日本皮膚科学会雑誌
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82 巻, 7 号
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  • 高橋 久
    1972 年 82 巻 7 号 p. 421-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    白癬菌の寄生部位が角層という浅い部位に限られ,且つ外用剤であるために高濃度の薬剤を適用しうるという好条件下にあるにもかかわらず,外用抗白癬剤の効力の向上は単にその抗菌価を高めるのみでは達せられない.ここに外用剤使用に当って効力発現に関与すると思われる各種の要因について検討した.まず,角質に対する薬剤の吸着の問題では,角質として毛髪砕片を使用したが,ベンゼトニウム・クロライドが絹綿に強固な吸着を示した以外は今回検討した薬剤は毛髪に対して,木綿,絹綿よりも強固な吸着をみせた.薬剤を吸着した毛髪が,それに接種した白癬菌を抑制する作用は減弱乃至消失していた.ワールプルグ検圧計を用いて薬剤による呼吸阻害を検討した結果では,グリセオフルピンは呼吸阻害作用がなく,メナジオンは却って菌の酵素消費を増強することを確認した.爪甲片に接種した白癬菌に対する薬剤の滲透作用では,一般にエタノール溶液にすぐれた結果をみとめた.また薬剤蒸気の爪片内への滲透殺菌作用ではアンモニア,フォルマリン蒸気に見るべき効果をみとめた.
  • 後藤 允哉
    1972 年 82 巻 7 号 p. 439-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    第1編において確率した実験方法により,30例の薬疹患者について検討し,原因薬剤,推定原因薬剤を当該患者末梢リンパ球に添加培養してみたが,抗原無添加培養との間にはlymphocyte transformation定量値の上からは有意差はみられず,また一部の薬剤は血清蛋白結合物として当該患者の末梢リンパ球に添加培養したが,これにても有意の差のあるリンパ球の3H-Thymidine取り込みはみられなかった.すなわち,第1編で確認したツベルクリン皮内反応の強さとin vitroでのツベルクリン刺激によるリンパ球の反応のごとき特異的な平行関係は,検索した薬疹患者においては,まったく認め得ず,すくなくともツベルクリン皮内反応で認め得るほどの遅延型アレルギー関与の可能性を薬疹において検索したが,確認できなかった.
  • 大橋 勝
    1972 年 82 巻 7 号 p. 447-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    アミロイド苔癬と全身性アミロイド症,おのおの2例につき,皮疹部の電顕的観察を行ない,アミロイド細線維の存在を部位的に検討した.前者では,血管と関係なく,間葉系細胞にかこまれている.後者では,血管基底膜を中心に存在している.以上の事実より,アミロイド苔癬と全身性アミロイド症とは,紫斑の有無,全身所見の有無,予後の違いのみならず,アミロイド細線維の存在部位上でも差のある,異なった疾患であること,および両者の関係は,鞏皮症における汎発型と,限局型との関係に類似している.アミロイド細線維の存在部位での検討は,病理発生上のみならず,分類上にも有効なのではないかと考察した.
  • 藤本 輝夫
    1972 年 82 巻 7 号 p. 455-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
    Klempererその他(1942)の膠原病概念の提唱は,従来皮膚疾患という理解にとどまっていた播種性紅斑性狼瘡を,全身病として再認識させる動機を与えた.その際,当時までアレルギーの組織学的表徴として重視されていた類線維素変性が,その病因との結びつきを一応白紙にかえして追求された.この研究は,皮肉にも,immune nucleocytolysisという未知の現象に遭遇する結果となった.周知のように,この疾患においては,特徴ある細胞障害,結合織の病変が知られ,抗体産生の異常,殊に自己抗体の産生もひろく注目されているところである.しかし,その背景をなす抗体産生臓器組織の態度については,不思議なことに,深い関心が持たれているとは言えない.この疾患にあっては,骨髄,脾,リンパ節などの抗体産生臓器組織の過形成が続いた後に,それぞれの構造上の分化を失って非特異的な間葉構造に変貌するという.深刻な改築の過程が認められる.この疾患における自己抗体産生の基礎に,抗体産生臓器組織の明らかな異常が確認されるという点が注目される.しかも,これらの変化は,抗体産生臓器組織の先天的な形成異常ではなく,これらの組織が反応し続けた後の変貌の過程と理解され,その原因として,執拗な,長期にわたる感染ないし抗原刺激というものが想定される.これらの問題について,実験病理学の成果をも参酌しつつ,考察を加えた.全身性ループスにおけるいわゆる自己抗体には,具体的な病因作用の明らかなものが確かに認められる.最近,この疾患における腎障害(ループス腎炎)を特徴づける糸球体病変について,DNA-向DNA抗体結合物の役割が重視されつつある.しかし,異種抗原-抗体結合物の局在や,向糸球体基底膜抗体の病因作用もまた見逃すわけにはいかない.この疾患における糸球体変化の成り立ちが正しく理解されることが切望される.
  • 1972 年 82 巻 7 号 p. 463-
    発行日: 1972年
    公開日: 2014/08/26
    ジャーナル 認証あり
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