Probing Pocket Depth:PPD≧4 mm)を,また歯周組織の炎症指標として,全ての測定部位に対する歯周ポケットからの出血を認めた部位の割合(Bleeding on Probing:BOP)ならびに歯周ポケットの炎症面積である歯周炎症表面積(Periodontal inflamed surface area:PISA)を測定した.PPP患者の皮疹状態については掌蹠膿疱症重症度指数(Palmoplantar Pustulosis Area and Severity Index:PPPASI)で判定した.その結果PPP患者の血清では健常者と比較してTNF-α,IL-17の有意な増加が認められた一方,歯周炎のみでPPPではない患者では上昇を認めたが有意差は無かった.また歯周炎を有するPPP患者においては,歯周組織の炎症を示すBOP(%)とPISA(mm2)が掌蹠膿疱症重症度指数および血清中のIL-6,IL-17と正の相関関係を示した.PPP患者では血清中の炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-17)が上昇し,特に歯周炎を有するPPP患者の歯周組織の炎症と炎症性サイトカイン(IL-6,IL-17)がPPPの病態に関与している可能性が示された.

  • 馬場 まゆみ
    2022 年 132 巻 8 号 p. 1863-1868
    発行日: 2022/07/20
    公開日: 2022/07/20
    ジャーナル 認証あり

    本稿は国立ハンセン病療養所研究「ハンセン病療養所入所者における皮膚癌発生頻度」を再編したものである.本邦の療養所入所者の平均年齢は87歳と高齢化が進むなか,皮膚癌の内訳や傾向,瘢痕癌の発生頻度などの検討を行った.

    回答を得られた12施設において10年間で156件(基底細胞癌:25件,ボーエン病:17件,日光角化症:84件,有棘細胞癌:28件,悪性黒色腫:2件)発生した.頭頸部の日光角化症が多く,足底発生の有棘細胞癌はすべて瘢痕癌であった.

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