日本皮膚科学会雑誌
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92 巻, 13 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 1982 年 92 巻 13 号 p. 1357-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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  • 田上 八郎, 吉国 好道, 井上 邦雄, 山田 瑞穂, 岩瀬 優子
    1982 年 92 巻 13 号 p. 1363-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    皮膚のなめらかさやしなやかさを左右する大きな要因となるのは皮表の角層に含まれる水分の量である.生体において皮表角層の性状を機能的に解析することはこれまでほとんどおこないえなかった.先に開発した高周波を用いた皮表角層水分合有量測定法を使って,約2分間で角層の水分含有量,吸水性,水分保持能という機能的パラメーターを測定できる角層水負荷試験を考案し,実際に正常皮膚,鱗屑性病変,外用剤塗布部位の角層の水分保持機能を解析した応用例を述べ,かつ,その有用性を論じた.鱗屑性病変においては重症度に比例し,各パラメーターの低下を認めた.外用剤塗布はその性質に対応して,これら機能的パラメーターの変化をひきおこした.
  • 大井 綱郎, 加藤 武男, 河島 岳史, 中野 優, 外野 正巳
    1982 年 92 巻 13 号 p. 1369-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    成人T細胞白血病(ATL)と診断り日療中に,全身に紅斑・丘疹及び結節が経時的に出現した症例で,これら各病巣について光顕的・電顕的に検討したので,観察結果を報告した. 1.紅斑部では血管周囲に異型単核細胞浸潤が認められ,丘疹・結節になるに従いその程度が著しくなり,塊状からび慢性の浸潤性増殖を示した.しかし,いずれの病巣でも表皮侵襲は認められなかった. 2.病巣部主要構成細胞は,紅斑・丘疹及び結節部分共に異型単核細胞が主体を占めるが,病変の程度が強くなる程大型単核細胞が多く出現L,結節性病巣では2核ないし多核の巨細胞が比較的多数認められた. 3. 病巣部異型細胞のうち小型単核細胞は,末梢血中異型細胞と類似していた. 4.病巣内にみられる多様な単核細胞から多核巨細胞には,微細構造上移行ないし類似性を示唆する所見が得られ,これらは同系統の細胞と考えられた.
  • 馬場 徹, 河野 一郎, 矢尾板 英夫
    1982 年 92 巻 13 号 p. 1379-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    Chilblain Lupus の2例について,その血清学的変化を経時的に検索した.血清中の IgG , IgM , IgA 量は,冬季においても,いずれもほぼ正常域内にあったが,lgM 量は2例ともに冬季に増加する傾向がある事が窺われた.又,2例ともに,時に血清中に speckled 型の抗核抗体が認められた.しかるに,この抗核抗体は,染色パターン,抗体価ともに,皮疹の消長との関連を思わせる様な変動は示さなかった.2例の血清は,時にラテックス凝集反応の陽性所見をも呈し,血清中でのリウマチ因子の存在が示唆された.しかるに,特に冬季に,リウマチ因子が血清中に出現するといった傾向は認められなかった Sephadex G-200カラム及び抗ヒト lgM 血清を用いたウクテロニー法にて,このリウマチ因子は,lgM 分画に属する事が示唆された. 2例の冬季の血漿の粘度及び降伏ずり応力について検索した結果,37°Cでの測定では血漿粘度,降伏ずり応力は2例ともに正常域内にあった.しかるに,20°Cの測定では,1例が血漿粘度及び降伏ずり応力の上昇を呈した.
  • 斎田 俊明
    1982 年 92 巻 13 号 p. 1389-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    強力な遅延型皮膚アレルギー反応惹起力を有する tuberculin-activeproteirv(KT) を2種類の可移植性 mousemelanoma (mm) の腫瘍内へ局注して,その腫瘍の増大にご及ぼす影響を検討した.あらかじめ結核菌で感作した C57BL/6 マウスの皮下に B16mm を移植し,略大豆大に増殖した時点から1回量 100ng の KT を3~3日間隔で計10回,腫瘍内へ局注したところ B16mm の増大が有意に抑制され,4匹中2匹では腫瘍が完全に消失した.同様の実験を ddマウス-Harding-Passey mm の系においても実施し,1回量40ngの KT を計5回局注したところ,腫瘍増大の抑制傾向がうかがわれたが,統計的に有意差は認められなかった 結核菌感作マウスの mm に KT を局注した後の組織像では,腫瘍細胞の変性像と胞巣内外の浮腫および好中球・リンパ球の浸潤がみられた.この KT 局注による mm の退縮機序について検討を加え,局所でのツベルクリン反応(遅延型アレルギー反応)に腫瘍細胞が巻き込まれて傷害される免疫学的に非特異的な作用が,その主体であろうと考えた.
  • 斎田 俊明
    1982 年 92 巻 13 号 p. 1399-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    7例の悪性黒色腫(M)患者の皮膚転移巣に tuberculin-activeprotein(KT) を局注し,これによる影響を臨床的,組織学的に検討した.KT の1回可局注量は 15~500ng とし,週に1~2回の間隔で同一転移巣へ平均3~4回局注をくり返した.7症例の計106個の皮膚転移巣に KT を局注し,該転移巣が臨床的または組織学的に完全に消梗したものが63個(59%),完全消梗には至らなかったものか24個(23%),局注後早期に生検したため等の理由で判定保留としたものが19個(18%)という結果を得た.判定可能の転移巣数に対する完全消梗転移巣数の割合を症例別にみると,症例1が81%(13/16),症例2が9%(I/II),症例3か100% (43/43), 症例4が50% 1/2, 症例5が50%(2/4), 症例6が20% (2/10), 症例7が100%(1/1)と,症例により差が認められた.同一症例でも時期により,KT 局注に対する反応には変動がみられた.なお,KT 局汪実施期間中に,症例1では非局注転移巣が自然消腿し,症例5では白斑が多発して注目された. KT 局注による組織学的変化は下記の如くであった.まず局注数時間後に浮腫と血管拡張を伴って好中球を主とする浸潤がみられ,2~3日後になるとリンパ球の浸潤が目立つようになる.次いで腫瘍細胞の変性が始まり,組織球・melanophage が出現してくる.腫瘍細胞の変性・消失後には線維芽細胞が増殖し,後には軽い線維化巣が残る. なお,転移巣が KT 局注によく反応した症例においても,はっきりとした延命効果は確認しえなかった.副作用は大量局注時に中等度の熱発がみられたのみで,他に特別なことはなかった. KT 局注による転移巣消祖の機序は,強いツベルクリン反応(遅延型アレルギー反応)に,腫瘍細胞か巻き込まれて傷害される非特異的な作用が主体であろうと推測された.
  • 小澤 明, 山口 昇, 早川 浩太郎, 松尾 聿郎, 新妻 寛, 大城戸 宗男
    1982 年 92 巻 13 号 p. 1415-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    キチマダニ(Haemaphysalis flova)雌成虫による人体咬着の1例を報告した.本症例は,本邦におけるキチマダニによる人体咬着の臨床報告例としては,最初のものである.同虫は,虫体ごと切除した皮膚片より,24時間後に自発的に離脱した.このことは,キチマダニが,野兎病媒介動物として,人に咬着し,吸血しうること,さらに,野兎病菌を野兎から人へ機械的に伝播する可能性をも示唆するものである.本症例では,左頚部表在性リンパ節腫脹が認められたが,野兎病血清凝集反応は陰性で,予後は良好であった. 本邦における過去のマダニ類人体刺咬例を概観し,モれらと本症例とを比較するとともに,キチマダニ人体咬着による病理組織学的所見,とくに,マダニ類人体刺咬による野兎病伝播の可能性,および,マダニ類人体刺咬例の診療上,虫体同定上の留意点について若干の考察を加えた.
  • 小林 勝, 狩野 葉子, 守屋 則子, 土屋 恵子, 塩原 哲夫, 長島 正治
    1982 年 92 巻 13 号 p. 1423-
    発行日: 1982年
    公開日: 2014/08/21
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    近年 ATPase 染色を用いた表皮ランゲルハンス細胞 (以下L細胞)の動態に関する報告か多くみられる.われわれは ATPase 染色に加えて,la 抗原を指標として L 細胞のマウス身体各部での分布密度および TNCB 感作による分布変動について比較検討を行った. C3H/He マウス身体各部での L 細胞の分布密度は,足蹠が最も多く,尾が最も少なかった. 7 % TNCB 接触感作による足蹠の L 細胞の経時的変動は ATPase 染色では感作4時間後に最低となった.一方,la 陽性細胞は感作24時間後に最低となったが ATPase に比べて数の変動は少なかった.尾では足蹠と異なり7% TNCB 塗布により la 陽性細胞は著明に減少し,48時間後にはほとんど観察されなくなった.このような足蹠と尾における TNCB 感作後のL細胞の動態の差が,尾塗布により感作が成立せずにトレランスが誘導される機序を説明するものではないかと考えた.
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