1,掌蹠膿疱症患者86例に,① 扁桃マッサージによる扁桃病巣誘発試験,② 血清 ASK-SD 値測定,および③ SK-SD 皮内テストからなる扁桃病巣感染巣検査を行った.この検査に陽性を示したものは37例であり,うち24例に扁摘を行った.その結果は有効以上 100%,著効 94%,および完全吸収 90% であった.完全吸収をみるまでに,扁摘後最も長くて18ヵ月かかった.すなわち扁摘の効果を判定するには,少なくとも1年半は観察する必要がある. 1.扁摘後の皮疹の Flare-up は 50% にみられただけであった. 3.再発は,完全吸収例の 42% に見られたが,すべて一過性の軽微なものであった.誘因として感冒が 50% を占めた. 4.扁桃病巣除去の結果から判断すると,① 扁桃の臨床所見は病巣感染巣陽性と判定する根拠にはならない.② 扁桃陰寫からのβ溶血性連鎖球菌の検出率は低かった.③ 白血球数および血沈値を指標とした扁桃病巣誘発試験が陰性でも,扁摘の有効例は 50% もあった.したがって,この試験が陰性でも扁桃病巣感染巣の存在を否定できない. 5.白血球数および血清ASK-SD 値の異常高値は扁桃病巣陽性の指標になりえた.しかし,血沈値および血清 ASLO 値はその指標にはならなかった. 6.白血球数,血清 ASK-SD 値,および血清ASLO値は,いずれも扁摘前後で比較すると後に減少がみられた. 7,結論として,血清ASK-SD値の異常高値または扁桃病巣誘発試験陽性の所見があり,さらに白血球数異常高値がみられれば,扁桃病巣感染巣陽性の確率が高いことになる. 8.扁桃病巣感染巣陽性群では血清 ASK-SD 値は高く,一方血清 ASLO 値は正常範囲内にあったので,掌賠膿庖症の扁桃病巣感染には A 群よりむしろ C 群または G 群β溶血性連鎖球菌が関係しているようだ.
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