日本皮膚科学会雑誌
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93 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 福原 俊子
    1983 年 93 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    methylcholanthrene 誘発の可移植性マウ久皮膚棘細胞癌(以下Sql2と略す)をもちいて,皮膚転移の第一段階である原発巣における腫瘍の増殖過程を観察する目的で,腫瘍細胞を同 -colony 健康マウス皮下に接種後同部を経時的に切除し,肉眼的・組織学的に観察した.次いで転移の第二段階である腫瘍細胞の血中への移動を確認するため,担癌マウ不から経時的に血液を採取して同 colony 健康マウスに注入し,腫瘍細胞の血中への出現時期を検討した.その結果,移植12日以後の血中には腫瘍形成にいたるに十分な腫瘍細胞が循環していることが明らかになった.更に火傷,損傷後 DNCB 滴下,骨折等の操作を局所に加え皮膚への遠隔転移形成を試みた. 従来,悪性腫瘍の皮膚への転移は比較的稀と言われているが,臨床的に外傷その他の組織の挫滅部に転移が生じることはよく知られた事実である.今回の実験結果から転移形成促進の一つの要因として外傷等の宿主側の条件も影響したものと推定された
  • 渡辺 晋一, 関 利仁, 下妻 道郎, 鄭 憲, 滝沢 清宏
    1983 年 93 巻 1 号 p. 19-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    カンジダ性爪炎はしばしば爪囲炎を伴い,カンジダの真の寄生によって生ずる爪病変ばかりでなく,カンジダ性爪囲炎によって生ずる二次的な爪の変化をもカンジダ性爪炎として取扱われている嫌いがある.この原発性のカンジダの寄生によって生ずるカンジダ性爪爪炎(爪カンジダ症)とカンジダ性爪囲炎によって生ずる二次的爪変化とは,発生病理学的に全く異なる疾患でありながら,カンジダ性爪炎と一括されてきたのは,両者の臨床・病理的特徴が明確でなかったためだと思われる,そこで我々は昭和44年から55年の間に東大・皮膚科を受診・したカンジダ症患者765名の統計的観察を行い,その中から25名の爪カンジダ症をみいだし,これらの臨床・病理的検討を行った.この結果,本症はカンジダ性爪囲爪炎の14.3%にみられ,年齢・性別では通常のカンジダ性爪炎と有意な差はみられなかったが,臨床的に,本症は爪甲下角質増殖を特徴とし,病理組織学的に菌要素は爪甲深部にみられ,しかも白癖菌類似の異常寄生形態をとることかわかった.そしてこの原因菌はすべて Candida albicans であり,種々の治療に抵抗し,唯一有効な治療法はケトコナゾール内服であった.また本症は SLE など細胞性免疫不全をぎたす基礎疾患を伴うことが多く,慢性皮膚粘膜カンジダ症が,先天的なカンジダに対する細胞性免疫不全を背景に発症する病気であるのに対し,爪カンジダ症は後天的に生じたカンジダに対する免疫不全を背景に発症した疾患であると思われた.つまり,本症を host 側の発症要因によって発症したカンジダ症と考えることができ,この意味で本症を一つの dermadrome とみなすことができると思われた.
  • 須藤 成章, 五十嵐 良一, 諸橋 正昭
    1983 年 93 巻 1 号 p. 33-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    肢窩毛包について補体および免疫グロブリンの沈着の有無について検索した.その結果多少の沈着パターンの差はあるが,以前報告した頭皮毛包と同様にC3 を主体とする補体の沈着が認められた.
  • 浅野 翔一, 園田 優子, 長 等, 相模 成一郎
    1983 年 93 巻 1 号 p. 35-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    胎生12週目のヒト胎児3例に於ける皮膚のリンパ管(LV)を観察し,次の様な結果を得た. 1)この時期の LV は表皮下組織(開葉組織)の中層から深層にかけて限局していること. 2)LV は光顕的には adult skin に於ける LV と略々同様の形態を呈していること. 3)電顕的には endothelial cell(EC)は極めて非薄で, open intercellularjunction が認められるが, basallamina (BL) や lymphatic anchoring filament(AF) はまだ殆んど出現していないこと. 4)一方,血管(BV)は表皮下組織全体に分布しており,しかも総べて毛細血管類似の構造をなしていること. 5)以上,この時期の LV と BV との鑑別は光顕的に,その分布域及び形態的特徴より可能である.
  • 森岡 洋子, 永井 盛人, 井上 文雄, 田上 八朗
    1983 年 93 巻 1 号 p. 43-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    第1例は64歳男子.発熱,左胸鎖関節部腫脹,疼痛にひきっづき,四肢仲側を中心に出血性丘疹や膿疱を生じた.ついで急性腹症,尿異常所見が出現したため,副腎皮質ホルモンの内服投与したところ徐々に軽快したが,6ヶ月後に一一度再発した.第2例は8歳女児.上気道感染様症状と,左足関節の腫脹と疼痛にっいで,下肢に出血性丘疹や紅蛍をもっ比較的大きな膿疱が集族性または播種性に出現した.全身状態は良好で抗生物質にて治癒し,その後も再発をみない.2例とも病理組織学的に角層下膿疱や表皮内膿疱と真皮の leukocytoclasticvasculitis の像,蛍光抗体法で血管壁に lgA の沈着を認めた. acute generalized pustularbacterid および Schonlein-Henoch 紫斑病の関連性を示唆する症例と考え報告した.
  • 森嶋 隆文, 深田 栄俊, 長島 典安
    1983 年 93 巻 1 号 p. 51-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    Amelanotic Malignant Melanoma の転移巣4検体を蛍光法 (Falck & Hillarp) にて観察したところ,いずれの検体でも緑色特異蛍光を発する腫瘍細胞の存在を確認しえた.また病巣中の 5-S-Cysteinyldopa ・DOPA を測定したところ,DOPA は検出しえず, 5-S・Cysteinyldopa 含有量の平均値は MelanoticMelanomaのそれに比して低値であったが,色素細胞母斑病巣中の値とほぼ同程度であった.この成績は,前述の腫瘍細胞によって発せられる特異蛍光の起因物質が 5・S-Cysteinyldopa の存在によることを示唆する.以上の結果から,蛍光法及び病巣中の 5-Scysteinyldopa の測定は,ときに診断が困難な Amelanotic Melanoma の確定診断に有用な方法であると考えられた.
  • 1983 年 93 巻 1 号 p. 55-
    発行日: 1983年
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル 認証あり
    第 VIII 因子関連抗原 factor Vlll-related antigen (FVIII-R : AG) を血管内皮細胞のマーカーとして,各種脈管系腫瘍のパラフィン切片について非標識酵素抗体法 unlabeled peroxidase-antiperoxidase method (PAP法),一部には蛍光抗体間接法により検索を行った.その結果, FVIII-R : AG は,正常および血管の炎症性,腫瘍性の増殖のいかんに係わらずそこに存在する毛細血管および血管の内皮細胞内に認められる.一方,リンパ管内皮細胞にはその局在は認められない.また,血管内皮細胞の増殖の起こる疾患ないしは腫瘍においては,内皮細胞の未熟度,悪性度につれて染色性は減弱または陰性化するが,悪性血管内皮細胞腫や血管肉腫において乱すべての腫瘍細胞が陰性化するわけではない.従って, FVIII-R : AG の局在を調べることにより,血管内皮細胞由来の腫瘍の診断に使用しうるものと思われる.
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