生後7カ月で診断した1型高IgE症候群の1例を報告した.自験例の発疹は生後3週から発症し,二次感染を伴う脂漏性湿疹様の湿潤性局面,稗粒腫様または面皰様の黄白色小丘疹,ヘルペス様の痂皮性小丘疹または小膿疱,粉瘤様皮下結節,炎症所見に乏しい皮下膿瘍(冷膿瘍)などであり,頻回の皮膚培養よりメチシリン抵抗性黄色ブドウ球菌が検出された.これらの皮疹は感染症治療後に毛包一致性の充実性丘疹となった.生後3カ月での非特異的IgEは2,120 IU/mlで,9カ月には16,000 IU/ml以上に達した.遺伝子検索にてサイトカインシグナル伝達・転写因子であるSignal Transducer and Activator of Transcription 3(STAT3)のDNA結合ドメインにR382Wの1アミノ酸置換を認めた.母親にも同一の変異を認め,常染色体優性遺伝を示した.新生児からの難治性・易感染性の湿疹様病変をみた場合には,本症候群を鑑別する必要があると考えた.
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