日本皮膚科学会雑誌
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95 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 杦山 正康, 秋保 暁, 日高 敏博, 小倉 良平
    1985 年 95 巻 10 号 p. 1043-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    細胞が紫外線(UV)照射をうけた場合に,細胞機能に関連の深い細胞膜の物性変化を電子スピン共鳴法により検索した.細胞は表皮メラノサイトのモデルとしてB-16メラノーム細胞を用い,スピンラベル剤として5ならびに12-doxyl stearic acidを用いてオーダーパラメーターS,S(TⅡ),S(TⅠ),τcを求めて膜流動性を観察した.UV-Bランプによる1.8×10-4watts/cm2 15分間の照射により,3~6時間後では膜の親水・疎水の全層にわたり流動性が増加し,疎水部では更にこの状態が24時間後まで持続した.膜の流動性に対するUVの影響は比較的長時間にわたり残ると共に,膜の深さにより対応が異なる事を明らかにし得た.膜の流動性に対する膜機能の変化については現在検討中である.
  • 高橋 典大, 星野 稔, 高瀬 孝子, 内藤 琇一, 馬場 徹, 上野 賢一
    1985 年 95 巻 10 号 p. 1049-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    サルコイドーシスの皮膚病変が潰瘍化した65歳,女子の症例を報告した.潰瘍は両前腕,足趾に認められた.病理組織像では潰瘍底に類上皮細胞肉芽腫を認めたが,血管炎の像は見られなかった.本邦に於けるこの様な症例の報告は文献上これまで例がなく,本邦第1例目と思われる.海外文献では潰瘍性皮膚病変を伴ったサルコイドーシスは26例報告されているが,筆者らがその記載を明らかにできた17例中,潰瘍部に類上皮細胞肉芽腫ありと記載されているものは9例のみであり,うち2例は血管炎を伴っていた.
  • 麻生 和雄, 佐藤 紀嗣, 高木 博徳, 穂積 豊, 伊藤 義彦
    1985 年 95 巻 10 号 p. 1055-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    頚部リンパ節に転移のみられた79歳女子.0・伯エ発性のMerkel cell carcinomaの症例について報告,これまでの文献例からその臨床病理について考察を加えた.転移病巣から腫瘍細胞を培養,現在継代14代である.培養細胞の形態的所見も記述した.
  • 馬場 俊一
    1985 年 95 巻 10 号 p. 1065-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    外毛根鞘角化を超微形態学的に明らかにするため,ヒト頭部皮膚を材料として,外毛根鞘が角化する部位である成長期毛包峡部を電顕で観察した.結果:1.峡部において角化した外毛根鞘細胞には,高電子密度を呈する微細な線維の凝塊が充満する.2.角化した外毛根鞘細胞には周辺帯の形成が認められる.3.この角化した外毛根細胞は,内毛根鞘の崩壊以前で,脂腺開口部から800μmの深さから観察される.4.角化した外毛根鞘細胞の出現から,内毛根鞘崩壊の開始部までの間,すなわち脂腺開口部から800μm-500μmの範囲において,角化した内毛根鞘のヘンレ層細胞と,角化した外毛根鞘細胞との間にはデスモゾームが存在する.5.角化直前の外毛根鞘細胞の細胞質内には,少数ではあるが,球形乃至卵円形のケラトヒアリン顆粒が観察される.このケラトヒアリン顆粒は脂腺開口部より1,100μmの深さから観察されはじめる.これらのことより,外毛根鞘は超微形学的にも特異な角化を呈し,内毛根鞘が遊離する以前から,電顕的には角化した外毛根鞘が出現することが,より明らかとなった.
  • 清水 宏, 西川 武二, 木村 俊次
    1985 年 95 巻 10 号 p. 1077-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    50歳以上の中高年者の頚部に多発する白色丘疹性皮疹の16例を報告した.発疹は粟粒大から帽針頭大,白色ないし黄白色調,弾性やや硬,表面平滑,円形ないし楕円形を呈する境界明瞭な扁平隆起性丘疹性皮疹である.これらが数個から数10個,頚部に対側性に,毛ハVハVと無関係に多発する.融合傾向を認めず,有茎性に隆起するものもない.自覚症状はなく,明らかな先行皮疹の既往もない.組織学的には真皮上・中層の膠原線維束の粗大化,増加が病変の主体をなす. 以上の臨床および組織学的所見は既知の疾患に該当するものがなく,我々は本症を新しいclinical entityと考え,white fibrous papulosis of the neck(WFPN)と命名した.本症の発症誘因は明らかではないが,これまで見過ごされてきた加齢に伴う老人性皮膚変化の1つで,中高年者においてはそれほどまれではないものと考えられた.
  • 松本 義也, 安江 隆
    1985 年 95 巻 10 号 p. 1085-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    妊娠,分娩を無事に経過しえた抗SS-A抗体陽性SLEの1例と,抗RNP抗体陽性SLEの1例とを報告した.症例1は34歳の女性で,昭和54年より蝶形紅斑,脱毛,日光過敏症,レイノー現象,関節痛が認められ,抗核抗体は陰性(核材はマウス肝)で,抗DNA抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体,抗SS-B抗体も陰性であったが,抗SS-A抗体は陽性であった.シェーグレン症候群は否定され,いわゆる抗核抗体陰性のSLEと考えられた.2回の妊娠,分娩を経験したが母子共に異常はなく,ステロイド剤も第1子出産時にのみ投与された.第2子に新生児エリテマトーデスは認められず,抗SS-A抗体も生後約6ヵ月には消失した.症例2は30歳の女性で,昭和46年より蝶形紅斑,関節痛,レイノー現象,発熱がみられ,抗核抗体は陽性,抗DNA抗体は低値陽性,抗Sm抗体,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体は陰性であったが,抗RNP抗体は高値陽性であった.出産時に母子に異常はみられず,プレドニソロン維持量も1日5mg以下であった.これら2症例では中枢神経症状,高度の腎症,著明な低補体血症は認められなかった.抗DNA抗体,抗Sm抗体が陰性または弱陽性で,抗SS-A抗体または抗RNP抗体が陽性であるようなSLEは,予後良好なSLEのサブセットであり,妊娠を許可しても特に問題はないであろうと考えられた.
  • 中川 秀己, 山田 清
    1985 年 95 巻 10 号 p. 1091-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
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    ヒト2倍体線維芽細胞を用いて得られたβ型インターフェロン(HuIFN-β)を用い,ヌードマウス可移植性ヒト悪性黒色腫に対する温熱療法との併用効果を検討した.21日間連日9×105IUのインターフェロンを腫瘍実質周囲に投与し,3日おきに計6回43℃の局所温熱を加えた.HuIFN-βと温熱併用群は,コントロール,プラセボ,温熱のみおよびHuIFN-βのみの群と比較し,著明な腫瘍抑制効果を示した.インターフェロンとの温熱の併用療法が,将来人悪性黒色腫の治療に役立つ可能性を示唆した.
  • 1985 年 95 巻 10 号 p. 1095-
    発行日: 1985年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
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