日本皮膚科学会雑誌
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101 巻, 7 号
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  • 上村 知子
    1991 年 101 巻 7 号 p. 689-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    92例の伝染性軟属腫患者より得られた検体から全DNAを抽出し,制限酵素BamHI処理後アガロースゲルにて電気泳動を行ったところ,4種の異なったウイルスDNA切断パターンがみられ,そのパターンからMCV-1,2,3,4と判定した.その検出頻度はそれぞれ69%,4%,25%,2%であった.小児例の殆どとすべての成人女性例はMCV-1,3のいずれかの感染がみられた.その臨床像は典型的で,両者の間に差を認めなかった.MCV-2は4例(小児3例,成人1例)と頻度は少なかったが,その臨床像はMCV-1,3と特に差異を認めなかった.MCV-4は2例の成人男性例(うち1例は免疫抑制患者)のみに検出され,臨床像も個疹が大きく特異であった.8組の同胞例では6組に同一のMCVタイプ,2組に異なったタイプが検出された.2組の同一保育園例では双方とも同一のタイプが検出された.同一のプールに通っていた例2組では,どちらもMCVタイプは一致しなかった.
  • 豊島 弘行, 堀 真, 吉田 彦太郎
    1991 年 101 巻 7 号 p. 697-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    加齢に伴う表皮細胞のDNAレベルでの変化を調べるため,若齢モルモットおよび老齢モルモットの表皮基底細胞のDNA合成能を比較・検討した.すなわち,percollを用いた密度勾配遠沈法により,モルモット基底細胞を取出した.それらの細胞に顕微蛍光側光を施行し,DNAヒストグラムを作製して,DNA合成能を算出した.その結果,若齢モルモットと老齢モルモットのDNA合成能に差はみられなかった.常にturn overを繰返す,renewing cell populationに属する表皮細胞は加齢に伴う変化を受け難いものと思われる.
  • 橋本 喜夫, 松尾 忍, 飯塚 一
    1991 年 101 巻 7 号 p. 701-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    当科で手術治療したケラトアカントーマ(KA)7例と有棘細胞癌(SCC)7例について,それらのパラフィンブロックから作製した試料を用いて,Flow cytometry(FCM)により核DNA量の解析を行った.%>4SD(G0G1ピークの4SD以上の細胞の割合)で示される増殖指数はKAが7例中6例は20%以下であるのに対して,SCCは7例中6例が25%以上であった.DNA aneuploidyはSCCの1例にのみ認められた.これらの結果から,FCMによる核DNA量の解析はKAとSCCの鑑別の補助診断のひとつになりうると考えられた.
  • 藤山 純一
    1991 年 101 巻 7 号 p. 707-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    成人皮膚の表皮内エックリン汗管の超微細構造を透過型電顕を用いて観察した.エックリン汗管稜や有棘層の各層において表皮内汗管を構成する内層細胞に細胞内管腔が認められた.汗管稜では,数個の内層細胞に生じた細胞内管腔が融合することにより細胞間管腔が形成され,これらが互いに融合して表皮内汗管腔が形成されていた.また,有棘層においては,表皮内汗管腔の近くに存在する小さな細胞内管腔が,すでに形成されている表皮内汗管腔と融合し管腔径を増大させると同時に,細胞内管腔の分泌物が表皮内汗管腔に放出されていた.この結果から,表皮内エックリン汗管の内層細胞に認められた細胞内管腔は,エックリン汗管稜においては表皮内汗管の再構築に,その他の部分においては汗管径の調節ならびに分泌機能に関与していることが示唆された.また,表皮内エックリン汗管の内層細胞に特異的に存在し,胎生期には細胞内管腔の形成に関与しているとされるmultivesicular dense bodyは,成人皮膚においては細胞内管腔の形成よりも,汗管内に崩壊脱落した細胞断片の処理や汗管口からの外来物質の処理に関与していることが示唆された.
  • 高野 晃, 鈴木 裕介, 浅井 俊弥, 増澤 幹男, 西山 茂夫
    1991 年 101 巻 7 号 p. 719-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    83歳女性.1987年1月,前頭部に結節を有しない斑状の紅色局面が出現した.臨床・組織像より悪性血管内皮細胞腫(malignant hemangioendothelioma,MHE)と確認後,recombinant interleukin-2(rIL-2)を総量9.6×106国内標準単位(JRU)局注した結果,2年9ヵ月に渡って完全寛解を保っていた.今回は本年2月6日になり後頭部に浸潤を触れる紅斑局面が出現し7日間で14.8×11.0cm大の局面にまで急速に拡大した.臨床・組織学的にMHEの再発を確認した後,rIL-2の後頭動脈からの動注を試みたが失敗,両側浅側頭動脈から1日80万JRU,15日間,総量1.2×107JRUの持続動注及び局注(12日間,総量1.9×107JRU)の併用を施行した.持続動注を開始して7日目から浸潤,紅斑ともに消退傾向であったが,組織学的には真皮深層に腫瘍細胞が残存していた.しかし,24日目には紅斑は完全に消失し,組織学的にも腫瘍細胞は全く認められなくなった.副作用は動注開始7日目より熱発,消化器症状,肝障害,末血好酸球増多が認められたが,動注中止により速やかに消退し始め,2週間後には全てが正常範囲に戻った.以後無治療で現在まで8ヵ月間経過観察中であるが局所再発,転移は全く認められていない.本症例におけるrIL-2動注法の特徴は,再発例にもrIL-2単独療法で著効を示したこと,病巣の栄養血管以外の動脈からの注入で著効を示したことである.以上より,本療法はMHEの初発例のみならず再発例にも単独で第一に試みるべき療法と考える.
  • 佐々木 哲雄, 小野 秀貴, 中嶋 弘, 亀田 洋
    1991 年 101 巻 7 号 p. 727-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    家系内で初発のneurilemmomatosisの男性例と,neurilemmomatosisの父・息子例の計3例を報告した.第1例は15歳時から多発する皮膚腫瘍を,19歳時から両側の聴神経腫瘍による神経症状を自覚し,22歳時に初診した.色素斑はみられず,切除した6個の皮膚腫瘍と,聴神経腫瘍,脊髄腫瘍はいずれも組織学的に典型的なneurilemmomaであった.24歳の現在まで,残存する皮膚および脳・脊髄腫瘍は緩徐ながら増大してきている.第2例は21歳時に皮膚腫瘍を自覚し,25歳頃から増数,増大を認め,35歳時に聴神経腫瘍の症状を自覚した.36歳の初診時,皮膚腫瘍は20数個に達していたが,色素斑はみられなかった.皮膚,両側聴神経腫瘍の組織はいずれもneurilemmomaであった.脳外科での術後3週で死亡した.第2例の唯一の子である第3例は出生時から背部に数個小腫瘍を認めたが,5歳の初診時にも色素斑はみられなかった.皮膚腫瘍の組織はneurilemmomaであった.上記3例はいずれも神経線維腫と色素斑を欠き,前2例は皮膚,脳・脊髄に多発するneurilemmomaを認め,neurilemmomatosisの典型例であった.本症の報告例の多くは遺伝関係を認めていないが,第3例は本症の母斑症としての性格を支持するものと思われ,neurofibromatosisとは異なる本症を特徴付ける遺伝子異常が示唆される.
  • 穴口 享, 四宮 茂, 木根淵 承一, 熊切 正信
    1991 年 101 巻 7 号 p. 735-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    症例1:20歳,男子,陰嚢の結節.症例2:14歳,女子.鼻翼部の半球状赤褐色小腫瘤.症例3:30歳,男子.前腕の半球状赤褐色小腫瘤.病理組織所見:3例とも胞体が好酸性で,均質,すりガラス状の多核巨細胞が多数浸潤している.PAS反応は巨細胞に一致して陽性で,ジアスターゼで消化されない.酵素抗体法でリゾチームは多核巨細胞に陽性で,S-100蛋白は陰性であった.reticulohistiocytic granuloma(RG)と類似した疾患であるmulticentric reticulohistiocytosis(MR)と成人型xanthogranuloma(AX)との異同を明らかにするために,本邦で報告されたこれらの疾患120例を集め,臨床像,病理組織像の特徴を検討した.MRは多発関節炎の合併例の多いこと,RA因子の陽性例が多いこと,皮疹が全身に多発する点などから系統的な全身的疾患と考えられ,しかも高齢者に発症することなどから,異なる疾患概念と考えられる.次に,RGとAXについては,皮疹の色調や硬さを除き臨床像に類似点が多い.組織学的所見も共に組織球の増殖である.AXには泡沫細胞やTouton型巨細胞が多数出現し,一方のRGでは特異な多核巨細胞が多数出現する点に相違があるが,スペクトルの両極端を見ていると考えれば,RGとAXは共になんらかの外因的な刺激により生じた反応性の肉芽腫性増殖で,両者の間には本質的な違いがないと考えることもできる.
  • 杉田 泰之, 松崎 敏子, 中嶋 英子, 中嶋 弘
    1991 年 101 巻 7 号 p. 743-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    Polymerase chain reaction(PCR)法を用いてツツガムシ病の病原体であるRickettsia tsutsugamushiに特異的なDNA断片を検出した.この方法を用いてツツガムシ病患者の血液からR. tsutsugamushiのDNAが検出できることを示し,PCR法によるツツガムシ病のDNA診断の可能性を示した.
  • 1991 年 101 巻 7 号 p. 747-
    発行日: 1991年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
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