皮膚筋炎は,炎症性筋疾患の一つであり,筋炎特異自己抗体でサブグループに分類される.間質性肺炎が必発の抗Jo-1抗体含む抗ARS抗体陽性例,無筋症性皮膚筋炎で急速進行性間質性肺炎を起こす抗MDA5抗体陽性例,悪性腫瘍に合併する抗TIF1γ抗体陽性例,体幹筋障害が問題となる抗NXP2抗体陽性例,広範な皮疹を呈する抗SAE抗体陽性例,筋炎が前景に立つ抗Mi2β抗体があり,この分類が治療方針も決定づける.
SLE(systemic lupus erythematosus)の2012年の分類基準や土田らの二次元的分類法は,LEの皮疹を把握する上で有用である.LEの治療はヒドロキシクロロキン(hydroxychloroquine;HCQ)の承認以降,欧米と同等の治療が可能となった.特に難治な頭部のdiscoid LE型皮疹と深在性LE型皮疹ではHCQの早めの治療開始が重要である.
皮膚筋炎では病型別に特徴的な皮疹を認めることを認識し,的確に診断を行うことが重要である.皮膚病変の治療は基本的には病型に合わせた治療となる.
神経線維腫症1型(NF1)には多くの症候がある.その中でびまん性神経線維腫(DNF)は躯幹に多くみられる傾向があり,整容面の問題や疼痛を伴うことも多いことから患者の生活の質を大きく低下させる.入院して手術を行ったNF1患者の医療費について検討したところ,医療費は入院期間と正の相関が見られたが,皮膚の神経線維腫を切除した患者群とDNF群の間に有意差がなかった.DNFは特殊な腫瘍であり,その臨床的特徴が十分に認知され,適切な治療が行われることを期待したい.
皮下間質液中のグルコースを測定する持続血糖モニターのFreeStyleリブレは2017年から使用され始めた.本邦でのアレルギー性接触皮膚炎の報告は今のところは稀であるが.今回,接着部テープによるアレルギー性接触皮膚炎を発症した糖尿病患者3例を報告する.3例中2例で行った成分パッチテストからテープ部に含まれるアクリル酸イソボルニル(IBOA)が原因アレルゲンであることが判明した.当院では15例が使用し,ほか2例も紅斑や瘙痒が出現していた.今後もFreeStyleリブレの使用例の増加が予想され,IBOAは注意すべきアレルゲンとして重要である.
症例1は35歳男性,5年前より好酸球増多症に対してプレドニゾロンやシクロスポリンで加療していたが,誘因なく四肢に紫斑と腫脹が出現した.症例2は36歳女性,誘因なく左下腿と足関節部に紫斑が出現した.2例ともAPTT延長,第VIII因子活性低下,第VIII因子インヒビター力価上昇があり,後天性血友病Aと診断し,プレドニゾロン内服を開始した.いずれの症例も治療に反応し,第VIII因子インヒビターは陰性化した.後天性血友病Aは出血による死亡例もあり,誘因なく突然出現した斑状出血の場合,本症を念頭に入れる必要がある.
53歳,ペルー人女性.下口唇正中付近に縦に線状,左下顎部に帯状に分布する灰褐色斑あり.生検で表皮基底層の液状変性と組織学的色素失調を認め,lichen planus pigmentosus(LPP)と診断した.ステロイド外用で色素斑は改善せず,Qスイッチレーザー治療により略治した.過去16年間のLPP内外報告664例を集計し,Blaschko線に沿う13例,レーザー治療例26例を含め検討した.本症は日本人には稀だが,外国人労働者受入拡大で増加の可能性があり,色素斑をみた際,念頭に置くべきである.