日本皮膚科学会雑誌
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121 巻, 14 号
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日本皮膚科学会ガイドライン
皮膚科セミナリウム 第80回 悪性間葉系腫瘍
  • 清原 隆宏
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第80回 悪性間葉系腫瘍
    2011 年 121 巻 14 号 p. 3307-3312
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    隆起性皮膚線維肉腫は皮膚科で扱う代表的な線維組織球系悪性腫瘍で,典型的なstoriform patternとCD34陽性を特徴とする.しかしながら,線維肉腫や未分化多形細胞肉腫でも少なからずstoriform patternを呈し,孤在性線維性腫瘍はCD34陽性である.粘液線維肉腫や低悪性度線維粘液性肉腫でみられる粘液性変化も線維組織球系腫瘍全般で観察される所見である.さらに,筋線維芽細胞への分化を示す悪性腫瘍も類似の病理組織像を示す.したがって,各種線維肉腫の病理組織診断は非常に難しいが,特徴的なHE所見とCD34を中心とする免疫染色により,ある程度の鑑別が可能である.また,悪性間葉系腫瘍であるとされている異型線維黄色腫は,本態が未分化有棘細胞癌である可能性を有する.
  • 帆足 俊彦
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第80回 悪性間葉系腫瘍
    2011 年 121 巻 14 号 p. 3315-3320
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
  • 藤澤 康弘
    原稿種別: 皮膚科セミナリウム 第80回 悪性間葉系腫瘍
    2011 年 121 巻 14 号 p. 3323-3329
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
原著
  • 比留間 梓, 小島 知子, 赤坂 江美子, 加藤 正幸, 生駒 憲広, 馬渕 智生, 松山 孝, 小澤 明, 藤山 幹子, 橋本 公二
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 14 号 p. 3331-3336
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    34歳男性.うつ病の既往あり,症状出現2週間前よりフェノバルビタール配合薬(ベゲタミンA®)の頓服をしていた.初診1カ月前より38°C台の熱発,2週間前より皮疹出現.他院で麻疹として加療されるも改善なく,当院受診となる.初診時,略全身にびまん性の紅斑,顔面腫脹,頸部リンパ節腫大,肝機能障害認め,臨床経過と合わせ薬剤性過敏症症候群を疑い,同日入院しステロイドの全身投与を開始.パッチテストでベゲタミンA®陽性,ペア血清でHHV-6,7IgG抗体価の4倍以上の上昇あり.1カ月半後退院となるも,PSL減量中に皮疹,肝機能障害が再燃.退院後2カ月で再入院しγグロブリン大量療法,ステロイドパルス療法施行.以後,寛解,再燃を繰り返し,初診より3年経つ現在も外来加療中.若干の文献的考察を加え報告する.
  • 加畑 大輔, 谷崎 英昭, 荒川 明子, 谷岡 未樹, 高倉 俊二, 大楠 清文, 宮地 良樹, 松村 由美
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 14 号 p. 3337-3342
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    11歳,男児.初診の3カ月前に右上腕に無症候性の皮膚結節が出現し,次第に潰瘍化し軽度疼痛を伴うようになった.他院にて切除術施行されたが再度潰瘍を呈したため2010年4月当科を受診した.潰瘍部の病理組織中に多数の抗酸菌を認め,病変部組織の遺伝子解析にて,Mycobacterium ulcerans subsp. shinshuenseに特異的な遺伝子配列を検出したため,Mycobacterium ulcerans subsp. shinshuense によるBuruli潰瘍と診断した.2%小川培地およびMGIT液体培地にて30°Cで培養したところ,6週間後に黄色コロニーの発育を認めた.リファンピシンとクラリスロマイシン投与開始にて潰瘍の増大は止まったものの,縮小傾向に乏しかったため,抗菌薬を継続したまま,投与2カ月後病変部を切除し分層植皮術を施行した.抗菌薬は計6カ月間で終了し,投与終了後1カ月経過した時点で再発を認めない.Buruli潰瘍は,本来熱帯地方に分布するM. ulceransという非結核性抗酸菌感染症である.しかし,近年その亜種であるM. shinshuenseによる皮膚潰瘍の報告が本邦で増加しており,皮膚潰瘍の鑑別診断のひとつとして念頭におく必要がある.
  • 白樫 祐介, 杉浦 丹, 藤本 篤嗣, 加茂 真理子
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 14 号 p. 3343-3348
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    2008年12月から2010年10月に当科において,既存の治療のみでは効果不十分な重症アトピー性皮膚炎患者7名(男性6名,女性1名,年齢19歳~60歳,体重57 kg~90 kg)を対象とし,シクロスポリン1 日量100~150 mg(1.1~1.9 mg/kg)を1日1回朝食前に投与し,投与2週間後に日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎重症度分類による臨床症状の改善度と,副作用の有無を評価した.また,期間中に血中シクロスポリン濃度(C0:投与前,C1:内服1時間後,C2:内服2時間後,C4:内服4時間後)を測定し,ここからAUC04を算出した.結果全例で重症度スコアが38~65%(平均51%)改善し,血清Cr値や血圧上昇などの副作用は経験しなかった.Cmaxは768~1,379(平均1,010)ng/ml で,全例で内服1時間以内にTmaxに達し,AUC04は1,589~2,449(平均2,003)ng・hr/mlであった.これらの結果から,アトピー性皮膚炎に対してシクロスポリンを1日1回食前に投与し,内服1,2時間後の血中濃度を目安に投与量を調節する方法は,安全かつ有用な方法の一つであることが示唆された.
  • 小田 富美子, 佐山 浩二, 藤山 幹子, 橋本 公二
    原稿種別: 原著
    2011 年 121 巻 14 号 p. 3349-3353
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2014/11/13
    ジャーナル 認証あり
    39歳女性.両親は近親婚.先天性神経性難聴があり,12歳時より両大腿内側,恥丘部に境界明瞭な褐色斑,皮下硬結が生じ,軽快増悪を繰り返していた.14歳時に当科を初診した.組織学的には,脂肪織に著明な膠原線維の増生,組織球と形質細胞が主体の細胞浸潤が見られた.17歳時には多毛も認め,morphea profundaとして報告した.34歳時には,心肥大,心室性期外収縮,心内外膜炎,縦隔炎を認めた.H症候群は2008年に初めて記載された常染色体劣遺伝性疾患で,ヌクレオシド輸送体であるhENT3をコードするSLC29A3の変異が原因で起こる.臨床的特徴として,色素沈着,多毛,肝脾腫,心奇形,難聴,性腺機能低下,低身長,高血糖,外反母趾などを認める.本症例でSLC29A3の変異を検討したところexon4で552C>Gミスセンス変異があり184番目のセリンがアルギニンに変異しておりH症候群と診断した.日本人第1例目のH症候群と考えられる.
学会抄録
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