1957年3月から1995年10月までの期間に,群馬大学皮膚科を受診し,限局性強皮症と診断した108例について,臨床的に検討した.病型別では帯状強皮症53例,斑状強皮症42例,皮下型モルフェア4例,汎発型限局性強皮症9例であった.性別では男性26例(24.1%),女性82例(75.9%)で,いずれの型においても女性例が多かった.帯状強皮症のうち剣創状強皮症は男性5例,女性22例の計27例であった.発症年齢が20歳以下の症例の占める割合は,帯状強皮症は53例中37例(69.8%),斑状強皮症は42例中20例(47.6%)と,帯状強皮症は斑状強皮症よりも若年発症例が多かった.剣創状強皮症でも20歳以下の発症例が27例中18例(66.7%)を占めていた.免疫学的検査を施行した74例のうち,抗核抗体陽性例は7例(9.5%)であった.リウマチ因子陽性例は汎発型限局性強皮症に2例(2.7%)認めるのみであった.IgGクラスの抗1本鎖DNA抗体陽性例は検査を施行した17例のうち帯状強皮症と斑状強皮症の各1例(11.8%)に認められた.罹患部位では,帯状強皮症が頭頸部・四肢に,斑状強皮症はタ至イに多かった.特に頭頸部では,剣創状強皮症を除く帯状強皮症11例のうち6例(54.5%)が被髪頭部に生じていたのに対し,斑状強皮症は5例全例が顔面に生じており,被髪頭部に生じた例はなかった.また,被髪頭部の帯状強皮症では皮疹の長袖Blaschko's lineに沿う傾向が認められ,注目すべき点と考えられた.剣創状強皮症は,その臨床像から,帯状強皮症の特殊型として位置付けられているが,今回検討した年齢分布や皮疹の分布様式の結果から,剣創状強皮症を含めた頭部の帯状強皮症は何らかの共通する発症基盤を有する一つのグループとして捉えられるのではないかと推察された.
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