日本皮膚科学会雑誌
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80 巻, 2 号
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  • 桑原 宏始
    1970 年 80 巻 2 号 p. 69-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    Breathnachはマウスの胎児のNeural crestを切除すると,表皮メラノサイト(M細胞と略)と真皮神経要素を欠如するが,表皮には依然ランゲルハンス細胞(L細胞)が検出できるとして,L細胞のNeural crest由来を否定したが,著者は前報でM細胞とL細胞を比較,前者はNeural crest由来の細胞で,胞体内にメラノゾーム(Mel.)を有するに対し,後者は同細胞に,甚だ特徴的なBirbeck顆粒とd顆粒を有することを確認した.また貨幣状湿疹,慢性蕁麻疹においては,真皮にL細胞を認めたばかりでなく,同細胞が真皮から表皮へmigrateする像を観察した.両者は同じく表皮内に存在する樹枝状細胞であるが,根本的に異なる系列の細胞であることを指摘した.またWolff,Tornowski,Hashimoto,らは,細胞の原形質膜とB顆粒が接触している所見をみ,これをL細胞の貧喰所見と解し,同細胞はおそらく,組織球系の表皮内貪喰細胞であろうと推論しているが,著者は貨幣状湿疹の表皮に高電子密度顆粒(d顆粒)を有するL細胞を観察し,L細胞にはB顆粒とd顆粒の2型の分泌顆粒を有することを指摘,これらの顆粒はその形成過程や細胞内分布所見から,貪喰作用によるL細胞内顆粒ではなく,一種の分泌顆粒であろうと推論した.さらにまた最近Basettは胸腺や脾臓にL細胞と類似の細胞を証明し,佐藤も琳巴節にL細胞を証明しているが,著者は家兎胎児胸腺,幼若マウス胸腺および脾臓にL細胞を検出,また紅皮症患者の真皮内にL細胞の集団像を認めた.以上の事実を総合すると,L細胞はもはや間違いなく,間葉系起源の細胞と考えられ,おそらく胸腺細胞,一歩譲つてもそれに近縁の細胞と考えられるので,本報では,これ迄著者が検索した色素異常症の電顕像について詳細に述べ,限局性白皮症,Albinoidism,老人性白斑,Sutton白斑,Sutton現象,尋常性白斑,ならびに薬物による白斑黒皮症,胸腺,脾臓などを中心にL細胞の起源と機能を再検討し,併せて上記各疾患の病因論について検索し,些か知見を得たので,ここで報告し,大方の御批判を仰ぐ次第である.
  • 麻生 和雄, R.K. Freinkel
    1970 年 80 巻 2 号 p. 113-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    Kooymanは表皮は角化するにしたがい,エステル化されるコレステロール量が増加することを指摘しており,この所見からRothmanはコレステロールのエステル化が皮膚では角化に関連を有すると考へ,Gara,Lorinczは異常角化を示す乾癬患者で皮膚表層でのエステル化が低下していると報告している.しかしながら実際に表皮でのエステル化機構を生化学的にあきらかにした報告はなく,Glomsetはネズミ各臓器のコレステロールエステル化に関する報告では皮膚にはほとんど活性がみとめられないとさえのべている.著者らはこれらの問題をふまえて,表皮におけるコレステロールのエステル化が酵素的におこなわれることをあきらかにしたが,表皮から本酵素の精製をおこないエステル化のメカニズムの一端を解明することができたので報告する.
  • 麻生 和雄, 関 悦子, 長岐 徹, 坂本 信夫
    1970 年 80 巻 2 号 p. 121-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    著者は前報で表皮のコレステロールのエステル化が酵素的であり,ATP,CoAにより活性化されたfatty acyl CoAから脂酸がコレステロールにエステル化されることを表皮精製酵素をもちいあきらかにした.そのエステル化機構を検討中表皮にはエステル化酵素とは別箇にコレステロールエステルを加水分解するcholesteryl esteraseの存在も確認することができた.加水分解酵素はcofactorを必要とせず,表皮細胞のマイクロゾームに局在する.このエステル化および加水分解は可逆的のものではない.Inhibitorを用いた成績からコレステロールエステル加水分解酵素は表皮の非特異性エステラーゼやコリンエステラーゼとはことなることもあきらかになつた.
  • 麻生 和雄, 関 悦子, 長岐 徹, 坂本 信夫
    1970 年 80 巻 2 号 p. 128-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    Lehningerがミトコンドリアをpower plantと呼んでいるようにその主要な機能はATPであらわされるエネルギーの生成蓄積にある.表皮のミトコンドリアは電顕的に他臓器のそれと同様な形態を有しているが,その最も主要な機能というべきATP生成に関する満足すべき報告に接していない.著者らは酸素電極法(茨原式oxymeter)をもちい表皮から分離したミトコンドリアでこのATP生成を観察し,同時にWakilが肝であきらかにしたように表皮ミトコンドリアで活発な長鎖脂酸の生合成もおこなわれていることを確認することができたのでその成績の概要を報告する.
  • 石崎 宏
    1970 年 80 巻 2 号 p. 135-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    スポロトリキン反応の抗原としては従来,Sporotrichum schenckiiの菌体,菌体から抽出された粗製多糖体,培養濾液またはそのエタノール沈澱物などが用いられてきた.それらはいずれも粗製抗原で,有効成分の本体は不明のままである.著者はSporotrichum schenckiiの培養濾液から多糖体物質を抽出し,その免疫学的ならびに化学的性状を解明しようと企てた.
  • 1970 年 80 巻 2 号 p. 136-
    発行日: 1970年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
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