皮膚エリテマトーデスの分類を行う際,臨床所見と共に重要なのが,それぞれの病型の病理組織学的所見である.中でも慢性皮膚エリテマトーデスの代表的な病型である古典型円板状エリテマトーデスには,皮膚エリテマトーデスの病理組織の基本となる所見が多く含まれている.
自己免疫性水疱症では水疱だけでなく,紅斑など多彩な臨床症状がみられ,その臨床像を反映して病理組織学的所見も様々である.診断には自己抗体の存在を証明することが必須であるが,病理所見も診断に重要であり,その特徴について知っておく必要がある.天疱瘡群,類天疱瘡群でみられる特徴的な所見,また共通してみられる所見について紹介し,それらの所見がみられる病態について考察を加え,解説する.
蕁麻疹は日常診察する頻度の高い疾患であり,病理組織像では基本は真皮の毛細血管周囲および間質内への細胞浸潤が観察される.疾患特異性の低いものであるが,組織像を観察するとリンパ球・好中球や好酸球が多く浸潤していたり,あるいは浸潤が乏しかったりと多彩な像を示す.また蕁麻疹として提出された標本を観察する際に,遅延性圧蕁麻疹や蕁麻疹様血管炎は比較的特徴的な所見を有しており病理学的に臨床像を示唆することができる.Schnitzler症候群は自己炎症症候群の一つと考えられており,慢性蕁麻疹様あるいは蕁麻疹様血管炎に類似する皮疹を生じる.病理組織学的には白血球が多数浸潤し核破砕片が観察されるものの,血管炎はみられない.病理組織学的に上皮内への好中球浸潤が特徴的で“Neutrophilic epidermotropism”が診断の手掛かりになると言われることがある.
乾癬は視診で診断がつくことも多いのですが,類似の皮疹を呈しうる他の疾患と誤診する可能性もあります.乾癬の病理組織はいわゆる「psoriasiform dermatitis」の代表選手で,表皮突起,真皮乳頭はそれぞれ上下に延長し,規則的な表皮肥厚を認めます.turn overが亢進した表皮角化細胞たちが栄養や酸素を得るために真皮との接触面積を多くするべくとった措置なのかもしれません.その他にも病態を反映する所見が随所に認められ,それらは皮疹のstageによって変化することから,乾癬の病理組織は見ていて楽しく飽きません.
タクロリムス軟膏(プロトピックⓇ軟膏)0.03%小児用の承認時に承認条件が設定されたことから,使用実態下での安全性と有効性の確認のために長期特定使用成績調査を実施した.安全性では1,221例,有効性では1,210例を解析対象とした.主な副作用は「皮膚感染症」9.9%,「塗布部位の刺激感」3.3%であった.2年6カ月~3年未満での中等度以上改善率は71.5%であった.使用開始から3年後までの安全性及び有効性に関して新たな問題となる事項は認められなかった.皮膚がん及び悪性腫瘍発現状況に関しては,最長10年間,5,815.6人・年観察したところ発現は認められなかった.
獣肉アレルギー患者10例を対象に抗原検索を行い臨床的特徴をまとめた.方法:問診にて病歴,ペット飼育歴やマダニ咬傷歴,居住地を含む患者背景,臨床症状を確認し,プリックテストおよび抗原特異的IgE検査,ウエスタンブロット法による血清学的解析を行った.結果:10例中7例はgalactose-α-1, 3-galactoseによる獣肉アレルギー,2例はハムスターまたはネコ被毛に感作されたpork-cat syndrome,1例はコラーゲンを原因抗原とし,獣肉のみならず鶏や魚にも反応した稀な症例であった.