日本皮膚科学会雑誌
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82 巻, 5 号
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  • 佐藤 昭彦
    1972 年 82 巻 5 号 p. 287-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    4症例の典型的頑癬病巣より1個の丘疹と3個の膿疱性丘疹とを採取し,表皮の微細構造を観察して次の所見を得た.角化細胞の変化は特異性のない退行性変化であり,その程度には細胞の一部に起る微小変化から細胞全体の崩壊に至る迄の差異がみられ,また表皮各層によっても変化に強弱の差があり,特に下層及び中層の有棘細胞に最も強い変化が認められた.細胞内浮腫は二型あって,一つは細胞質基質の瀰漫性電子密度低下であり,他の型は多数の空胞と小胞の出現である.細胞間浮腫は細胞内浮腫と同時にみられた.表皮内遊走細胞は主に好中球で,これが崩壊した角化細胞の破片を活発に貪食する像が観察された.表皮上層の有棘細胞に特異変化としてCytolysomeがみられ,また多数のMembrane Coating Granule(MCG)が認められた.角質層にケラチンパターンを示す角質細胞とそれを示さない異常角質細胞の両者が認められた.後者の直下の顆粒細胞には少数の小型で円形のケラトヒアリン顆粒が存在した.白癬菌は菌糸と分節胞子が正常角質の部位に存在したが,異常角質や顆粒細胞層以下には発見されなかった.寄生状態の菌糸と分節胞子の微細構造を明らかにした.メラノサイトには周囲の角化細胞と同様な退行性変化がみられ,メラニン生成障害とメラノソーム伝達障害が推測された.ランゲルハンス細胞にも退行性変化がみられたが,貪食作用は認められなかった.
  • 山田 瑞穂, 大阪 節子
    1972 年 82 巻 5 号 p. 307-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    49才男子の臀部に20年余出没していた慢性膿皮症に扁平上皮癌を続発し,鼡蹊リンパ節転移もあり,プレオマイシン注射(300mg),60Co照射(13,000R)を行なったが死の転帰をとった.組織学的に表皮は正常で,真皮内に形成された嚢腫,瘻孔上皮に角化傾向の強い扁平上皮癌が認められた.臀部~仙骨部~肛門周囲に生ずる難治性化膿性病変はpilonidal cyst(sinus),pyodermia chronica abscedens et suffodiensなどと呼ばれるが,この長期間存在する慢性炎症性病変が一種の癌前駆症となったものと思われ,特に真皮内に縦横に形成された瘻孔上皮が癌化したと考えられる.
  • 1972 年 82 巻 5 号 p. 313-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
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