日本皮膚科学会雑誌
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110 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 朝比奈 昭彦
    2000 年 110 巻 3 号 p. 257-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    皮膚には,末梢神経の分布に伴って多くの種類のニューロペプチドが存在するが,これらは多彩な生理活性を有し,近年その役割が注目されている.サブスタンスPやCGRPには血管拡張作用があり,皮膚が刺激されると知覚神経C線維から軸索反射によって逆行性に放出され,いわゆる神経原性炎症をもたらす.また,これらのニューロペプチドは各種の炎症細胞の遊走を促し,血管内皮細胞にも働いて接着分子を発現させるほか,マスト細胞の脱顆粒を介してケミカルメディエーターを放出させるため,炎症の多くの場面で炎症細胞浸潤に積極的に関与することが考えられる.さらにニューロペプチドは,免疫担当細胞に対して,その増殖やサイトカイン産生といった諸機能を調節する免疫修飾物質としての作用があり,炎症の質的な制御を考える必要がある.最近,神経線維が表皮内でランゲルハンス細胞と接することがわかったが,CGRPはランゲルハンス細胞の抗原呈示能を抑制することで皮膚の接触過敏反応の抑制をもたらし,例えば紫外線による皮膚炎発症と皮膚免疫能低下の双方に関与することが明らかとなった.アトピー性皮膚炎や乾癬といった炎症性皮膚疾患でも神経線維が増加しており,その病像形成に果たすニューロペプチドの役割が指摘されている.皮膚の構成細胞は,神経線維とそこから分泌されるニューロペプチドによって統合支配されているとみなすこともでき,今後は中枢神経との関わりあいを明らかにしていく必要がある.
  • 室 慶直, 杉浦 一充, 岩井 昭樹, 加藤 吉弘, 尾之内 博規, 富田 靖
    2000 年 110 巻 3 号 p. 267-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    皮膚筋炎の予後を大きく左右する因子のひとつとして悪性腫瘍の合併があるが,その原因についてはよくわかっていない.今回の研究では悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎患者の免疫学的特徴を抗核抗体の側面から調べた,7例の患者中,間接蛍光抗体法により全例に抗核抗体もsくは抗細胞質抗体が見い出されたが,いわゆる疾患特異マーカーといわれる抗ENA抗体は陰性であった.興味深いことに,3例の患者血清中に細胞周期関連と思われる抗原に対する抗体が陽性であり,そのうちの1例の抗体の対応抗原は,細胞周期関連のセントロメア抗原,CENP-FであることがcDNAクローニングの結果判明した.今後さらに複数の対応抗原を明らかにし,それらの患者腫瘍組織における動態を解析していく必要がある.
  • 小林 美咲
    2000 年 110 巻 3 号 p. 275-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    アトピー性皮膚炎患者の掻破行動について,患者自身が1ヵ月以上にわたり毎日記録したノートをもとに解析を行った.32例の記録が得られ,検討の結果,通常の痒み刺激による掻く行動の他に,情動と相関して多くは自動的無意識的に起こり,定期的に毎日長時間繰り返されている習慣的な掻破行動の存在が認められた.この習慣的な掻破行動には精神的依存が生じており,コントロールを欠いた状態も見られた.これは単に習慣を越えて嗜癖addiction,または嗜癖行動addictive hehaviorに相当するものであり,嗜癖的掻破行動addictive scratching,さらに,掻破行動依存症scratch dependenceと考え得ると思われた.また掻破行動はほぼ同じ様な掻き方に様式化していることが認められた.そのため,掻破の関与した皮疹は左右対称性に限局して分布する特徴があった.また掻破行動の道具として使用される患者の両手にはpearly nailなどの特徴的な変化が生じていた.嗜癖的掻破行動がアトピー性皮膚炎の病変形成に関与している事が示唆された.
  • 佐久間 正寛, 池田 志斈, 稲葉 裕, 小川 秀興
    2000 年 110 巻 3 号 p. 283-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    本邦における天疱瘡患者のquality of life(QOL)の現状を評価する目的で,天疱瘡QOL調査を行なった.天疱瘡に対する治療法の進歩とともに,この疾患の生命予後は著しく改善されたが,依然として多くの患者が長期通院を余儀なくされており,それ故に患者にとっても今後は主観的要素であるQOLの良否が問われて然るべきものと思われる.QOLの調査票の作成にあたっては,1)疾患の特徴を反映したもの,2)患者記入欄は平易にすること,3)医師記入欄を設けることにより,重症度や治療法とQOLの良否の比較・検討に役立ちうるものであること,4)難病共通の主観的QOL評価尺度を盛り込むこと,5)今後の政策医療の動向とも関連した質問項目をもりこむこと,など現時点では不可欠のものを網羅するようつとめた.結果として,天疱瘡患者の日常生活動作の可否(ADL)については概ね良好であり,ADLの制限は天疱瘡の重症度よりも,他の基礎疾患や合併症の有無により支配されるものと考えた.また経済面においては重症例により顕著に,入院・治療費による負担増や休職などによる収入減などの傾向が認められた.なお本症の病態解析および診断・治療法や予後の改善は近年急速に進んでおり,今後これら最新の情報をインターネットを含む種々の方法を用いて患者や担当医に周知たらしめることが重要であると考えられた.
  • 伊東 秀記, 本田 まりこ, 石田 卓, 新村 眞人
    2000 年 110 巻 3 号 p. 289-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    58歳,女性にBCG接種後生じた尋常性狼瘡の1例を報告するとともに,文献的考察を加えた.症例は11歳時に左上腕にBCGを皮内接種法で接種されたが,接種部位は徐々に隆起,増大し紅色局面を形成した.初診の3ヵ月前から急激に増大したため当科を受診した.ツベルクリン反応は中等度陽性で病理組織学的には類上皮細胞や巨細胞からなる類上皮細胞性肉芽腫であり乾酪壊死は伴っていなかった.生検皮膚組織よりBCG-TOKYO株を分離同定しBCG誘発性の尋常性狼瘡と診断した.BCG接種部位に生じた皮膚結核の報告例をまとめた.
  • 高田 実, 八田 尚人, 竹原 和彦
    2000 年 110 巻 3 号 p. 297-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    本邦では黒色腫の手術後にDAV療法またはDAVフェロン療法が補助的治療法として広く行われているが,最近,これらの補助的治療法を受けた黒色腫患者に骨髄異形成症候群(MDS)の発生が認められたことが複数の施設から報告され,黒色腫の長期生存例における2次発癌が懸念されている.われわれも,左3趾腹原発の黒色腫に対して術前後にDAVフェロン療法を5クール施行され,その2年半後に急性白血病で死亡した71歳男性例を経験した.骨髄の腫瘍細胞の染色体検査では5番および7番染色体を含む多彩な核型の異常が認められ,治療関連白血病と診断された.これを契機に1984年から1997年の14年間に,金沢大学皮膚科において術後に補助化学療法を受けた悪性黒色腫患者73例の予後を調査したが,上記の例以外には白血病またはMDSの発生は認められなかった.しかし,手術後2年以上に亘り末梢血液像が定期的に測定されていた長期生存例35例中3例(8.5%)に軽度ながら遷延性の血球減少が認められた.黒色腫の術後補助化学療法施行例には自験例のような2次発癌があり得ることを考慮し,治療終了後も慎重に経過を追跡する必要があろう.
  • 加藤 吉弘, 室 慶直, 安江 敬, 松本 義也, 大橋 勝, 八木 孝司
    2000 年 110 巻 3 号 p. 301-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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    62歳女性,両親が近親婚.幼小児期より日光露出部に小色素斑が多発し,皮膚は乾燥萎縮していた.38歳時,顔面腫瘍にて初診.F群色素乾皮症と診断され,その後数回腫瘍切除術を行う.62歳時,顔面の有棘細胞癌切除目的で入院の際,血液検査にて抗核抗体陽性であったため,対応抗原の同定の目的で,HEp-2細胞を用いた間接蛍光抗体法を行ったところ,抗PCNA抗体と類似する散在型斑紋染色パターンを示し,分裂期細胞ではいわゆるdiscrete speckledのパターン,分裂終期ではmidbodyが染色された.またHeLa細胞抽出蛋白を用いたイムノプロット法にて約350kDaの蛋白が認識され,以上の結果から,この患者の自己抗体は抗CENP-F(Centromere protein-F)抗体であると考えた.抗CENP-F抗体は細胞周期特異的なセントロメア抗原を認識する自己抗体で,リウマチ性疾患より悪性腫瘍患者に圧倒的に多く見られることが近年報告されている.今回,皮膚悪性腫瘍患者にも同抗体が見出されることが判明し,今後新たな臨床的意義をもつ可能性がある自己抗体と考えられた.
  • 2000 年 110 巻 3 号 p. 307-
    発行日: 2000年
    公開日: 2014/08/19
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