アミロイドはβシート構造を有する線維蛋白であり,アミロイドが全身諸臓器の細胞外に沈着することによって機能障害を引き起こす一連の疾患群をアミロイドーシスという.その中で,我々皮膚科医が日常診療で遭遇しうる皮膚にアミロイドが沈着する疾患は,多臓器症状の一部として皮膚にアミロイド沈着をきたしている全身性アミロイドーシスとアミロイドの沈着が皮膚のみに限局する皮膚限局性アミロイドーシスに大別される.本稿では,アミロイドーシスの診断手順,分類,特徴を概説する.
ムコ多糖代謝異常に伴う皮膚病変として,脛骨前粘液水腫,汎発性粘液水腫,丘疹性ムチン沈着症(粘液水腫性苔癬),硬化性粘液水腫,毛包性ムチン沈着症,遺伝性ムコ多糖症(Hunter症候群など)について,その病態と皮膚症状について解説した.また,糖代謝異常として,糖尿病に伴う皮膚病変(リポイド類壊死症,前脛骨部色素斑,糖尿病性水疱,糖尿病性浮腫性硬化症,糖尿病性手指硬化,Dupuytren拘縮,汎発性環状肉芽腫)の病態と臨床症状の特徴について解説した.
我々は,先に抗デスモグレイン(Desmoglein;Dsg)3抗体価が高値,蛍光抗体間接法(Indirect immunofluorescence;IIF)が陰性を示す尋常性天疱瘡寛解例の血清解析を行い報告した.今回,天疱瘡症例の予後および抗Dsg抗体価とIIF結果との関連を調べるため,当院で2008年から2020年に加療した症例のうち,予後を追跡し得た76例について検討を行った.抗Dsg抗体陽性かつIIF陰性の症例は21例あり,その多くは症状がなくステロイド中止または少量のステロイドで治療されていた.一部の天疱瘡症例では,Dsg値のみならずIIF結果を追跡し,治療方針を考える必要があると考えられた.