日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
85 巻, 14 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 安江 隆, 阿久津 順, 新城 寿, 佐々田 健四郎
    1975 年 85 巻 14 号 p. 875-
    発行日: 1975年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    SLE 患者血清中の C3 ならびに C4 の蛋白量を singleradial immunodiffusion 法により測定し,その臨床的意義につき検討を行った. SLE の活動期,特に発熱,蛋白尿,関節痛などの全身症状が著明な時期では,β1C/1A (C3),β1E(C4) 値ともにその減少が高率かつ顕著に認められ,β1c/1A の場合はその減少と疾患の活動性との間に特に密接な関係があり,一方 β1E の場合は,非活動期でも低値を示す症例が多く存在していた.すなわち,血清中の β1C/1A や β1E の定量を行うことは, SLE の診断やこれと他疾患との鑑別に役立つのみでなく,その値は SLE の重症度や活動性の有無を知るためのよい指標となり,従って SLE 治療上の指標としても役立つと考えられた.また細菌やウイルスの感染に際しては,β1C/1A や β1E 値の増加が証明されるので, SLE 患者で原因不明の発熱や発疹がみられ,これが SLE によるものか感染症によるものかが不明の場合にも,その血清中の β1C/1A やβ1E の定量を行えば,その鑑別が可能であろうと思われた.従来の SLE の日常診療では,補体の検査としては血清補体価(CH50)の測定や,血清中のC3やC4の活性の測定が主に行われてきたが,今回の検索結果から考えると,血清中の C3 や C4 の蛋白量の測定でもこれらと同様に SLE の臨床に充分役立つものと思われた.
  • 吉永 和恵
    1975 年 85 巻 14 号 p. 885-
    発行日: 1975年
    公開日: 2014/08/25
    ジャーナル 認証あり
    色素性母斑の加令による変動を検べる目的で自験例62例について臨床分類を行ない, Miescher et Albertini の分類に従い,組織学的検討を行なった. 生下時より存在する非隆起性斑状母斑,点状集族性母斑は生涯を通じ非隆起性で,組織学的に a,b 型母斑細胞のみからなり,加令め変化としては境界母斑から真皮母斑への移行がみられたL隆起性斑状母斑,巨大色素性母斑,乳頭状母斑は後年(恐らくは10代以後)隆起性となり,組織学的に加令に無関係に境界活性を有し. a,b 型母斑細胞の下方に合胞体形成細胞,c 型母斑細胞が増加している.長じても複合母斑の形を留めていた. 生後に出現する丘疹状黒子,軟属腫様母斑,前者は10代から隆起性となり,後者は20代になって出現する.a,b 型母斑細胞は b 型母斑細胞の巨細胞化,浸潤細胞の出現,間質の増加も加わって加令とともに衰退の傾向を示したが,合胞体形成細胞,マイスネル小体様器官は真皮下層から上層に向かって加令とともに増加の傾向を示したレ 次にこれら母斑の構築要素の非特異的コリンエステラーゼ活性の有無を検討した. ChE は表皮滴落型母斑細胞である a,b 型母斑細胞は陰性, Schwann由来とされる合胞体形成細胞,マイスネル小体様器官,c 型母斑細胞のいずれも活性を示した.酵素学的にも2系統の集合体の組合せによって病型毎に活性の状態は異なっていた.臨床的に非隆起性であるか,隆起性となるかめ理由として. a,b 型母斑細胞が胎生中,生後もまなくのうちに増加したのに比し, Schwann 由来性母斑細胞は遅れて,10代になって出現,増加する特徴を有する母斑細胞であるためと考えた.
feedback
Top