日本皮膚科学会雑誌
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104 巻, 4 号
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  • 1994 年 104 巻 4 号 p. 539-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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  • 山本 俊比古
    1994 年 104 巻 4 号 p. 543-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    毛髪の表面脂質は,組成やその脂肪酸の構造が皮表脂質のそれと類似していることから皮脂に由来するものと現在考えられている.しかし毛髪の内部脂質の組成や機能についての報告は少ない.今回著者は毛髪の内部脂質の組成およびその脂肪酸の構造を分析し,表面脂質のそれと比較検討し,その機能を検討した.その結果,表面脂質ならびに内部脂質にはともにスクワレンが含まれていなかったが,炭素数13,15,17の奇数脂肪酸および4-Me,2Me,anteiso等の多種の飽和分枝脂肪酸を含んでいた.その組成では皮脂や皮表脂質と比べ,炭素数17の脂肪酸の比率が高かった.このことはこれまでの報告とは明らかに異なっているとともに新しい事実であった.毛髪の表面脂質,内部脂質中不飽和脂肪酸,奇数脂肪酸や飽和分枝脂肪酸は毛皮質の細胞間脂質として存在することが考えられた.またこれらは毛髪が外界と長い関接するための生化学的安定性と脂質の流動性を高めるための融点の低下の両方に有利に機能している可能性が示唆された.
  • 二瓶 義道
    1994 年 104 巻 4 号 p. 551-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    日常頻繁に使用される消毒剤であるpovidone iodine(PVI)とchlorhexidine gluconate(CG)および酢酸の,大腸菌,緑膿菌,黄色ブドウ球菌およびMRSAに対対する抗菌力について検討した.ブロス希釈法による消毒剤20時間暴露後のMRSAに対する最小発育阻止濃度(MIC)は酢酸2.5mg/ml(0.25%),PVI10mg/ml(1%),CG0.08mg/ml(0.008%)であった.酢酸の抗菌力はpH6およびpH5.5においても認められ,低pHにのみ依存するものではなかった.一方,消毒剤の最小殺菌濃度(MBC)の測定では,5分間の暴露(MBC5)ではPVIは平均0.08mg/mlで,3者の中では最も有効性を示したが,PVIに5%の血清を添加することにより,約8分の1の活性が低下した.消毒剤への60分間の暴露(MBC60)では,CGのMBC5は2分の1から4分の1に減少したが,PVIではあまり変化せず,CGのほうが長時間作用性であると思われた.酢酸のMBC5は低くはなく,特にMRSAに対する抗菌力は不十分なものであったが,MBC60は低く,酢酸は長長時間暴露により有効性を示すと考えられた.以上の結果より酢酸の抗菌内はあくまで静菌的であるが,その毒性やアレルギー性を顧みれば,汚染はそれほど強くないが,表皮形成促進をはかる場合,広範囲病変で毒性やアレルギー性が問題となる場合において有用と考えられた.
  • 二瓶 義道
    1994 年 104 巻 4 号 p. 557-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    酢酸・povidone iodine(PVI)・chlorhexidine gluconate(CG)の培養細胞に対する細胞毒性について検討した.ヒト有棘細胞癌cell lineを用いた細胞毒性の検討では,各種消毒剤の5分間暴露によるED50は,酢酸で常用濃度の10%(1mg/ml),CGは5%(0.05mg/ml),PVIは0.2%(0.2mg/ml)で,酢酸の細胞毒性がもっとも低かった.常用濃度比10%の濃度の消毒剤により経時的な細胞毒性も検討したところ,培養細胞の50%viabilityは,血清の添加の有無にかかわらず,酢酸がもっとも高く,PVIの毒性がもっとも強かった.酢酸の細胞毒性は,pH4,5,6に調整した酢酸ナトリウムバッファーを用いた検討により,pH依存性の細胞障害性を示し,濃度依存性ではないことが認められた.以上の結果から,酢酸の細胞毒性はCGやPVIに比し軽度であると考えた.酢酸の抗菌力は前報に示したように,あまり強いものではないが,毒性は低く,その構造から感作性があるとは考えられない.以上の点から,比較的汚染が少ない.広範な創部の消毒や湿疹性病変部における除菌などの目的において,酢酸は他の消毒剤よりも有用なのではないかと考えた.
  • 氏原 真弓, 浜中 すみ子
    1994 年 104 巻 4 号 p. 563-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    Bilateral segmental neurofibromatosisの1例を報告した.症例は,73歳の男子.20歳頃より躯幹に色素斑が集簇性に多発し,その後,柔らかい小結節が躯幹に漸次増加してきた.初診時,左上腹部に雀卵斑様色素斑が集簇性に多発し,左季肋部に径2~3mmの赤褐色丘疹が4個存在した.右腹部には径2~7mmの赤褐色丘疹ないし小結節が多数帯状に存在した.雀卵斑様色素斑は,右下背部および両側腰部にも集簇性に見られ,右下背部の局面には,同様の丘疹が2個存在した.雀卵斑左様色素斑と,丘疹ないし小結節の分布は必ずしも一致せず,それぞれ別個に,segmentalに限局して配列し,両側に存在した.カフェオレ斑およびLisch noduleは認めない.家族に,neurofibromatosisの症候を認めない.丘疹の組織所見は,神経線維腫であった.Segmental neurofibromatosisは,Riccardiが,多発性の神経線維腫とカフェオレ斑が,ある体節に限局して片側にのみ存在し,家族歴を有さぬものと定義したが,神経線維腫のみの例も,Segmental neurofibromatosisとして発表され,混乱を招いている.少なくとも2つ以上の症候を伴った例のみをSegmental neurofibromatosisとすべきとの考えに基き,これまでの報告例を検討したところ,英文文献例で24例(うち両側性6例),本邦で自験例を含め8例(うち両側性3例)が,これに該当した.英文文献例ではカフェオレ斑が,本邦例では雀卵斑様色素斑が,より高率に見られる所見であった.
  • 松谷 紫, 武藤 正彦, 中野 純二, 倉田 佳子, 麻上 千鳥
    1994 年 104 巻 4 号 p. 571-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    汎発性脱毛,汎発性白斑,白毛ならびに浸潤性紅斑の皮膚症状を呈し,経過中に髄膜炎ならびに内耳障害を併発した1症例を経験した.定型的眼症状は欠いていたものの,病変の場に共通してメラノサイトが存在することからVogt-小柳-原田病の一型と考えた.
  • 江川 清文, 本田 由美, 稲葉 葉一, 小野 友道
    1994 年 104 巻 4 号 p. 579-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    嚢腫壁および嚢腫内腔にエックリン汗管を認め,同時にHPV60感染の確認された足底嚢腫例を報告した.組織学的には表皮様構造の壁と内腔を満たすケラチン様物質からなる真性嚢腫であり,表皮様嚢腫と診断したが,特異所見として嚢腫壁および内腔の管腔様構造とケラチン様物質内の空胞様構造を認めた.嚢腫壁に細胞質内封入体は認めなかった.免疫組織学的検討により,管腔様構造に一致したCEA陽性と空胞様構造に一致したHPV抗原陽性を認め,in situ hybridization法により感染HPVがHPV60であることも確認された.足底表皮様嚢腫の発症機序については近年強調されているHPV感染のみならず,エックリン汗管の関与の可能性についても検討する必要がある.
  • 矢島 千穂, 態切 正信
    1994 年 104 巻 4 号 p. 583-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
    39歳女,躯幹,頸部,手背部に6×5×4mmまでの半球状に隆起する帯黄暗赤色の孤立性小結節を総計23個散在性に認め,臨床像,臨床的諸検査,病理組織学的所見などから多発性成人型xanthogranuloma(以下XG)と診断した.この症例については長期間経過を観察する機会に恵まれ,初診後約2年,発病から約3年の経過でほぼ完全な自然消褪を見届けることができた.またこれまでの内外の文献において,ほとんど詳細な記載がみられない自然消褪時の病理組織像を観察することができた.併せて自験例を含む本邦報告例13例を始めとする内外の本症報告を文献的に考察したが,自然消褪については本邦報告例では自験例を含めて6例42.6%の高率にみられ,外国の報告例でも同様の傾向を示した.疾患の位置付けに関してはxanthoma disseminatum(以下XD)との異同を含め,報告者により種々の見解があり一定していない.自験例を含むこれまでの報告症例で観察された,自然消褪を始めとする本症の病態像は,自然治癒がほとんどみられず皮疹の増加融合傾向が強いXDとはかなり隔たった様相を示し,一方通常よくみられるjuvenile xanthogranuloma(以下JXG)の病態とは非常に強い類似性がみられ,近縁疾患である可能性が高いことが示唆された.
  • 飯泉 陽子, 黒崎 百合子, 伊崎 誠一, 北村 啓次郎, 丸山 征郎
    1994 年 104 巻 4 号 p. 589-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    トロンボモジュリン(TM)は内皮細胞の膜上に存在し,血管内の血液の流動性を保つ働きをしている.今回われわれは,顔面播種状粟粒性狼瘡においてTMに対する抗体を用いて免疫組織化学を行った.その結果,血管内皮細胞のほか,血管周囲の炎症性細胞浸潤巣内,および完成された類上皮細胞肉芽腫の周辺にTM陽性細胞を確認し,これらがLysozyme陽性組織球あるいはCD68陽性組織球と異なる一群の細胞であることを免疫組織化学的に確認した.皮膚慢性肉芽腫性疾患に出現する浸潤細胞は主として単核食細胞系に属する組織球ならびに類上皮細胞であるが,このような炎症組織における浸潤細胞の免疫組織化学的なマーカーとしての,TMの新たな意義が示唆される.
  • 飯塚 万利子, 伊崎 誠一, 北村 啓次郎, 丸山 征郎
    1994 年 104 巻 4 号 p. 595-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
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    トロンボモジュリン(TM)は通常脈管の内皮細胞膜に存在し,血液凝固系を抑制することによって血液の流動性を保つ糖蛋白質であるが,最近TMが表皮細胞の膜表面にも局在することが確認されている.今回われわれは抗TM抗体を用いて皮膚の上皮系腫瘍に対する免疫組織化学的検索を行った結果,腫瘍細胞の種類によりその発現が異なって認められた.すなわち高分化型有棘細胞癌においては腫瘍細胞が角化する途上で増強し角質になるとこれを失った.また基底細胞上皮腫ではTMがほとんど観察されなかった.日光角化症およびボーエン病では標本による変動が大きかった.特にボーエン病における異型の強い細胞あるいは,個細胞角化細胞にTMは減弱した.さらに脂漏性角化症で種々の変動した局在を示した.全体として,分化の程度の比較的高い有棘細胞の,角化の初期の変化に伴ってTMの発現する傾向が示された.
  • 1994 年 104 巻 4 号 p. 599-
    発行日: 1994年
    公開日: 2014/08/12
    ジャーナル 認証あり
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