日本皮膚科学会雑誌
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75 巻 , 1 号
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  • 増田 勉, 池田 重雄
    1965 年 75 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    前世紀中葉以来,上皮性の腫瘍細胞巣と間葉性の粘液腫様ないし軟骨様組織が混在する奇妙な腫瘍が,耳下腺を主とした唾液腺に発生することか知られ,その特異的組織像のゆえに,唾液腺混合腫瘍と呼ばれた.その後,同様の腫瘍か皮膚,涙腺にも発生することか知られ,唾液腺型の混合腫瘍として,それぞれ皮膚混合腫瘍,涙腺混合腫瘍と呼ばれた.これら興味ある特異的組織像をもつ腫瘍の発生病理は,長年病理学者の論争の的であつたが,現在ではそれぞれ唾液腺,汗腺,涙腺の腺上皮より発生する.異型腺腫であるとする考えにほぼ一致している.ただこれら腫瘍の特徴である,粘液腫様ないし軟骨様組織の発生機序に関してはなお諸説があり,上皮性或いは間葉性とする考えか対立しているか,いずれにしても,それらの像は二次的な修飾像にすぎないと考えられている.厳密にいつて,混合腫瘍とは2種類以上の胚葉に由来する組織成分が,ともに腫瘍性性格を示す腫瘍であり,この概念に概当する腫瘍としては,卵巣, 睾丸等に好発する奇形腫(teratoma)がその代表的典型である.正確な本質的呼稱からすれば,上述の一群の腫瘍を混合腫瘍と呼ぶことは誤りであり,唾液腺混合腫瘍が多形性腺腫(pleomorphic adenoma)と改稱されつつあるように,皮膚混合腫瘍も多形性汗腺腺腫(pleomorphic hidradeno-ma)とでも呼んだ方がよいはずである.しかし,これらの腫瘍に共通する特徴的組織像と,文献史になじみ深い普遍的名稱のゆえに,“所謂”の名を冠して,混合腫瘍の名稱を保存することは一応許されるだろう.それゆえに,本稿でもこれら腫瘍を所謂混合腫瘍と呼ぶこととする.所謂皮膚混合腫瘍は,1891年Nasseが始めて,35才,男の鼻側皮膚に発生した症例を報告して以来,現在まで文献に記載された症例は300例を越えるにすぎず,比較的稀な腫瘍といえる.しかし,報告例の少ないのは,本腫瘍が比較的稀であることとともに,臨床的に特徴のないため,臨床医か簡単に粉瘤等と誤診して切除し,病理検査を等閑にする傾向のあること,さらに,病理学者も皮膚における本腫瘍を所謂唾液腺型混合腫瘍として,はるかに多い所謂唾液腺混合腫瘍と一括して取扱い,皮膚におけるものを独立のentityとして関心をもつことが少なかつたことも関係あるだろう.次に著者らの最近経験した,所謂皮膚混合腫瘍3例並びに参考として所謂唾液腺混合腫瘍3例(上,下口唇粘膜の小唾液腺及び耳下腺の各1例)を報告するとともに,文献の概要,臨床所見,組織所見を記述し,あわせて組織学的及び組織化学的検索により,粘液腫様ないし軟骨様組織の発生機序をいささかでも明らかにしたい.著者は,これら組織の基となる粘液か腫瘍細胞により分泌されるものと考えているか,Lennox et al.も指摘したように,所謂皮膚混合腫瘍では粘液分泌が少ないゆえに,腫瘍細胞巣,間質と粘液腫様及び軟骨様組織の関係を比較的明確に観察し得るものと考えている.
  • 森 俊二
    1965 年 75 巻 1 号 p. 21-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    本症はSir James Paget(1874)の乳房における観察の発表によつてはじめて世に知られた.次いでその組織像,特に明かるい大型細胞,すなわちPaget 細胞(以下P細胞)の出現することが明らかにされ,この細胞の由来,本性についての研究がいろいろ行なわれて来た.また乳房Paget 病の場合殆んど常に継発する下床の乳癌との関係も種々論ぜられている.さらに乳房外にも乳房Paget病と同様の臨床及び組織像を示すもののあることが知られるに至つた.乳房外Paget病においては,その病理発生並びに下床の癌の有無に関し乳房Paget病と異なるものがおり,その病因論も今日なお帰結を得難い状態にある.われわれは過去数年間に15例の乳房外Paget病(eP)と2例の乳房Paget病(mP)を経験した.ここでは乳房外の本症について,組織学上その特徴的なPaget細胞の本態を知り,Paget病の病因を探る目的をもつてまずHE標本につき詳細に観察(第1編),さらに上皮線維染色を主とする諸染色によつて検索を行なつた(第Ⅱ編).なお使用した症例の多くは東京大学医学部附属病院皮膚科で経験したものであるが,一部は関東逓信病院,東京警察病院,虎の門病院及び青梅市民病院の各皮膚科の症例が含まれている.標本を御貸与下さつたことに,ここで厚い感謝の意を表します.
  • 森 俊二
    1965 年 75 巻 1 号 p. 47-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    第Ⅰ編で得られた所見をさらに詳かにするため,上皮線維染色をはじめとする諸染色を実施,詳細に観察した.
  • Hans Gotz
    1965 年 75 巻 1 号 p. 77-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    爪甲の変化は日常診療中に稀ならず見いだされるところのものである.通常は“カルク欠乏による発育障害”と誤つた診断を下されてしまうことか多いが,しかし大部分の例において,真の原因をつきとめることはさほど難しいものではない.爪甲の変化は比較的単調なものであり,形態,固着性及び色調の3者の変化に要約できる.爪甲疾患のあるものでは,その変化が極めて特徴的な点から容易にその病因を指摘することができる.また一方爪甲のみが侵される場合(狭義のOnychopathie)の他に,全身疾患の遠隔症状としての爪甲変化も少なからずあり,従つて爪甲変化は内的ないし外的要因の一種の爪における“現われ”ということができよう.これらのことを,各種の適当な例を挙げて説明した.(上野賢一抄訳)
  • Hans Gotz
    1965 年 75 巻 1 号 p. 78-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    “Kraurosis”という言葉は,男性または女性外陰部の皮膚粘膜組織における閉塞性萎縮性変化を意味する.鑑別診断上問題となる疾患は,女性の場合,陰門のLichen sclerosus et atrophicus,本態性のScleroatrophia vulvae(本態性のKraurosis),陰唇のロイコプラキー,老人性陰門萎縮症である.男性の場合は,陰茎の本態性硬化萎縮症(本態性のKraurosis glandis et praeputii penis),Balanitis xerotica obliterans,Lichen sclerosus et atrophicus及び陰茎の限局性鞏皮症が,以前は問題となっていた.
  • 岡田 実茂
    1965 年 75 巻 1 号 p. 89-
    発行日: 1965年
    公開日: 2014/08/28
    ジャーナル 認証あり
    Ehrlich(1879)は動物皮膚組織内にトルイジンブルー染色により著明なメタクロマジー性をしめす顆粒をもち,線維芽細胞に類似した外形を呈する細胞を発見して,これをマスト細胞と名付けた.その後本細胞の形態学的,数的変化に関する研究成果が次々に発表され,皮膚疾患との関係についても,Prak-kenら,Asboe-Hansen,斎藤などの報告があり,色素性蕁麻疹をはじめとして,扁平紅色苔癬,湿疹,尋常性天疱瘡,鞏皮症などでは著明に増加してくることや,皮膚腫瘍周辺の結合織内に腫瘍をとりかこむようにして増加してくることなどが次第に明らかになった.最近,組織化学,生化学の発展にともない,顆粒内メタクロマジー性物質の解明に努力がなされ,ヘパリン,ヒスタミン,セロトニン,ヒアルロン酸などが含まれていることが判明し,これら物質はマスト細胞から周囲の基質に顆粒を放出する,いわゆる脱顆粒現象によって組織内に遊離されると考えられている.著者は皮膚,特にマスト細胞(後述するマスト細胞とは組織肥胖細胞を意味する)を多量に含有しているラッテの皮膚を主にもちいて,皮膚炎症時,ヒスタミン遊離物質投与時などにおける本細胞の数的,形態学的変動を追究した(第1図).
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