日本皮膚科学会雑誌
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89 巻, 9 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 飯島 正文, 滝沢 清宏, 溝口 昌子, 新村 真人, 紫芝 敬子
    1979 年 89 巻 9 号 p. 599-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    卵性双生児の双方に発症し,経過中に肺症状を呈し Die (Disseminated Intravascular Coaglopathy) 症候群および自癬性肉芽腫(Granuloma trichophyticumMajocchi)を合併した Weber-Christian 病(以下 W-C 病と略)の42歳男子例を報告した.本症の本邦報告例は日本医学中央雑誌343巻(昭和52年5月)までに自験例も含め207例あり,男女比は1:1.84, 20歳台に最も多く発症し,男では乳幼児期,女では壮年期が第2の好発年齢で,死亡率は 32,4% であった.佐藤の集計308)以降の本邦報告例136例につき詳細な統計的観察を試み,若干の興味ある知見を得た.すなわち,1)家族内発生 (一卵性双生児の双方および兄妹例)を認める. 2)本症の皮下硬結は全身のいかなる部位にも生じうるし,時に皮下硬結を欠き内臓脂肪織のみに本症が限局した症例もある,3)本症における白血球減少は重症もしくは予後不良の徴候と考えられる. 4) Die 症候群の合併を3例に認め,本症にしばしばみられる出血傾向はおそらく凝固線溶系の異常にもとづくものと考えられる. 5)本症のツ反陰性例のうち,乳幼児を除くと21例中7例が明らかに陰転化しており,本症における免疫異常の存在が考えられる.6)本症による肺病変を呈した6例があり,いずれも病勢と平行し,ステロイドに反応した. 7)本症の病理組織学的特徴は lipolyse とlipogranuloma の形成209) にあるが,小血管の変化も比較的多く認める. 8)剖検上本症は全身のあらゆる脂肪織に発症し得,肝では脂肪変性,肺では脂肪塞栓を認めることが多い.牌に onion skin lesion. 腎に hematoxylin body を認めた症例もある,などである.
  • 西岡 和恵, 倉田 三保子, 藤田 英輔
    1979 年 89 巻 9 号 p. 621-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    女子顔面黒皮症に対する香粧品成分の病因的役割を検討するために,本症の23例に貼布試験及び光貼布試験,さらにその4例に,反復貼布による皮疹再現試験及びその組織学的検討を行い,以下の結果を得た. 1)香粧品成分貼布試験では,23例中15例 (65%) が本邦基準の(+)以上,さらにその11例 (48%) が(++)以上の陽性反応を呈した. 2)成分別の陽性頻度では R-219 及び Benzyl Salicylate に頻度が高かった・ 3)同一人において2~8種の多種抗原に対し(++)以上の陽性反応を呈したものが7例にみられた. 4)反復貼布を行った4例の全例に貼布部における色素沈着の発現が認められた.うち1例での色調は,顔面の色素沈着に類似しているのが認められた.組織学的にも検討した3例の全例に色素失調の発現が認められた. 以上より,女子顔面黒皮症例の多くが貼布試験陽性物質によるアレルギ一性接触皮膚炎の繰り返しにより,組織学的色素失調を伴う特有の顔面皮疹を生じた可能性の高いことを結論した.
  • 上田 説子
    1979 年 89 巻 9 号 p. 627-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)菌体を稀塩酸で加水分解抽出し,ピクリン酸沈殿法により新しい皮内反応用抗原を精製し, TMP (Trichophyton MentagrophytesPeptide) と名づけた. Freund's complete adjuvant とともに菌体を感作したモルモットにおいて, TMP は遅延型の皮膚反応活性を示し,陽性反応の最少量は 3μg であっだ. TMP の化学的分析では純蛋白に近い性状を示し,核酸・糖の少量(5%以内)の混入をみとめた. Pronase で3時間分解すると活性は完全に消失したので,抗原活性は蛋白部分にあると考えられる. Sephadex によるゲル濾過や SDS-ボリアクリルアミドゲル電気泳動では,分画帯が広い範囲に分散し,分子量については heterogeneity が強いが,いずれの分画も抗原活性にはほとんど差がなかった. Disk 電気泳動でも泳動帯が広く分散したパターンであった.酸,アルカリ処理や加熱による変性失活はほとんどおこらず,安定性が高い.また,感作モルモットの腹腔細胞による MIF 試験において100μg/ml の濃度で完全な遊走阻止がみられた. TMP は蛋白性の抗原である点が従来のトリコフィチン反応抗原とはまったく異なった特色である.また,安定性,精製法の簡便さ,比活性の高さ等の点から,トジコフィチン反応や in vitroの細胞免疫試験など臨床的な利用価値も高いと考えられる.
  • 樋口 道生, 中島 照子, 清 佳浩, 滝内 石夫
    1979 年 89 巻 9 号 p. 639-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
    女性の広範囲熱傷患者に38名の volunteer より皮膚の提供をうけ,同種皮膚移植をおこなった.移植後22出目に1男性の donor よりの graft が肉眼的に生着していると思われた.移植部皮膚および患者の正常皮膚を生検し,キナクリン蛍光染色による Y-body の検索をおこなった.移植部皮膚で57, 60% の Y-body が証明されたが,患者自身の皮膚には認められなかった.以上より重症熱傷患者においては移植後約8ヵ月間 allograft が生着し得ることを確認した.
  • 1979 年 89 巻 9 号 p. 643-
    発行日: 1979年
    公開日: 2014/08/22
    ジャーナル 認証あり
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