日本皮膚科学会雑誌
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91 巻, 2 号
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  • 宮川 幸子, 祝 美智子, 坂本 邦樹
    1981 年 91 巻 2 号 p. 101-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    自己免疫性水疱症患者の血清についてポリエチレングリコール法(以下PEG-test)および Clq・binding test により血中 Immune complex の定量を行なった.その結果,① 天疱唐症例ではPEG・testによる測定で7/12症例に正常人と比較して有意差のある Immunecomplex の増加が認められ, Clq-binding test でも3/9症例に陽性所見を得た. PEG-testとClq-binding test を同時に施行した検体についての陽性所見は必ずしも一致しなかった.経時的にPEG-testにより Immunecomplex の定量を行なった症例では Immune complex の量は未治療時に高値を示すものが多く,ステロイド内服に反応して減少すること,および皮疹再燃に先行して増量することが示された.天疱瘡抗体価との明らかな相関は認められなかった.② 水疱性類天疱瘡ではPEGtest で1/18症例に Clq-binding test で1/8症例に陽性所見を得た.妊娠性疱疹3例については前者は正常値,後者は1/3症例にのみ陽性所見が得られた
  • 進藤 泰子, 御子柴 甫, 小宮 一郎
    1981 年 91 巻 2 号 p. 107-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    多発神経炎および内分泌症状を伴う plasma celldyscrasia と思われる36歳女性例を報告した.自験例を含む本邦報告54例について皮疹を中心に検討した.皮膚の色素沈着は54例中51例にあり特徴の一つであった.発生機序として従来いわれてきた acanthosis nigricans は否定したい.自験例ではACTH が高値であり,色素沈着はそのためとも考えられるが,多くの例ではその測定は行われておらず確証は得られない.その他,剛毛,血管腫,扁平丘疹,皮膚硬化について若干考察した.また,内分泌異常では,1.耐糖能の低下か70%にみられた.2.尿エストロゲンは男性では高値で,女性ではむしろ低値であり興味深い.今後は脳下垂体からホルモン受容器までの一連の検索によりさらに明らかにされると思われる.
  • 樋口 道生, 滝内 石夫, 根木 信
    1981 年 91 巻 2 号 p. 119-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    Microsporum canis より Keratinase を分離,精製し,人足蹠の表皮細胞ならびに Keratin fiber と反応させた. Keratinase は皮膚の Cryostat 切片に対しては極めて短時間に全ての有棘細胞を消化し,角質細胞も細胞膜を残し細胞質を消化した.皮膚の Block と反応させた結果も Cryostat 標本におけると略同様の結果であった. Keratin fiber との反応でも反応液中にアミノ酸が可溶化され,反応後の沈渣澄についても SDS 電気泳動上 Keratin fiber を構成する6本のバンドの内5本が消化されていた以上の結果より Keratinase は Keratinfiber そのものを消化することか明らかとなった.
  • 三原 一郎, 上出 良一, 石氏 道夫, 高坂 和子, 笹川 正二
    1981 年 91 巻 2 号 p. 127-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    今回我々は臨床的に局所多毛症である症例において,病理組織学的に立毛筋の増生がみられた2例を経験した.これら症例は池田らのいう “Naevus LeiomyomatOsus” に合致する症例と考えられた.しかし本邦報告例および自験例を検討してみると,その本態は立毛筋の束状増生を主体とするに斑であり,その意味で “NaevusLeiomyomatosus” とするより「立毛筋母斑」(arrectorpili nevus)とした方がより明確にその性格を表わし得ると考えた.
  • 野原 正, 鈴木 啓之, 森岡 貞雄
    1981 年 91 巻 2 号 p. 133-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    光顕的に汗管腫と診断した40例のうち33例(83%)にヘマトキシリン好性顆粒を認め,1例では大型のエオジン好性顆粒を認めた.3例を電顕的に検索したところ,全例に1重の膜につつまれ内部にミエリン様構造を有する穎粒(A顆粒)を認め,1例では膜のない均質高電子密度穎(B顆粒)を認めた.A顆粒には巨大顆粒も認めるところからエオジン好性顆粒に一致すると考えた.A顆粒はヒト胎児表皮内汗管の multivesicular densebody に類似し,ライソゾームと考えられる.B顆粒はケラトヒアリンと考えられ,光顕上のヘマトキシリン好性顆粒に一致すると思われる.B顆粒は胎児表皮内汗管の2種の電子密度滴からなる球状ケラトヒアリン顆粒に似たものが多い.これらの所見は汗管腫が表皮エクリン汗管から発生したか,表皮内エクリン汗管への分化を示している証拠と考えた.
  • 石井 則久, 池澤 善郎, 永井 隆吉, 奥田 研爾
    1981 年 91 巻 2 号 p. 143-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    A/Sn と BALB/c マウスを用いた DNFB(2.4―dinitrol-fluorobenzene)の接触過敏症において, DNP-LC (2.4-dinitrophenyl-modifiedlymphoid cell)によって誘導される syninduced suppressorcell の膜表面の性質について transfer の系を用いて検討した. Suppressor cell を種々の抗血清(抗 Thy-1.2, 抗 I-J,抗 Lyt-1.2, 抗 Lyt-2.2)処理後 recipient マウスに transfer を行うと,抗 Thy-1.2, 抗 I-J. 抗 Lyt-2.2 血清処理によって抑制は消失したが,抗 Lyt-1.2血清処理では抑制は除かれなかった.これらより,この suppressor cell は I-J+ Lyt-1- 2+ 3+ の T 細胞であることがわかった.またこの suppressor cell は nylon wool に付着性であり, Fc receptor をもっておらず,さらに DNP-membrane binding receptor をもっていることもわかった.
  • 安江 隆
    1981 年 91 巻 2 号 p. 149-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    アナフィラキシー様紫斑病(AP)患者の皮膚および紫斑病性腎炎(APN)患者の腎につき,蛍光抗体法による検索を行った.活動期の AP 患者では,その皮疹部 (新鮮紫斑部)の真皮上層の小血管壁における顆粒状の lgA の沈着か21例全例で認められたのみでなく,AP の好発部位である下腿仲側の無疹部においても同様の IgA の沈着が認められ,前者21例中の16例(76.2%)と,後者6例中の6例(83.3%)では,同様の染色パターンを示す C3 の沈着も証明された.一方,5例の活動期の APN 患者では,その腎糸球体のタサソギウムにおける主として穎粒状をなす lgA の沈着が全例で認められ,うち3例(60.0%)がC3 の沈着を伴ってい仁なお,検索を行った3例中の2例で,腎糸球体の lgA の沈着部位に一致して S 成分の局在が証明されたことが注目された. AP の皮疹を伴っていた APN の2例では,皮疹部の小血管壁における穎粒状の lgA や C3 の沈着も証明された.一方,皮疹の発生がみられなくなり, APN のみが活動性であった5例では,下腿仲側の無疹部における lgA や C3 の沈着も1例を除いては認められなかった. IgM の AP の皮疹部小血管壁への沈着が21例中7例(33.3%)で,また, IgG と lgM の APN の腎糸球体メサソギウムヘの沈着がそれぞれ5例中1例で認められたが,モの沈着の程度は lgA に比し軽度でClq の皮膚や腎への沈着もまれであった.また AP や APN では,血清 lgA 値の上昇が認められることが多かったが,血清 lgG 値や C4 値の異常が証明されることはまれであった.すなわち今回の検索で,AP や APN の診断や予後の判定に際し,蛍光抗体法が極めて有力な武器になりうること,および,AP や APN の病変が,皮膚小血管壁や腎糸球体のメサンギウムに沈着した IgA immunecomplex による alternative pathway を介しての補体の活性化によって惹起されるであろうことを強く示唆する所見がえられた.
  • 橋本 公二, 西岡 清, 白倉 良太, 松山 正経, 宮島 哲也
    1981 年 91 巻 2 号 p. 155-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    尋常性天疱瘡患者20名,落葉性天疱瘡患者17名について, HLA-DR 抗原を検索した所, DRW4 の有無の増加が認められた.我々は,尋常性及び落葉性天庖痕において HLA-A10 が有意に増加している事を報告した1).今回,B 細胞に特異的な HLA 抗原として知られる HLA-DR 抗原を両疾患について検索し,興味ある結果を得たので報告する.
  • 1981 年 91 巻 2 号 p. 157-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
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