日本皮膚科学会雑誌
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78 巻 , 1 号
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  • 大橋 勝
    1968 年 78 巻 1 号 p. 1-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    エリテマトーデスの研究は,LE細胞の発見以来,その臨床的な疾患特異性のため血清学を中心として多くの仕事が行なわれ,自己の細胞核への抗体形成という自己免疫機構の存在も考えられるに至つている.しかしながら,もつとも古くから本疾患の特徴として知られている皮膚所見も本症の発見以来詳細をきわめ,種々の亜型も又記載されて,統一的理解をさまたげるほどである.本症の原発疹と呼ばれている皮疹は米粒大以上の滲出性紅斑でありこの紅斑の融合により形成される局面が顔面に認められるとき,よく知られたErythema perstans facieとなる.即ち原発疹の肉眼的所見では滲出性機転の強い血管拡張として理解される訳である.この際の組織学的所見では最も早期にかつ高率に見られるのは真皮上層の毛細血管の拡張と腫脹であり,この変化は「専ら滲出性退行性病変であつて,殆んど増殖性変化を欠如せる点」が注目されている.かかる真皮上層の病変がより深い血管病変に由来するものではなく,むしろ真皮中,下層の変化は軽度である.真皮上層の小血管の器質的変化を記載した他の方法による研究も数多く,a)トルイジンブルーによるメタクロマジー,PAS染色 b)皮膚顕微鏡による観察,c)アルカリフォスファターゼ染色による毛細血管像等が報告されている.トルイジンブルー,PAS染色ではFibri-noid変性が注目されて以来,Fibrinoidは皮膚では見られることは少ないが,真皮上層の毛細管壁にはトルイジンブルーによるメタクロマジー陽性,PAS陽性物質の沈着が認められ,これは中,下層では少ないことが報告されている.b)では毛細管の数が減少し,管腔は拡張,血流は遅延し,この変化は高度の皮疹のある部では強く,軽快すると軽くなるがこれらの変化がまつたく正常になることはまれで一部に病変をのこしている.増殖性の変化はほとんど認められていない.この皮膚顕微鏡による所見が次にのべるアルカリフォスファターゼ染色による毛細管像とよく一致することも記載されている.c)では毛細管の不規則な走行と不規則な染色性が特微であり,この変化は極だつており,他の疾患とは明らかに区別出来る.しかもこの方法の利点は,他の方法によるよりもその病変をあざやかに見ることが出来ることである.以上のごとくエリテマトーデスの原発疹である滲出性紅斑は組織学的レベルでの研究では真皮上層小血管のきわだつた滲出性退行性変化として認められるのである.この滲出性紅斑とは別にエリテマトーデスの皮膚所見のうちで特徴を有しているのは円板状皮疹で皮膚科学的立場からではむしろエリテマトーデスの特徴と云えるものである.この皮疹は慢性円板状エリテマトーデスに出現するのみでなく,急性又は亜急性エリテマトーデスで見られる播種状の滲出性紅斑が病状の寛解と共に播種状円板皮疹の形態をとつてくることも又よく知られている.かかる際の組織学的所見では,真皮上層の小血管は滲出性紅斑部と同様に拡張及び溢血の所見が認められる.即ち周囲に強く認められる細胞浸潤を除くとその血管像は滲出性紅斑部のそれと同一と考えられるのである.このことは他の方法,皮膚顕微鏡及びアルカリフォスファターゼ染色による血管像でも認められて滲出性紅斑部と円板状皮疹部との質的差異はないものと考えられる.上記のような滲出性紅斑と円板状皮疹とを両極として展開される皮膚病変とLE細胞を中心として理解され
  • 石川 陽吉
    1968 年 78 巻 1 号 p. 14-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    生体内のプラスミン活性(線維素溶解酵素活性,略して線溶活性)の作用に因ると考えられる現象は,すでに18世紀後半Morgagni(イタリア)によつて認められ,すなわち急死者の血液が凝固せず,流動性を保つていたことを報告し,次いで30年後にはJohn Hunter(イギリス)も同様の現象を報告した.更に1856年Vir-chowは病理学的に血漿内にフィブリンの前駆物質としてのフィブリノーゲンの存在を想定した.19世紀末にはGreen及びDastreがウシ及びイヌについて実験し,一度凝固した血液が再び溶解する現象をfibrinolyseと名づけ,この現象が特有な酵素によるものであることを証明せんとした.Jakoby(1900)はリン中毒のイヌの血液中にフィブリノーゲンが殆んど証明されないことより,血液凝固とフィブリノーゲンとを結びつけて考え,NoIf(1908)はペプトンショックにおいて,フィブリノーゲンを分解する物質はトリプシンやペプシンに類似した蛋白分解酵素であると考えた.又Tillet,Gar-ner(1933)は患者から分離したβ溶連菌の培養濾液の中にヒト血漿のフィブリンを急速に溶解する物質を発見,後にMilstone(1941)はヒト血液より分離したフィブリンにこの物質を作用させるも,この物質単独の力ではフィブリンを溶解せず,これにヒトグロブリンを加えることにより,はじめて溶解することを認め,この物質をストレプトキナーゼ(以下SKと略す)と唱えた.更に近年に至り,アナフィラキシーショック,ペプトンショック,アルサス現象等において,血漿プラスミン活性値の上昇が認められ,又臨床的にも血漿プラスミン活性に関する多数の報告がある.即ち,内科領域においてはGirand(1954)が骨髄性白血病において線溶系の亢進を認めてより,更にこれにフィブリノーゲンの減少を伴なうものとして、長谷川(1957)は再生不良性貧血において,Tagnon(1953),Zeh(1954)は転移を伴なつた前立腺癌,McKay(1953),Schulz(1954),Cohen(1958)は膵癌,胃癌や気管枝癌に認めている.又肝疾患においてもKwaan(1956)は肝硬変症において,内田(1958)はMcFarlane―畔柳法によつて急性及び慢性肝炎の場合,臨床症状に平行して上昇するとし,松岡(1965)はeuglobulin法,田胡(1964)はEACA滴定法,長
  • 丸田 宏幸
    1968 年 78 巻 1 号 p. 29-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    単純疱疹ウイルス(以下HSVと略す)によつて起る疾患としては,単鈍疱疹(口唇疱疹,熱性疱疹,陰部疱疹),ヘルペス性歯肉口内炎,ヘルペス性角結膜炎,カポシ痘瘡様発疹,脳脊髄膜炎,全身感染症がある.とくに単純庖疹は他のウイルス性疾患と異なり,発熱,太陽光線などへの露出,精神的ストレスなどの因子によつて再発をくりかえす点で特徴的な地位をしめているわけである.HSV研究の歴史は1919年Lowensteinが人のヘルペス性角膜炎および単純疱疹の水疱内容液を家兎の角膜に接種して,特有の変化をおこさせたことにはじまる.このHSVは自然宿主としての人のほか,マウス,家兎,モルモット,ラット,ハムスターなどに容易に感染をおこすほか,孵化鶏卵CAMできわめてよく発育する.組織培養細胞でも,株化した細胞(FL,HeLa,KB)にも,初代培養細胞(家兎腎細胞,猿腎細胞)にもよく増殖することが知られている.初代あるいは2代目の猿腎細胞はエンテロウイルスの分離にはかかすことの出来ない細胞であるが,猿固有のシミアンウイルスの汚染の危険性がつねに存在している.この不便さをのぞくために,1962年Hullらが赤毛猿(rhesus monkey)の腎細胞,Hoppsらがミドリ猿(grivet monkey)の腎細胞の株化に成功した.1964年SchmidtらはHoppsらが確立したアフリカミドリ猿腎継代細胞であるBS-C-1株は,エンテロウイルス,その他のウイルスにたいして高い感受性をしめし,初代培養細胞に十分かえうることを証明した.また,この細胞は他の人由来の細胞にくらべ,細胞が単一性で,無血清培地中でも,10日以上維持することが出来るという特性をもつている.そこで,われわれはこのミドリ猿腎臓由来のGMC細胞を利用して,口唇庖疹患者からウイルスを分離し,さらに分離しえた1株をもちいて,福岡県下正常人血清を対象として中和抗体の分布状態を検索した.また,標準株(HF株)を使用して,GMC細胞中の増殖の過程を増殖曲線と対比して,光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡所見とにより観察したのでそれらの結果についてのべる.
  • 三宅 伊予子
    1968 年 78 巻 1 号 p. 48-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    118例の水疱性,ヴィールス性ならびに腫瘍性疾患につき塗抹標本による細胞所見および組織標本所見の診断的価値を比較研究し,以下の如き結論を得た.塗抹標本は組織標本に取つて換り得るものではないが,天疱瘡,ヴィールス性疾患,腫瘍性疾患およびマストサイトージスには組織標本と同等の診断的価値がある.塗沫標本はただ単に速時診断に役立つのみならず,病的細胞を組織標本よりも拡大された形で見ることが出来る利点がある.他の皮膚疾患においては塗沫所見は上記疾患程の価値はない.しかし生検結果の出る前に何らかのヒントを与え得る場合が多く,また生検採取を肯じない症例には有用な診断資料を供するものとおもわれる.
  • Robert R. Kierland, M.D.
    1968 年 78 巻 1 号 p. 49-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    紅斑,蕁麻疹,多形滲出性紅斑,結節性紅斑はそれ自体「診断名」としてとりあつかわれるが,「徴候」と考えた方がよい.
  • Robert R. Kierland, M.D.
    1968 年 78 巻 1 号 p. 50-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    本症は糖脂質代謝の先天的異常に因る疾患で,血管運動神経の不安定,四肢末梢の知覚異常と疼痛,無汗症,腹部症状,循環系・腎臓・神経障害,特有な眼及び皮膚症状を特徴とし,進行性で4,50才代で尿毒症で死亡する.
  • Robert R. Kierland, M.D.
    1968 年 78 巻 1 号 p. 51-
    発行日: 1968年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル 認証あり
    カルチノイドはargentaffin cellより生じ,皮膚以外に心臓,肺,消化管が侵される.心臓では右側が侵され,三尖弁閉鎖不全と肺動脈弁狭窄を生じ,心不全を惹起し,肺では喘息様呼吸困難が生じ,胃腸では水様下痢,間歇性腹痛などを認める.
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