日本皮膚科学会雑誌
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96 巻, 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 逸見 桂子, 森嶋 隆文
    1986 年 96 巻 10 号 p. 989-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    3例のfriction melanosisについて,friction melanosisに特有な骨直上の毛包を避ける色素沈着と皮膚アミロイドーシスを思わせる暗褐色の色素点~小丘疹とを生検し,両部位にアミロイド沈着が認められた.興味あることは,表皮直下のアミロイド沈着の下層あるいはこれと離れた部の乳頭下層から網状層上層の膠原線維束が,光顕的にアミロイドと同様の染色性を示し,電顕的にも膠原線維とアミロイド沈着とが密接な関係を有していることを明らかにしえたことである.かかる所見から,friction melanosisでは膠原線維とアミロイドの沈着あるいは生成とが密接な関係を有しているものと推測した.
  • 安井 由美子
    1986 年 96 巻 10 号 p. 997-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    表皮細胞核内の角化ならびにUVB照射に伴うDNase Iの局在性の変化を酵素抗体法を用い光顕と電顕レベルで検討した.材料はモルモット耳介内面を用い,正常表皮とUVB照射後の表皮を経時的に観察した.その結果,正常表皮では,光顕上DNase Iの染色性は角化とともに増加し顆粒層で最も顕著となったが,基底層,有棘層で染色性の差を認めがたい部位も存在した.核内において反応産物が局在性を有して存在していることが電顕レベルにおいて解明された.即ち,基底細胞,有棘細胞では反応産物は核内に大小の塊状物として認められ,顆粒層上層では核中央に凝集して認められた.UVB照射後,光顕では48,72時間で染色性は低下した.電顕では24,36,72時間で多くの細胞核内の反応産物は多数の小塊として散在性に認められるようになった.これらのことより,DNase Iの局在と形質発現するDNAの局在との間には何らかの相関があるものと推察した.
  • 中川 光子, 西嶋 攝子, 朝田 康夫
    1986 年 96 巻 10 号 p. 1007-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    毛包内常在菌であるPropionibacterium acnes(P. acnes)とStaphylococcus epidermidis(S. epidermidis)の二者の増殖に対する脂肪酸の影響をMICの測定により,in vitroで検討し,その形態の変化を走査電子顕微鏡にて観察した.使用した脂肪酸はlauric acid(C12),palmitic acid(C16),Stearic acid(C18),oleic acid(C18:1)である.その結果,S. epidermidisはlauric acid 200μg/ml以上,oleic acid 100μg/ml以上で発育阻止され,P. acnesはlauric acidの200μg/ml以上においてのみ発育阻止された.また形態学的にも発育抑制の状態が走査電子顕微鏡下に明らかに観察された.
  • 高橋 昌江, 手塚 正
    1986 年 96 巻 10 号 p. 1013-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    1.新生仔ラット表皮中に存在するhistidine-rich proteinを分離,精製するために,タンパクのhistidine,tyrosineおよびtryptophan残基と反応するPauly反応を電気泳動ゲルに応用し,その染色バンドをマーカーとして,精製を進めた.2.Tris-HCl,4M urea,8M アルカリ性urea抽出液を等電点電気泳動後,Pauly反応でゲルを染色したところ,Tris-HCl抽出上清の酸性領域に陽性バンドがみられた.3.それら陽性バンドのうち,タンパク当り最もPauly反応染色性の強かった等電点5.1のタンパクを抽出し,SDS-PAGEを行い分子量を測定した.4.SDS-PAGEの結果,主として4本のタンパクバンドがみられ,それぞれをアミノ酸分析したところ,分子量56,000のものがhistidine含量3.6%ともっとも高かったので,このものについて家兎にpolyclonal抗体を作成し,抗原に対する抗体の存在していることをimmunoblotting法により確認した.5.In vivoでの局在を検討するために,作成した抗血清を用いて蛍光抗体間接法を行った.その結果,特異蛍光は角層細胞膜にみとめられた.したがってこのPauly反応陽性タンパク質は角層細胞膜に局在することが判明した.
  • 藤岡 彰, 安井 由美子, 馬場 俊一, 鈴木 啓之
    1986 年 96 巻 10 号 p. 1019-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    血清IgEが持続的に200,000IU/mlを越える高値を示した湿疹続発性紅皮症の1例を経験した.症例は79歳,男子.両手掌に瘙痒性皮疹出現,漸次拡大し紅皮症となって当科入院.外用療法にて軽快したため退院したが,すぐに再発し再入院した.血清IgEの持続的上昇を認め,最高300,000IU/mlを越えるに至る.免疫電気泳動にてIgEの沈降線を認める.諸検査施行したが悪性所見を認めない.皮疹軽快するに従い血清IgE値も減少傾向を示すが,それでも100,000IU/ml前後の値を示している.腋窩リンパ節の直接蛍光抗体法所見で,IgE産生形質細胞と思われる細胞を多数認める.紅皮症或は汎発型慢性湿疹と高IgE血症との関連に対して,アトピー素因や,T cell系の異常が云われている.このことにつき,自験例,我々の施設の症例,過去の報告例をあわせて若干の考察をおこなった.
  • 藤岡 彰, 安井 由美子, 馬場 俊一, 鈴木 啓之, 森岡 貞雄, 飯田 利博
    1986 年 96 巻 10 号 p. 1025-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    抗癌剤の持続動注療法により,小山,斉藤班の固型がん化学療法直接効果判定基準で著効と判定されたangiosarcomaの1例を経験した.症例は83歳,男子.左前額から前頭にかけての腫瘍で,臨床所見と病理組織学的所見より,angiosarcomaと診断した.さらに電顕,組織化学所見を加え,自験例の初診時は未分化癌の腫瘍と考えた.adriamycin,5-FUの持続動注療法で半年後著効が得られた.しかし1年後再発所見を認めた.自験例を未分化な癌と考え,さらに,抗癌剤の持続動注療法が著効を呈したことについて,文献的考察も混じえて,若干の考察をおこなった.
  • 梅村 忠弘, 近藤 隆男
    1986 年 96 巻 10 号 p. 1035-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    症例:62歳,男性.料亭の板前.既往歴として肝硬変がある.ヒラメの刺身を食べた後,発熱と下痢が出現した.右下肢には浮腫性腫脹,紅斑,水疱がみられ,皮疹は次第に悪化し,上肢にも拡大して壊死性蜂窩織炎となった.入院後,アンピシリン,セフチゾキシム,ミノサイクリン投与にて治療したが,ショック状態となり,肝障害が悪化して昏睡状態となって死亡した.入院時の血液,水疱内容よりVibrio vulnificusが検出された.
  • 坪井 良治, 高 益俊, 松田 和子, 真田 妙子, 小川 秀興
    1986 年 96 巻 10 号 p. 1041-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    ヒト足蹠角質以外には極端に窒素源を制限した液体培地を用いてTrichophyton mentagrophytesの臨床株(M-420株)を培養し,培養濾液中に,中性,アルカリ性領域で活性を有するプロテアーゼの他に,これまで報告のなかった酸性領域にプロテアーゼ活性を認めた.部分精製された本酵素は至適pH4.0―4.5を持っており,通常弱酸性を示す健常皮膚に糸状菌が侵入する際,不溶性の角質を溶解し,栄養源としてのペプチドを獲得するために重要な生物学的役割を担っているものと考えられる.また本酵素は,酸性プロテアーゼにもかかわらずpepstatinの影響を受けず,PMSF,chymostatinによって活性が阻害され,Ca++イオンによって強力に活性化されるというserine系プロテアーゼに近い性質を持っており,酵素学的にも興味深いプロテアーゼである.
  • 1986 年 96 巻 10 号 p. 1045-
    発行日: 1986年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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