日本皮膚科学会雑誌
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107 巻 , 12 号
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  • 佐藤 典子
    1997 年 107 巻 12 号 p. 1459-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    正常皮膚と炎症性・腫瘍性皮膚病変のアポトーシスを形態学的観察に加え,in situでの断片化DNAの検出,およびアガロースゲル電気泳動でのDNAラダーの検出によって評価した.In situのDNA断片検出には,DNAの3'-OH末端を標識する方法を用いた.その結果,(1)In situでのDNA末端標識染色の陽性率と電気泳動での低分子DNA比率には相関がみられ,共にアポトーシスの多寡を示すマーカーとなりうると考えた.ただし,断片化DNAの比率が少ない組織ではDNAラダーとしては検出できなかった.(2)正常表皮顆粒細胞に,アポトーシスに一致する形態的変化とin situでDNA断片化を認めた.この所見から,表皮ケラチノサイトは分化の最終段階でアポトーシスを起こすと考えた.(3)炎症性皮膚疾患で見られるコロイド小体は,形態学的に線維変性をきたしたケラチノサイトとその貪食処理過程であり,in situでDNA断片化を認めたことから,アポトーシスを経たケラチノサイトと考えた.(4)腫瘍性異常角化細胞(neoplastic dyskeratotic cells)は,形態学的に周辺帯やケラトヒアリン顆粒の形成という角化過程を示さず,アポトーシス細胞としての典型的な電顕的形態を示し,さらにin situでDNAの断片化を認めたことから,腫瘍性ケラチノサイトに起こったアポトーシスと考えた.(5)皮膚腫瘍でみられるアポトーシスは,増殖能とのバランスで腫瘍発育速度に関与している可能性が示唆された.
  • 相川 洋介, 吉池 高志
    1997 年 107 巻 12 号 p. 1473-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    バリヤー病としての側面が注目されつつあるアトピー性皮膚炎で,その角層透過性を調べることを目的に,角層シートとdiffusion chamberを用いる測定系を開発した.まず加熱・トリプシン処理で得た角層シートを用いた基礎実験によって,次の結果を得た.(1)透過は4時間までほぼ直線的に増加する.(2)分子量400のグルコースと4,000のポリエスチレングリコールの透過には差がない.(3)角層の外から内への透過は逆方向より大きい.(4)水や高濃度の界面活性剤・有機溶剤で角層を前処理すると,透過が増大する.しかし50%アセトンあるいは70%メタノールでは透過性に大きな影響を与えない.これらをもとに一定の条件を設定し,アトピー性皮膚炎患者の角層透過性をカンタリジン水疱によって得た角層シートを用いて検討した.その結果,透過性は皮疹部および無疹部において亢進していた.以上,角層透過性検定のためのdiffusion chamber systemとその臨床応用について報告した.
  • 大澤 一弘, 秋元 幸子, 石川 治, 宮地 良樹
    1997 年 107 巻 12 号 p. 1479-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    1957年3月から1995年10月までの期間に,群馬大学皮膚科を受診し,限局性強皮症と診断した108例について,臨床的に検討した.病型別では帯状強皮症53例,斑状強皮症42例,皮下型モルフェア4例,汎発型限局性強皮症9例であった.性別では男性26例(24.1%),女性82例(75.9%)で,いずれの型においても女性例が多かった.帯状強皮症のうち剣創状強皮症は男性5例,女性22例の計27例であった.発症年齢が20歳以下の症例の占める割合は,帯状強皮症は53例中37例(69.8%),斑状強皮症は42例中20例(47.6%)と,帯状強皮症は斑状強皮症よりも若年発症例が多かった.剣創状強皮症でも20歳以下の発症例が27例中18例(66.7%)を占めていた.免疫学的検査を施行した74例のうち,抗核抗体陽性例は7例(9.5%)であった.リウマチ因子陽性例は汎発型限局性強皮症に2例(2.7%)認めるのみであった.IgGクラスの抗1本鎖DNA抗体陽性例は検査を施行した17例のうち帯状強皮症と斑状強皮症の各1例(11.8%)に認められた.罹患部位では,帯状強皮症が頭頸部・四肢に,斑状強皮症はタ至イに多かった.特に頭頸部では,剣創状強皮症を除く帯状強皮症11例のうち6例(54.5%)が被髪頭部に生じていたのに対し,斑状強皮症は5例全例が顔面に生じており,被髪頭部に生じた例はなかった.また,被髪頭部の帯状強皮症では皮疹の長袖Blaschko's lineに沿う傾向が認められ,注目すべき点と考えられた.剣創状強皮症は,その臨床像から,帯状強皮症の特殊型として位置付けられているが,今回検討した年齢分布や皮疹の分布様式の結果から,剣創状強皮症を含めた頭部の帯状強皮症は何らかの共通する発症基盤を有する一つのグループとして捉えられるのではないかと推察された.
  • 梅澤 慶紀, 大井 綱郎, 古賀 道之
    1997 年 107 巻 12 号 p. 1485-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬に対する免疫抑制剤であるシクロスポリン(CYA)の有効性は,すでに認められている.その投与の指標としては,血中のCYA濃度であるトラフレベルが用いられている.しかし,トラフレベルがほぼ同一であっても,治療効果が患者により異なることも周知である.この様な臨床効果の差について,腎移植の分野では,CYAが主にリンパ球に作用することに着目して,in vitroでのリンパ球のCYAに対する感受性(IC50)を測定し,臨床効果との相関について検討を行っている.尋常性乾癬の病因は明らかとなっていないが,免疫学的要因が病態に関与していることも知られている.そこで我々は,尋常性乾癬患者におけるCYAのリンパ球の感受性が,治療に応用できないかと考え,CYA投与前後のIC50とPASIスコア(psoriasis area and severity index)の改善率について検討を行った.今回の検討では,IC50とPASIスコアの改善率に相関関係(r=-0.69,p<0.05)が認められたため,CYAの尋常性乾癬に対する治療効果は,患者個々の持つリンパ球の感受性も関与していると推察した.
  • 髙野 温子, 窪田 泰夫, 馬場 タカ子, 佐藤 光浩, 溝口 昌子
    1997 年 107 巻 12 号 p. 1493-
    発行日: 1997年
    公開日: 2014/08/13
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    4歳,男児.生後6ヵ月頃からタ至イに褐色調の色素沈着が出現し,次第に拡大した.それ以前には,炎症症状を伴う皮膚病変は認識されていない.出生時から左足趾の変形が認められるほか,既往歴として停留睾丸,脱肛があった.2親等以内に血族結婚はなく,家族内にも同症は認められない.初診時,手掌と足底を除くタ至イと四肢のBlaschko's lineに沿って,左右対称性に点状の色素沈着が線状,らせん状に認められた.一般血液検査での異常はなく,末梢血リンパ球による染色体分析においても正常だった.組織学的には,表皮に不規則なbasal pigmentationが見られ,]R離ドーパの結果,メラノサイトの数が正常部と比してほぼ2倍に増加していた.電顕的にも,メラノサイトの増数が確認されるとともに,メラノサイトがメラノソームを活発に産生している所見が得られた.上記のとおり,経過中に炎症症状を伴う皮膚所見が認識されていないことや組織学的に真皮にメラノファージを伴わないbasal pigmentationが認められることから,Linear and whorled nevoid hypermelanosisと診断した.
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